15時間目 学級委員としてその発言は見過ごせません
そろそろ脇役のキャラも固めていかないと…
ということで化学部メンバーは出しませんでした。
私は携帯の電源をいれた。途端に振動し始めた。
「ん?」
画面には『着信あり三十件』と『新着メール五十件』の文字が…。
「あ、削除しないと」
画面にあるメニューから検索し、全件削除の文字が出たので『OK』を押した。おお!EメールフォルダとCメールフォルダからメールが一掃されている。ついでに着信も0件だ…学校行くのやだな。そんなことを考えても始まらないのは分かっていたが、私の頭はそのことで一杯となる。
今日は遅刻ギリギリ…理由は言わずもがな、携帯の事。教室の戸を開けてると、まだ教室内は騒がしくしていた。しかしそれでもチラホラと体育館へと向かう生徒はいた。私は談笑中の長谷部に挨拶をした。
「おはよ」
「おはよー。久しぶりだねー」
彼女も笑顔で返してくれる。そして気配のした背中に手をまわして私は言った。
「私の後ろに立つな」
「アタッ!チョップは酷くない?」
「後ろから迫ってくる美羽も悪いかなぁ」
ナイスな追い打ちだ長谷部。
「迫るなんて人聞き悪い…あたしはただストーキングを」
「なお悪いわ!」
ビシッと本日二度目のチョップが炸裂する。
「アタッ!あ~…これが愛の鞭なのね」
恍惚とした表情で何かに目覚めた美羽…貴女の本質はやっぱり変態だったんですね。ちょっと引き気味に彼女を見ていると、長谷部が話しかけてきた。
「そろそろ分かってきたとは思うけど、あの子いつもあんな感じだからさ。ずっと友達でいてあげて」
「長谷部は友達思いだね」
「まぁね。小学校からの幼馴染みっていうか変な縁っていうか」
ほう…今回はノーマルなフラグが立ったな。
「うん、言いたいこと大体理解したつもりだから」
「そう?なら良かった」
「さて…そんな良い子には頭ナデナデー」
俺はからかいながら長谷部の頭をなでる。メールとかだったら文の最後に、(笑)ってついてるところだろう。
「アハハ、それはウチじゃなくて美羽にしてあげた方が良いよ」
くすぐったそうに片目を閉じて、そう言った。しかし話題の人物はまだヘブンに行ったまま…。
「いや美羽にはもう少しだけ大人しくして貰いたいかなぁと」
「コラコラ、学級委員としてその発言は見過ごせません」
「え~と…申し訳ない」
俺は素直に頭を下げる。
「わかってくれたらよろしい」
「ははー有り難き幸せー」
「もっとなじってー!」
俺がふざけながら長谷部と話していると、美羽が叫びだした。
「「五月蠅い」」
俺と長谷部のダブルツッコミがビシッと額にきまる。
「アタッ!痛いよー」
抗議の声が聞こえる気がするが俺は全力で目を逸らす。しかしある異変に気づく…。俺は長谷部に呼びかけた
「ねぇ…」
「「何?」」
「私達三人しかいないんだけど…」
「それがどうしたの?」
「んー、置いて行かれたって事が言いたいんだけど」
「ちょっと話しすぎたね」
苦笑い。俺も苦笑い。
「メンドイからサボろっかなぁ」
咄嗟に口から出てしまった失言。
「ん~学級委員としての立場上それは許されないかなぁ」
「ですよねー…じゃあ行こうか?」
「そうだね」
「うん」
俺は長谷部の「廊下は走らない!」を堂々と無視して、美羽と共に走った。ちなみに長谷部は引っ張っていった。
次は新学期と言うことでしばらく体育祭ネタをやると思います。