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作戦が上手くいくことの方が少ない

木下悠真視点

ーーガチャン


仁が帰っていくのを音を背中で確認する。


「あ、あぶなかった〜」


 胸を撫で下ろし、おれのものがまだ収まりそうもないので、座ったまま今までのことを振り返った。


まずは、仁の天然発言だ。


「隣に座れなんて、おれには順序があったのに〜」


 そう。おれは昨日の夜から仁とどうやって関係を進展させるか考えていた。


 まずはこうだ。


1.正面に座り目が合う回数を増やす。


2.やたらおれと目が合うことで意識をさせ仁は俯く。そこでやっと隣に座り肩を密着させる。


3.肩を密着させながら勉強を教える。


4.肩に意識を持っていかれ集中できない仁に耳元で呟く。


「おれのこと意識してるの? だめだよ、勉強に集中しなくちゃ」


 俯いた仁の顔を顎クイでおれの顔に向ける。


「悠真…俺、ずっとドキドキしてる」


 すると、目を潤ませ頬を赤くした仁を俺の胸へと抱き寄せる。


「聞こえる? おれもずっとドキドキしてるよ」


 おれの心臓の音を仁の耳に聞かせると、仁はおれの服をギュッと掴み上目遣いになる。


「悠真……」


 これだよっっ! おれが考えてたやつ!!

先に言われたから、おれだけドキドキタイムだよ!!


 しかも変な男が仁と仲良くなるのも想定外だ。

ストーカーか何かか? ジュースで警戒心を解くなんていやらしい奴め! ストーカーじゃなくても、仁に好意があると分かったらすぐ引き離してやる!


「ーーでも一番はあの顔だよな〜」


 上目遣い、涙目そしてあの言葉。思い出しただけでもクるものがある。


「あっやべ。キた」


あの光景を思い出す。

慣れたものだ。

毎日2〜3回はこんなことしてるんだから。


 最初は罪悪感があったが1回やってしまえば、やめることは許されない。


 思わぬ収穫ができたことにおれの身体が喜んでいる。


「はぁ……おれの身がもたねぇよ〜」


仁の可愛さに頭を抱えた。


 さて、スッキリしたところで次はどんな作戦を立てようかと悩んでいるとドアを叩く音が聞こえた。


「美紀だけど〜!」


一人の時間に集中していたおれは、聞かれていないドキドキしながら返事をして部屋に入れる。


「どうしたの?」


「今バイトから帰ってきたんだけど、変な男が私たちのマンションをじーっと眺めてたから、悠真知ってるかなと思って」


「変な男? おれ知らな……まさか」


 さっき話していた仁の話を思い出し目を見開くと、美紀は首を傾げた。


「知ってるの?」


「スーツ着てた!?」


 突然声が大きくなったおれに、美紀は戸惑いながら答えた。


「ーー着てた気がするけど」


「多分その男、最近仁と仲良くなってたやつだ!

 やっぱりストーカーだったか」


 ストーカー男を追いかけようとすると美紀が俺の腕を掴み止めに入った。


「まってよ! まだ決まったわけじゃないんでしょ。スーツ男なんて世の中にいっぱいいるじゃない。 私が挨拶したらどっか行ったし、もういないよ」


 それでもおれにはあのストーカー男だと思っているが、感情に任せるのも良くないと冷静になる。


「じゃあ明日、運が良ければその男と会えるかもしれないからその時確かめてくる」


 落ち着きを取り戻したおれに美紀は頷いた。


「その方がいいよ。冷静さを忘れずにね! もし仲良い人が仁のストーカー男じゃなかったら悠真のライバルになるかもしれないね」

 

「……ストーカー男であってくれ!」


仁には悪いがその方がおれにとって都合がいい。


「もしストーカーだったとして悠真が助ければ仁もイチコロかもしれない!」


「その手があったね!!」


「「ハハハハハ」」


ーーーーーーーー


 美紀と悠真が笑い合っている時、仁は朝早くから素振りの練習したせいかぐっすりと眠っていた。


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