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1-A

 満開の桜が鮮やかに咲いていて、少し風も強くピンクの花びらが空を舞っていた。


「ーーよし! 準備OK! 行ってきまーす」


 今日は高校入学式。友達ができたらいいなとワクワクしながら家を出ると、エレベーターの前に悠真と仁が待っている。二人とは部屋が隣同士で仁が501号室、私が502号室、悠真が503号室だ。


「おはよー!」


「おはよ〜ちょっと肌寒いね」


 悠真の朝から元気な挨拶に返事しながら私は腕をさすると、仁は首に巻いていた紺色のチェック柄マフラーを軽く引っ張った。


「おはよう。俺のマフラー使うか?」


 その瞬間、悠真の目がギラっと光った。その目を見逃さなかった私はすぐ首を振る。


「いや、いいです」


 周りからフワフワ系と言われている悠真のギラっとした目は怖すぎる。


ーーくそぉぉ、ほんとは使いたかった! 風邪引いたら悠真のせいだからね!

 

 なんて心の中で毒づいた。


 エレベーターに乗り一階に降りてマンションを出た。高校まで徒歩で約十分。私達は対して中身のない会話をしながら高校についた。





 まず気になるのはクラス分けだろう。

沢山の人だかりができてる方へと向かっていくと、その途中周りから黄色い声が聞こえてきた。


「ーーねぇ、かっこよくない?」


「あの黒髪の短髪の人好みかも」


「茶髪の人モデルみたいだね」


 女子生徒が頬を赤らめながら悠真と仁をチラチラと見ている。昔から悠真と仁は異様にモテていた。高校に入って更に垢抜けた悠真は、ほとんどの女子を魅了していた。


終わることのないモテ人生に私は感心していると、クラス分けの掲示板に着いた。


「ーーあ! 私の名前1-Aにあった!」


 1-Aから順番に確認していると、すぐに私の名前を見つけ指を差した。すると、二人も同様すぐに名前を見つけ終わっていた。


「俺も1-Aだ」


「おれもだよ! また一緒だね」


 小学校の頃からクラスが離れた事がない私達は、高校でも一緒だなんて逆に怖くなるぐらいだ。


「なんかーーすごいね私達」


 二人を見て苦笑いしていると、仁は今まで同じクラスになった年数を指折りで数えてその数字に苦笑いしながら答えた。


「そうだな。十年同じクラスだ」


「こうなってくると三年まで同じクラスになってほしいよね!」


 クラスが分かり体育館へ移動し入学式が行われた。そして長かった式も終わり教室へと移動する。皆が席に座ったところで担任の先生が口を開いた。


「自己紹介をしてもらう。名前、そして趣味でもなんでもいいからワンポイント入れてくれ」


 担任の言葉で前の方からすぐに自己紹介が始まった。初対面ばっかりの人たちの前で自己紹介するのはとても緊張するが、私は前から五番目の席ということもあり緊張を落ち着かせる間もなくすぐに私の番に回ってきた。


「奥寺美紀です! バイトをする予定です。一年間よろしくお願いします」


 パチパチと拍手が聞こえホッと息を撫で下ろした。

ヒソヒソと話す声も聞こえ気になるが、緊張のせいで聞き取ることは出来なかった。だが、感覚的に嫌な感じではないので気にしないことにした。

 そして私の左斜めにいる仁に順番が回ってきた。


「北村仁です。野球部に入ります。よろしくお願いします」


 いつもの無表情で自己紹介をクールに決めると仁の後ろの席、通路を挟んで私の隣でもある悠真の番が回ってきた。


「木下悠真です! 中学からバスケ部やっていました。高校でもバスケ部に所属します。よろしくお願いします!」


 フワッとした笑顔で皆んなを魅了した。

 その後も、クラス全員の自己紹介が終わり休み時間になった。周りは緊張から解けてだらけていたりするが、私は一段と気合を入れ直した。なぜってそれは……


「ーーねぇ、奥寺さんだったよね!? あのイケメン二人とどういう関係なの?」


「一緒に登校してたよね?」


 絶対くると思った。沢山の女子に囲まれ私は毎年同じ説明をする。


「ただの幼馴染。皆んなが思ってる関係じゃないよ!」


 有る事無い事噂の的になるのは嫌で、断じて二人と恋仲じゃないと否定した。


「幼馴染!? イケメンと幼馴染なんて女子漫画みたい!」


「だよね! だよね! 二人に言い寄られたりして!」


 『幼馴染』というワードが女子には興奮の材料になったのか、さっきよりも声色が大きくなった。


「ないない! それはありえないから」


 本当にそんなことはない。

私だって中学一年の時、同じこと言われてありえるかも?なんて思っていた。もし言い寄られたりでもしたらバッサリ断ってやろう。ウヒヒ。なんてゲスの考えもしてたけど、まさか男同士で恋が始まるなんて思いもしなかった。


 でも別にキモいって思わないし応援はしたい。

もし悠真が私に協力を求めてきたら私は全力で協力する。


 そして高校を入学を機に、幼馴染二人の恋物語とその恋を応援する私の物語が今始まるのだ。

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