花火は咲いた瞬間が美しい
夏祭り会場に着き、まず初めに屋台へ行った。
「たこ焼き1つと、焼き鳥2つ下さい!」
「あいよー! 1500円ね!」
毎年思うが屋台の食べ物はめちゃくちゃ高いと思う。普段なら買わないが、それでも買ってしまうのは夏祭りマジックなんだろうか。
「焼き鳥に500円は高いよな」
仁もおれと同じことを思ったらしい。
同じことを思っていたと知ったおれは嬉しくなる。
「ふふ でも毎年買っちゃうんだよね」
「だな。 あ、食べたあと金払うからちょっと
待っててな」
「おれの奢りでいいよ!
でもそのかわりおれと手繋いでくれる?」
「......人いっぱいいる」
「いっぱいいるからこそ、誰もおれ達のことなんてみ
てないよ」
ほら! と手を差し出したが、まだ迷っている仁の手を強引に繋ぐ。もちろん恋人繋ぎだ。
お、なんかデートっぽいぞなんて思いながら、面白いゲームがないかと屋台を見て回る。
そうしているうちに、花火の時間が迫ってきた。
「綺麗に花火が見える所あるから一緒に行こ!」
「いいけど、いつまで手を繋ぐんだよ」
「家に帰るまででーす」
文句言いながらも手を解かない仁に嬉しくなる。
おれが知ってる穴場スポットに行く途中、後ろから
名前が呼ばれ、振り向くとバスケ部のシンジが横に彼女を連れて近づいてきた。
「悠真! なんで仁と手繋いでんだよ〜!
イケメン2人が手繋いでるの結構目立ってるぞ」
「なっ...やっぱり目立ってるんじゃねーか!離せ!」
「離しませーん! あっ...ちょっとー」
手を離そうとする仁の手をグッと強く掴むが、仁の方がすこーしだけ力が強いので離される。
シンジがなにも言わなければ素直に握らせてくれたのに空気の読めないやつめ。
「あはは! ほんと仲良いな〜!
あっそろそろ花火始まるや! じゃあな〜」
「おう」
「シンジ〜 わたあめ買いたいよ〜」
「えへへ、買っちゃう〜!?」
一瞬で過ぎ去っていくシンジを見送って、おれ達もまた歩きだす。
「シンジ、彼女にデレデレだな」
「初めて彼女できたから浮かれてるんでしょ」
羨ましくてトゲがある言い方をしてしまう。
少し山を登り花火がよく見えるところに着いた。
「ここって昔来たことあったよな?」
「そうだよ〜!
夏祭りの時、仁が迷子になって泣いてた所だよ」
「泣いてはないだろ」
「え〜? そうだっけ? でも仁を見つけた瞬間
ここから花火が上がってさ、それがめちゃめちゃ
綺麗だったんだよ〜」
「あー思い出した 綺麗だったな」
おれ達は茂みに座り、おれは仁の手を握る。
「人前ではもうやめろよ」
「おれと手を繋ぐのいやなの?」
「......ずるいぞそんな言い方。恥ずかしいんだよ」
「おれはこれから積極的にいくよ
好きになってもらえるように」
「なっ...」
ピュー......ドーーン
綺麗な花火が空に咲き、パラパラと散っていくのを
繰り返す。
「ここで来て正解だね! よく見える!」
「......そうだな」
赤い色の花火が上がっているからだろうか。
仁の頬も耳も赤く反射している。
いや、緑色や青色の花火が上がっているにもかかわらず、仁の顔はまだ赤く染まっていた。
最後の花火が散り、おれ達は山を降りていく。
降りていくと周りも一斉に帰宅していく途中らしく、おれは離れないようにとまた仁の手を握った。
仁は素直に握り返してくれて思わず顔が緩む。
学校のことや部活のことなど話をしながら仁の家の前に着いくと、おれは握っていた手の甲に軽くキスをする。
「好きだよ ここにするのはまた今度。
じゃあおやすみ」
反対の手の指で仁の唇をトントンっと軽く叩くと
仁は握っていた手を勢いよく離して口を隠す。
「......お、おお。 おやすみ」
そう言って仁はカチカチになりながら家に戻った。
おれも家に戻りさっきのことを思い出す。
「うわーうわー おれ...おれ...あーーー」
我ながらキザな行動をしてしまい恥ずかしくなる。
その頃、仁は見たことのない男の顔をした悠真に
頭の処理が追いつかずボーっとしてしまい、家の至る所に頭をぶつけていたという。




