繋がり ★
神社から少し離れた森の中で、二つの強大な魔力が激しくぶつかりあっていた。
「いい加減!消し飛べっつってんだよこのカス共がぁぁぁぁ!俺はこんなところで負けるわけにはいけねえんだよぉぉ!!」
「あの野郎から底知れない執念みたいなのを感じる!ティナ、押し負けんじゃねーぞ!!」
「はい!!」
ティナの魔力は減るどころか増えていき、金色の炎も更に燃えてフウゼンを押し始めた。
「馬鹿な!?あのガキの魔力が…膨れ上がっている!!どこにそんな力が……!!」
「私だけじゃあなたには勝てません。でも今は、契約者になってくれた雄さんが隣にいる。これからは一人じゃない!雄さんと一緒なら、戦いなんか怖くない!!」
「くぅっそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ティナがこれからの戦いに決意を固め、雄人も魔物の戦いへの思いを新たにする。
「この先お前みたいな、大事なもんを傷付ける魔物が来るなら、俺は迷わずぶっ飛ばす!!ティナと一緒に、この生き残りを賭けた戦いを終わらせてやる!殺しを楽しむようなてめーは、とっとと消えろ。」
「俺が!!こんなところで!!!!」
金色の炎が最大魔力の風を焼きつくしフウゼンを呑み込んだ。
そして、跡形もなく消滅してフウゼンとの戦いは終わった。
―――――――
「…ティナ、大丈夫…………か?」
「はい、なんとか大丈夫みたいです。」
すると雄人はティナの傷を見て驚きを隠せずにいた。
「お前フウゼンの攻撃くらってだろ?何で傷口が塞がっているんだ!?」
「え?…あ、治ってますね」
「お前って何?まさか回復系の能力もあったりすんの?」
「そんな便利な能力あったら苦労なんかしないと思いませんか?」
「…確かに、まあいいかひとまず無事で良かったな」
ティナは平然と答えて雄人はとりあえず安心した。
「じゃ、帰るか。…まだ光は帰って来てねー時間だな。今日夕飯あいつが作るっつってたけど、学校さぼっちまったし帰ったら飯作って待ってるか」
「……すみません」
ティナが申し訳なさそうに謝ると狐耳と尻尾が項垂れた。
「別にいいけどよ、あーしかし今日は大変だった。体中ズタボロだしよー」
雄人が冗談混じりで言ってティナの方を見ると、ティナは更に落ち込み涙目で雄人の方を見ていた。
「わりー、泣かせるつもりはなかった」
「本当にすみませんでした。危険な戦いに巻き込んでしまって」
「……気にすんな、それにフウゼンみたいな悪い魔物が他にいるんなら野放しにできねえしな。ほら帰るぞ」
「え?…私もですか?」
「家無いんなら俺ん家に来いよ。光にはうまく言っておくからさ」
「良いんですか?雄さん家でお世話になっても…」
「俺らはパートナーみたいなもんだしな、契約だってしてんだしあんま離れない方が良いだろ?」
「…確かに一緒にいた方が良いとは思いますけど」
「じゃあ決定な!来いよティナ!」
「……はい!これからよろしくお願いします!雄さん!」
雄人は手を差し伸べて、ティナは嬉しそうにその手をとった。
―――――――
雄人達とフウゼンの戦いで荒れ果てた森の中、雄人達が帰って一時間後、一人の少女が来てかすかな魔力を感じとっていた。
「二つの魔力が激突したのは間違いない。そして二つの内の一つ、まだかすかに魔力が残っている…」
すると少女は静かに微笑む。
「契約者見つかったんだ、ふふ、もうすぐ会えるね。…楽しみ」
そう呟いた瞬間、少女は闇となり消えていった。
―――――――
「制服破けちまってるな…まあ替えあるしそれはいいとして、問題はティナが着てる服だ」
雄人はティナに貸している光の服がボロボロになり破けている事に悩んでいた。
「やべーぞこれ、絶対怒るなあいつ。どうしたものか…」
「雄さん?」
「え、ああ何でもない。汚れちまってるしまた風呂入って来ていいぜ」
「ありがとうございます、それじゃあお言葉に甘えて」
ティナは風呂へと向かい雄人はカレーの支度を始める。
「そういや、光にはどう説明すっかな~、ティナにはうまく言っとくって言っちまったけど」
雄人が頭を抱えて悩んでいると家のカギが開いた音がした。
「ただいま~…ってお兄ちゃんの靴がある、こっちの靴は誰の?女の子用のブーツ………おんなぁ!!?」
(あいつ独り言でけー…ってそんな事思ってる場合じゃあねー!)
光は怒りを表すかのような足音で一直線にリビングに向かってきた。そして、勢いよくドアを開ける。
「お兄ちゃん!!私に内緒で彼女さん作るなんて絶対許さないからね!!!」
「いや話飛躍させすぎじゃね!?」
光の第一声を聞き、雄人はツッコミを入れる。今も尚、光は怒っていて部屋中を探し回り雄人に聞いた。
「で!彼女さんはどこに居るの!?挨拶しないと!」
「えぇ!?怒ってねーの?逆に許してくれてんの?」
「いや怒ってるよ!!許してないよ!!何で私に何も言ってくれなかったのよ!?」
「つーか彼女じゃねーし!落ち着けよ光!」
興奮している光を雄人は落ち着くように言う。
「じゃああのブーツは誰のなの!?」
ジリジリと雄人に詰め寄る光、そしてタイミングが悪いところで、ティナが風呂から上がり光の服を着てリビングに来た。
「はぁ~良い気持ちでした~雄さんも入った方が……」
「「…………」」
雄人達は固まった。
(おいいい!このタイミングで来んのかよぉ!)
「(え?お兄ちゃん、まさか?流石にそれは)…誘拐?」
「何でそうなるんだよ!?ちげーっつの!」
「ど、どうも初めまして!私はティナ・アストリアと言います!これからお世話になります!!」
「あ、よろしくねー。私は朱夜光だよ……お世話?……どういうことお兄ちゃん?」
光は笑顔のまま固まり、背後から黒いオーラを放っているかのように雄人は思った。
―――――――
「なるほど、つまりホームレスって事?」
雄人は事情を説明したが、魔物や戦いの事は一切話さなかった。光を危険な目に合わせないように、戦いに巻き込まないようにと思い、光にティナには家も家族もないとだけ説明した。
「そういうこと。…なんかほっとけなくてよー、それに…」
「それに…何?」
「ティナと光って、似てるんだよなあ、雰囲気というかよ…うまく言えねーんだけど」
雄人は照れながらそっぽを向き、光はそれを聞き頬を赤らめた。
「……良いんじゃない?この家にはもう私とお兄ちゃんしか居ないんだし」
「…ありがとな、光」
「ありがとうございます、光さん」
「そんなにありがとうって言われると恥ずかしいじゃん///それにほら!家族が増えるみたいなもんだし!ティナさんも私とお兄ちゃんの事を家族だと思ってくれていいからね!」
光がそう言うとティナの目から涙が流れる。
「……ありがとうございます、ありがとうございます!」
ティナは心の底から嬉しそうな、屈託のない笑みを浮かべた。
――私は本当に運が良い。この世界に来て、信頼できる人達ができた。魔物でも、人と思いを繋げられるということを知れた――




