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金色妖狐のティナ  作者: KAITO
第一章 ティナとの出会い
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拒絶と脅迫



「「「「「……………」」」」」



リビングにてテーブルを囲って座っている雄人、ティナ、光、敦、研一の五人。

沈黙の中、第一声を発したのはまたもや敦だった。



「…で、雄人、その可愛いケモミミ少女は誰?」


「ケモミミ少女って……」


雄人は呆れながら敦に言う。


「いやだってその狐耳と尻尾、…コスプレとかじゃないっしょ?なんか自然に動いてる感じだし」


「……信じらんねーかもしれないけど、ティナは魔物なんだ」


「…雄人の想像が具現化したとかそういうのじゃないんだよね?」


「研一、お前俺を何だと思ってんの?」


研一も疑って雄人に問いかける。


「今この世界にはティナみたいな魔物が沢山いて魔物達が生き残りを賭けて戦ってんだよ。それで、最後まで生き残った者には何でも願いを叶えるというご褒美付きなんだと。」


雄人は一通り魔物について説明をする。


「つまり、ティナちゃんみたいなケモミミ少女達が体を張って願いを叶える為に激戦を繰り広げるってこと?」


「お前の頭そればっかか!あと言い方!」


「雄さん雄さん、この方からは危険な匂いを感じます」


危険を察知して雄人の後ろに隠れるティナ。


「このチャラい奴は村瀬敦。安心しろ、こう見えて良いや……変態だからよお」


「安心できないじゃあないですか!」


「何で言い直したんだよ雄人!?良いやつでいいじゃん!?そのまま突き通せばいいじゃん!」


「え?変態じゃねーの!?」


「何でそんなに驚くの!?」


雄人は驚愕の表情を浮かべ、敦は鋭くツッコミを入れる。


「んで、こいつは早川研一、頭が良くて機転が利く良いやつ」


「機転が利くなんて、それは雄人の方じゃない?」


「研は俺の思いつかないことを思いつくからすげーんだよ」


「なーんで研ばっかしそんなべた褒めなんだよー」


敦がふてくされてると雄人は敦と研一の肩に腕をかける。


「まあとにかくだ、こいつらは俺の友達。ティナも信頼できる友達を作れよ!それで協力して戦ったりとか出来んだろ」


「い、いきなりぶっこんでくんじゃあねーよ!ハズイだろ!」


「はは、…これから戦っていくにしても、友達がいれば心強いから。ティナちゃんも友達を作った方がいいよ」


「は…はい、分かりました。」


雄人達が話していると、先程からずっと黙っていた光がテーブルを両手で強く叩きつけ、ティナに向けて言った。。


「何で、お兄ちゃんなの!?」


「…!」


「………光?」


光は冷たい目でティナを睨み付ける。


「何でお兄ちゃんをそんな危ないことに巻き込もうとするの!?」


「お、おい光ちゃん、そんなに強く言わなくてもいいんじゃ…」


敦は光を落ち着かせようとするが、光の怒りは収まらない。


「だって!そんな、命懸けの戦いでお兄ちゃんが死んじゃったらどうするの!?……まさか昨日、私の服がボロボロだった理由って…!」


「……………ごめんなさい!!」


ティナは光に頭を下げて謝った。


「雄さんを戦いに巻き込んだことは本当にごめんなさいの思いで、いっぱいなんです。……でも、私には、雄さんしか…いないんです!」


真っ直ぐな瞳でティナは光を見つめる。

そして、雄人は光に言った。


「黙っていたのは悪かったと思っている。お前に心配かけたくないし、戦いに巻き込みたくなかったんだよ。けど、強くなんねーとお前らを守れない。この先の脅威は俺だけじゃ、どうする事もできない。俺は、お前らを守る為にも、ティナの力が必要だし、ティナを守るにも必要なんだ。俺はティナの手助けをしたいんだよ。分かってくれ光」


「!!……分からない、…分からないよ!!」


「光!」

「光さん!」


光はそう言って家を飛び出した。


「追いかけねえと!!」

「僕たちも手伝うよ!」


雄人達も家を出て光を追いかける。



―――――――




夕暮れ時、人気ひとけのない月丘町のとある路地裏――。


「あ……がっ…」


「さ、……………みぃ……」


氷漬けにされた男が四人、震えている男が一人。

そして氷漬けにした青年が一人、スーツ姿でポケットに両手を入れ佇んでいる。



「な、…なんだよてめえは!?こ、凍ってやがる!よくも俺の仲間を!!」


「いいよ、そういうの。…仲間って言ってもアンタはただそいつらを利用してるだけなんでしょ?」


「何言ってやがんだ!あいつらを解放しろよ!死んじまうだろうが!!」


「死ぬ、ね。分かった……助けてあげるよ、ただし、君が僕の頼み事を聞いてくれたらね。」


「!聞く、聞くから!!早くそいつらを!!」


「はいはいっと」


そう言うと氷漬けにした男達の氷を青年が指を鳴らした瞬間、粉々に砕けた。


「おいお前ら!待ってろ!!今病院に……!!?」


男がケータイで救急車を呼ぼうとした瞬間、そのケータイは一瞬で凍りついた。


「待て待て待て待て。…僕の頼み事が先だよ、不良少年君」


「……なら早く言えよ!!」


「分かった。…だがその前に…」


青年は男を素通りして、氷漬けにされていた四人の男の胸を指で軽く叩いた。その時、一瞬だけ蒼白く指が光ったように男には見えた。


「!?…てめえ今そいつらに何をしやがった!」


「心臓と肺に氷の爆弾を仕掛けさせてもらったよ。君が僕の頼み事を失敗した時、またはタイムリミットを過ぎた時、仕掛けた氷の爆弾を起動させて心臓と肺を氷漬けにする。心肺停止ってやつだよ」


青年は男に告げる。


「……なんて野郎だ!化け物が!!」


男は思っていたことを口にして青年は男に対して不敵に笑った。




「化け物?…少し違うな。……僕は魔物だ」




「魔物、…だと!?」


「そう、君に僕の力を貸してあげるよ。仮契約ってやつだ。手を出してくれ、三分くらいでいいか…手を握らせてもらうよ。」


男は納得していない様子を見せるが、言われるがままに青年に手を差し出した。


「じゃあ、いくよ。少し痛みを感じるだろうけど、我慢してくれ」


「あ?………っっ!!?」


男は痛みを耐えるかのように苦しみだした。


「激痛が走るだろう?悪いね、君に無理やり魔力を送っているからね、三分間耐えてくれ」


そして三分が経過し、男は息を切らして膝まずく。


「はぁ、はぁ……何だよこいつぁ!?」


「これから二時間、君は僕と同じ能力を使用できる。そして二時間後、この四人の男に仕掛けた氷の爆弾は起動する。それまでに頼み事を達成してくれよ」


「………で、俺は何をするんだよ?」


「そうだね、これを見てくれ。」


すると青年は胸ポケットから一枚の写真を取り出した。


「その写真に写っている金髪の子を、始末してくれ」


「はぁ!?何言ってんだてめえ!俺に人殺しをしろって言うのかよ!?」


「その子は人の姿をしている魔物だよ。僕と同じでね」


「だからって、こんな子供を殺すことなんか俺にはできねえぞ!」


「…分かった、じゃあここに連れて来てくれ。誘拐でいいよ。抵抗するなら手足の一、二本砕いても構わない。別にできないならそれでいい、その場合、この四人は死ぬだけだから。」


「!!(これは頼み事なんかじゃあねえ!間違いなく脅迫だ!!俺達はとんでもねえ奴に関わっちまった!!)」


「どうする?君が仲間と呼んでいるこいつらを選ぶか、その子を選ぶか……決めろ」


青年は鋭い目付きになり、男は背筋が凍りついた。

男は苦渋の決断をする。





「…っ!……分かった、その子供を、ここに連れて来る!だからこいつらには何もすんじゃあねーぞ!!」



「頼んだよ、…不良少年君」



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