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「おいっ、鉄板を発見したぞっ!」
夕張の隣の穴の方角から、その声は聞こえた。
夕張は、すぐ梯子を登り、隣の穴の中へ、飛び降りた。
その足下には、鉄板と、扉の様なものがあった。
周りには、数人の捜査員。
沈黙。
夕張は、周りの捜査員を見渡し、
頷いた。
「行くぞ」
夕張は、扉を開けて、中を見た。
中は、明るかった。地面も思ったより近い。
三メートルくらい。
躊躇なく飛び降りる。
着地。
中は、
その部屋の中は、
死臭しかしなかった。
目の前には、首がない死体。
絶対に、
あの、首の持ち主だ。
「ここを頼む」
夕張は走り出した。
奥へ奥へと進む。
道は途中で別れていた。丁度、漢字の木の字を逆さまにした様。
今、自分は、その、中心地、線と線とが交わっているポイントにいる。
直感で進む。。
自分を信じればいい。
幾つか、修羅場は抜けてきた。
俺の上司は、鬼の三崎警部だ。
なにも、怖い事はない。
「こっちだ!」
走る。
走る。
道には、なにも置いていない。
洞窟。
この表現がピッタリだ。他の部屋を横目で伺う。
殆どものは置いていない。
倉庫だったのか、はたまた、防空壕の様なものだったのか。
夕張は、雑念を振り払う。
奥へ行けば行く程、
明かりが暗くなっていく。
どのくらい走ったのだろうか?
暗い。
暗闇。
恐怖。
雑念を振り払う。
目の前に、
一つの光が、
見えた。
丁度、スポットライトの様だった。
上から、梯子が落ちていた。
よく見ると、捜査員がなん人かいる。
捜査員達は、一瞬、夕張に驚く。
だが、全員黙って上を指さすだけだった。
上?
一体上になにがあるっていうんだ?
夕張は、
一瞬の躊躇もなく、梯子を駆け登った。
◆
「つまり、バトンだったのです。一番目の走者は、司。二番目も司。三番目の走者は、鉄太朗。四人目と五人目は麒麟。殺人というバトンを、彼らは回しあったのです。バトンは、確かに、失敗なく渡せました。そして、彼らは逃げたのです。走って、逃げたのです」星座は、再度繰り返した。「走って逃げたのです。凶器というバトンを持って」




