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アジサイ笑って、走って逃げた  作者: お休み中
第六章 ぬめり、きらり、どきり
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 夕張と、十五人の捜査員は、館の前の花壇を全て掘り起こしていた。

「前も、ここは探したんですけどねえ」一人、捜査員が呟く。

「全部は、掘り返していない」夕張は、息をしながら言う。「せいぜい土の深さを調べたぐらいだ」

「うーん、でも、ないと思うんですけどねえ」

 夕張の周りは、茶色だった。

 今、花壇は、大凡、目算で三メートル程の、大きな穴となっている。

 まるで、土の密室だ。梯子と、空がなければ、の話だが。

 地上の上は、工事現場よりも、土が散乱してるだろう。土、土、土、おまけにも一つ土。

さっき梯子を登って地上を見たところ、土の量は、もの凄い事になっていた。まるで、ミキサーを回している時、地震が起こり、ミキサーが床に倒れこんだかの様な、ゴミ処理場の様な、とにかく、ピラミッド並に高い土の山が周りにできていた。また、一応、花はまた植えられる様に、地面の上で保管している。あくまで、一応だが。

 この穴の中には、四人の捜査員がいる。なん箇所か、別れて作業中。

 もし、現在の光景をヘリかなにかで上から見たら、虫が食ったかの様な、黒い横長い長方形がい五つ程、館の周囲に開いている様に見える事に違いない。

「これじゃあ、蟻だな」捜査員の誰かが呟いた。皆、青色の作業服か、制服を着ている。

「まだまだ掘るぞっ!」夕張は、全員に向かって渇を入れる。

 三崎がいない分、現場の指揮は、自分が取らなければいけない。

 彼は、腕を更にまくる。最早、グレーのスーツは、泥の布になっていたが、これは、気合いを入れる為の仕草なので、服が汚れるとか、そういった理由からくる行動ではなかった。そんな小さなものは既に関係なくなっている。現在、彼のスーツは、最早泥しかついてないんじゃないか、というぐらいに、泥まみれになっていた

 しかし、捜査員達がぼやくのも無理はない、と夕張は思った。

 何故なら、警部の命令で、一応花壇全てを、掘り起こしてはいるのだが、例え、もし例え、地下室が見つかったとしても、どうやって、この数メートルの地面をかいくぐって、犯人は移動をしたのか、という疑問が残る。というか、その条件があったから、今までの捜査でも、ここの花壇がそれほど、重要視されていなかったのだ。

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