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アジサイ笑って、走って逃げた  作者: お休み中
第四章 ふわり、はらり
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 茶話矢は、自分の車の中にいた。

 明らかに、飲みすぎた。

 絶対に、飲みすぎた。

 いつ以来だろうか?

 あれは、成人式だ。

 あれ以来かも。

「茶話矢さん、大丈夫ですか?」樫木が、スポーツドリンクを買ってきてくれた。

「ああ、ごめん。ありがとう」茶話矢はプルタブを、押し上げようとする。「あ、開かないよー」

「もう、茶話矢さんはー」樫木は、プルタブを、カコン、と押し上げた。

「ええ、ええ、ありがとう」

「始発まで、あとなん分ですかねえ?」樫木は携帯のディスプレイを見た。「ちょっと、調べてみましょうか?」

「うん、ありがとう」

 ああ、そうだ。タクシー乗るお金が、なかったんだ。というか、この辺タクシー通ってないんだっけ? どっちだったっけ? いや、電話すりゃあいい話だよな。

「今なん時?」

「三時です」

「眠い」

「寝ないで下さいよ」

「えー、なんでーっ」

「いや、まあ、その、色々と、まずいでしょう」

「なにがー?」

「ほら、とりあえず、それ飲んで下さい」

「意地悪ぅ」

「やっぱり、タクシー呼びましょうか」

「お金ない」

「いえ、まず、僕の家へ、行けば大丈夫です」

「いやだー」

 ほえー。

 くらくらする。

 つーか、

 うーんと、

 さっき、なにを話していたんだろう。

 覚えていない。

 いや、覚えているけど、

 えーと、

 なんだっけ?

「私、先月誕生日だったんだー」

「それ、もう聞きましたよ」

「もう、この歳になるとね」茶話矢は目を瞑りながら言う。「嬉しくない」

「そんなもんですかねえ」

「私の好きな男のタイプはー」茶話矢は、スポーツドリンクを一口。「花の指輪を、誕生日に、くれる様な人」

「えっ? それ、ちょっと引きません?」

「そんな事ないよー」

「いや、キザすぎますって」

「眠いー」

「寝ちゃ駄目ですよ」

「ううーん」

 茶話矢は、樫木の肩に、頭を置いた。

「もう駄目」

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