胸騒ぎ!
いつも寝ている時間になってもなかなか寝付けずにいたら奈穂ちぃが「怜ちゃんどういたしました?いつもなら、とっくに寝ている時間なのに。」
「嫌。なんか胸騒ぎがして寝付けずにいるんだ。」
「胸騒ぎか。私もたまにあるな~。」と七華。
と、そこで奈穂ちぃが「私が言えた義理じゃありませんが夜更かしは身体によくありませんよ。」と言って来た。
「あぁ。そうだな!!私は大丈夫だ。すまない心配かけて。」そう言い私は2人が寝るまでの間は寝たふりをすることにした。
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結局、三時間くらいしか寝れなかったな~。
あ~…。身体が重たい…。
ふらふらする…。
そんな事を思っていたら、奈穂ちぃが「おはようごさいます!!」と元気に挨拶してきた。
「あぁ。おはよう。」
「もうそろそろ隼田さんを起こしましょうか!!」と奈穂ちぃ。
「…そうだな。」と言い、私はあえて元気なふりをした。
奈穂ちぃは一瞬「?」という顔をしたが、気付かなかったのか、スルーしてくれたので一安心した。
「隼田さん朝ですよ。起きてください!!」と言い奈穂ちぃは七華の肩を軽くぽんぽんと叩いて起こす。
七華は「ふぁぁ~。おはよう。」と言い眠たそうに延びをしている。
「さぁ、朝食に行きましょうか!!」といつも通り元気な奈穂ちぃであった。
部屋から出たらばったり明達と会った。
まぁ、隣の部屋だから珍、恋が「相変わらず怜と明は息ぴったりだね~!!」と感心したように言う。
「たまたまでしょ。それよりおはよう!!」と明。
「あぁ。おはよう。」と私が言うとつづけざまにお互いに挨拶しあった。
「さぁ、朝食に行くか!!」と今度は七華が先陣切って言った。
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学校に着くと既に何人かの人達が教室にいた。
そしてとある話てで持ちきりだった。
「そこの席の人どんな人かな~!!」
「噂だと、男子生徒ってきいたよ!」などと大変盛り上がっている。
と、そこで先生が入ってき、教室の外には人影が見えた。
「みんな席に着いて下さい!皆さん知っての通り今日でこのクラスの生徒が全員揃いました!さぁ、教室へ入って下さい!」と先生は外にいる人に声をかけた。
その生徒が入って来た瞬間、私は身体が硬直した。
前の席2つからは、私が硬直するのと同時にガタンと椅子の音がした。
誰かは、言うまでもないがやはり明と優だった。
「!?」とクラスの人達みんな2人に注目している。
「あれ~!明ちゃんと優くんじゃん!久しぶりだね。1年半ぶりだね。」と、いきなり男子生徒は言って来た。
「えっと…。まず、自己紹介してもらっていいかな?」と困惑したように先生が言う。
「はい。僕の名前は、黒森桐です。みんなよろしく。」
「席は、あそこの空いてるとこね!」と先生が自己紹介を終えた桐に席を教える。
「はい」
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しばらくしてホームルームが終わった。
しかし驚いた。まさか、あのきーちゃんがいるなんて…。
そう。私が男嫌いになった元凶の人が…。
そんな事を考えていたら、隣に明と優が来た。
「怜。顔色悪いよ。大丈夫?」と明が心配そうに私の顔を覗き込んで来た。
私はなんで2人がきーちゃんの事を知ってるのかと思ったが、知っていてもおかしくはないと思った。
だってきーちゃんは小学校からずっとここの学校に通っていたから。
そんな事を考えつつ、「えっ?そんな事ないぞ。大丈夫だ。」と慌てて返事をする。
とそこで桐がやって来た。
「もしかして…。れーちゃん?」ときーちゃんが言って来たので、「あぁ。」と私はあえて何でもないという態度をとった。
内心はとても震えていた。
だが、周りに人がいたから態度に出すわけにはいかなかった。
そんな事をしたらまた…。
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「もしかして…。れーちゃん?」
気づいたら僕は、なぜか女子の制服を着た美人な女の子に向かって、幼なじみの男の子の名前を呼んでいた。
だが、その子はなんの躊躇いもなく肯定したのだ。
だから僕は2つの意味で驚いた。
だって今まで男の子と思っていた幼なじみが女子の制服を着ているのだから。
それと、自然にその子の名前を呼んでいたから。
その子は生まれつき身体が弱くとても痩せていた。
髪はショートカットの黒。服は男物を着ていたし、男の子のような口調だったから間違えるのはしょうがない。
だが、僕は小学校卒業したくらいにしてはならないことを彼にいや、彼女にしてしまった。
女の子には、特にだ。
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「びっくりしたよ!!まさかれーちゃんがここの高等部に来るなんて!高等部からだよね?」ときーちゃんが驚きながら言う。
「中等部の三学期くらいからだ…。」と私は困惑気味に答える。
と、そこで「なんで桐が怜の事知ってるの?」と明が不思議そうに首をかしげながら聞いてきた。
その答えに「僕とれーちゃんは幼稚園からの幼なじみなんだ!でも、びっくりしたよ!!」ときーちゃん。
「まじっ!!私、怜と桐が幼なじみだって初耳なんだけど!」と明が不満そうに私ときーちゃんを交互に見ながら言う。
「当たり前じゃん!だって明ちゃんとれーちゃんが会ったのって中等部のときでしょ!」と自信満々にきーちゃんは言っていたのでどうにもつっこめなかった。
明も同様に「…。」と黙っていたら、「俺と怜と明は三つ子だ。」と優がさらっと暴露した。
その事実を聞いてきーちゃんは「……え~!!」ととても驚きながら叫んだ。
そのため周りのクラスメイトの視線が一気にきーちゃんに集まった。
「ほんとに!!」と、やや周りからの注目を気にしつつ桐が言った。
「うん…。」
「ところで怜。いつ桐と知り合ったの?」と恋が興味津々に聞いて来た。
「…えっと…。病院前の公園だ…。」
「そうそう。その時、僕は友達と遊んでたんだけど、ベンチ越しに同じ年位の子が羨ましそうに見ていたから誘って一緒に遊んだんだ。それからよく遊ぶようになって…って感じかな。」そんな事を言う桐だったが、少し寂しげな顔をしていた。
私には、大体は、予想出来たが口には出さなかった。
考えるまでもない。
だってきーちゃんは私の事が嫌いだろうから。
「い…怜。本当にどうかした?大丈夫?」
「…。えっ!?何!?明どうかした?」
「それは、こっちのセリフよ。さっきからずっとボーッとしてるじゃん。」
「あぁ、それは、少し寝不足なだけだ。」
「本当に?」
まぁ、事実だし一応、嘘ではないな。
「う~ん。それだけ…ならいいけど。」と、渋々了承してくれた。
そんな明を見て、単純でいいなぁ~と思う怜であった。
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今日、最後のチャイムが鳴り響き、此にて本日の授業終わり。
「やっと終わった~。」
何年ぶりにれーちゃんに再会したけど、ボーッとしてて、なんか元気なさそうだったな…。
僕のせいかな…。
もしかして…あの時の事気にしてるのかな…。
冗談半分でやった事だけど、怯えた顔してたし…。
なんで僕はあんな事したんだろう。
「は~。」
「桐。」
うわっ!!びっくりした~。
考え事をしてたら突然、優から声を掛けられビクッと肩が上がった。
「な…何?」
「浮かない顔してどうしたんだ?怜もそんな顔してだが、お前らなんかあったのか?」
「……。いや、僕が悪いんだ…。れーちゃんと最後に会った日…してはいけない事をしてしまったんだ…。冗談半分でした事だったんだけど、れーちゃんはとても怯えた顔してたし…。それで怖くなって逃げてしまったんだよね…。」
「!?」