頭を掠める
「よっ!久しぶり。俺の事憶えてるか?」
そう言って体育委員長の修がわたしのところに寄ってきた
私と明の目の前まで来ると立ち止ったので顔を見てみるとニコッと笑っていた
普通に笑っているのに何処か不気味で見覚えのあるような気がするのだか思いだせないのだ…
「⋯すみませんどちら様ですか?心当たりが無いのですが…いつかお会いしましたっけ…?」
私がそう発すると部屋全体が一気に静まりかえった
そして見渡してみると一部の人は皆ら目を真ん丸にして驚いていた
『⋯えええぇぇー』
私の発言に驚いていた深雪姉ちゃん、朱音姉ちゃん、みーちゃんの3人は少し間をあけて一斉に叫んだ
「れ⋯れーちゃん⁈本当に憶えて無いの!?」
いつの間にか私の横に座っていたみーちゃんから、手をガシッと掴まれた
「?」
「そうだよ。昔あんなに修の後ろに付いていっていたじゃ無いか!羨ま⋯いやっ微笑ましいくらいに」
私が?
朱音ちゃんは何を言ってるんだ
「そうだったんですね朱音!修が羨ましかったのですね」
そう言って深雪姉ちゃんは朱音姉ちゃんを見てからかっていた
「な何を言うんだ君は…べ別に私はそんなこと思ってない」
誤魔化しているつもりだろうが怜以外みんなきづいていた
「ちょっと待って一気に言われても困る…とりあえず口にだして整理してみる。えーと⋯幼なじみは同い年に2人一つ上に3人だ…私をいれて6人になる。私、深雪姉ちゃん、朱音姉ちゃん、みーちゃん、それから、きーちゃん」
「ん…あれ?一つ上の幼なじみ後1人って⋯」
だんだんとこんがらがってきた
人数では確かに憶えてるのにその人の顔や名前を完全に忘れているのだから
単に忘れているだけかあるいは⋯
「怜、大丈夫?とりあえず今日は寮部屋にもどろうか会長!それから皆さん私達はお先に上がらせて貰います」
お姉ちゃんは、私の様子がおかしい事に気付いたのか背後から私の空いてるほうの肩に手をのせて皆にそう言った
「えーと⋯怜が帰るなら私も帰ります!奈穂ちぃも一緒に帰るよね⁉︎」
明には、奈穂ちぃも一緒に来る事がわかっているらしい
「えぇ。怜ちゃんが先に上がるならもちろん私も上がらせて頂きます」
もちろんなんだ⋯と思ったがこれは口に出さないでおこう
「わかった。じゃあね。これからよろしく」
会長はにこやかにそう言った
───────────────────
あれから数十分後⋯
私達は自分の寮部屋へ戻っていた
「怜…少しは落ち着いた?」
私が自室のベッドに腰掛けているとお姉ちゃんが顔を覗きながら聞いてきた
「あぁ。ありがとう」
ごめんと言うのもおかしい気がするし何とかえせばいいのか分からなかったので一言お礼の言葉を告げた
「さっきの状況を察するに以前、夕立先輩と何かあったの?」
やはり察しの良い奈穂ちぃが尋ねてきた
「うん⋯それが憶えてないんだよな⋯後少しでなんか思い出しそうなんだか⋯同時に思い出してはいけない感じもするんだ」
う〜ん⋯
そこで昔1番思い出したく無いある出来事とその時に深く関わった人の顔がほんの一瞬フラッシュバックした⋯
「つっ…」
少し動揺してしまったが声は何とか出し留まった為、誰にも気付かれずに済んだ
「怜?」
いっとき黙っていた私を不審に思い今度は明が顔を覗き込んできた
「大丈夫だ…皆部屋に帰ってくれていいぞ…」
私はぎこちなくだが笑顔を浮かべそう言った
「そうね。よし帰りましょうか」
お姉ちゃんはそう言って明を促しながら部屋を出て行った
「さてと、もうこんな時間か⋯」
時間経つの早いなぁ〜
春だが日が落ちて辺りは大分暗くなっていたのだか気が動転して気づいていなかったらしい…




