第一話 夢のはじまり
こちらはハヤブサの作品がコラボする小説です。
読まずに楽しむ事も出来ますが、拙い文のため、他の作品を読んでからお読みする事をオススメします。
~一八九〇年仏蘭西~
「ん……日本に戻れる、のか?」
仏蘭西のとある場所にある建造物。
そこは妖魔会という悪魔との共存を目指す団体が密かに暮らしていた。
その一室で、一人の上司と一人の部下が話し合っていた。
否、上司と部下と言うには関係が密接すぎる。
そう、許嫁という関係なのだ。
「そうだ、日本に出張があってだな、護衛も必要だから隆史くん、君を連れて行こうかと考えたのだが……行くよな?」
「そりゃ、もちろんだけど」
そこで話す男女は仲睦まじい。
上司である女性のライラ・ライガネットとその部下である男性の安倍隆史はベッドを共にしながらそのような会話をしていた。
ライラは金色の髪をさらさらと揺らしながら、隆史の腕枕に甘えるように頭を擦りつけ、言葉を続けていく。
「新婚旅行となる訳だから、頼むぞ」
「新婚旅行……ってまだ籍を入れていないけどね。まぁ、そういう気分かな」
「しっかり案内してくれ」
ん、と頷いて隆史は小さな少女の頭を撫でて承諾の意を示す。
それに安心した様子にライラは吐息を漏らすと、目蓋を閉じた。
それを確認してから、隆史はその頭を掻き抱くように眠りに落ちる。
この旅行が、思いもよらぬものになるとは思わずに……。
~二〇××年日本~
「合宿を行う」
「……突然、何ですか? 先生」
時は移ろう。世界も移ろう。
平成の世と呼ばれる世界のとある学園の一つの部屋には何人かの少年と一人の教師が椅子に座って話し合っていた。
無精髭を生やした教師らしかぬ教師は教え子達に告げる。
「火影がだな、君達と修行がしたいと言い出したのだ」
「火影さんが……?」
椅子に腰掛けていた一人の少女、シオンが小首を傾げる。そして視線を隣の生徒、忍に向けるが彼も理解できないように首を傾げていた。
「最近、火影兄さんの手紙が届いたけどそんなことは書いてなかったけどなぁ……」
「というか、文通かよ……」
彼の友人である剛は呆れたように言う。他の生徒もうんうんと頷いている。
「味があるから良いだろ?」
「そういう問題……なんだろうな、きっと」
剛が無理矢理納得する、それを見計らって先生が再び口を開いた。
「でだ……突然なので、参加出来るものだけで良いから参加してくれ。集合場所はここで、時間が……」
告げられた日程を確認する生徒達。しかし、ほとんどが首を振る。
そんな中、忍とシオンは手帳を覗き込んで声を上げた。
「あ、空いていますね。ああ、ここって兄さんに空けとけ、って言われていた日……」
「なるほど、サプライズだったのかもな。中野先生、自分も大丈夫です」
「おお、そうか……ということは、三人になるかもしれんが……まぁ、構わんか」
中野先生は頷いて懐から手帳を通りだしてメモをする。そしてその言葉を発した。
「解散だ」
その瞬間、一同は消えた。
火になって燃え上がったり、風と共に消えたり、水と化したり。
そう、ここに集まった彼らはただの学生ではない。魔術が扱える学生だ。
そして、この合宿の真の意味はそこにある……。
~二〇〇年頃中国大陸荊州~
「香様、香様、書物を確認した所、時空間転送装置、というのを確認する事が出来ました」
「本当っ!?」
時は遡る。大昔へと。
大昔の中国、荊州と呼ばれていた地区では三国志として同じの劉備軍が駐屯していた。
赤壁の戦いにて、曹操を撃退した頃の話である。
劉備軍で軍師を務める諸葛孔明には愛する少女のような風貌の女性がいた。
しかし、その少女は未来の平成からタイムスリップした、という。
かくして、橘香、通称、香は平成に戻るため、その書物を求め、そして孔明はそれを助けていたのだが。
荊州の城の書庫から何か、孔明は見つけたようだ。
「こちらです。香様」
「どれどれ? えっと……」
香はその書物に顔を寄せるが、何分、漢文であり達筆なメモだ。読み取るのは難しい。それをもちろん知っている孔明は朗々とその文面を語った。
「蔡瑁の汚らしい字ですね……。ええと『徐庶といういけ好かない軍師と酒を飲み交わしたが、なかなか理解深い奴だ。いけ好かないと思ったのは過ちだったかも知れない。徐庶は信頼の証、として時間を渡ることが出来るという秘密の装置を教えてくれた。私はそれをここに記す』とあります」
「へえぇ……もしかしたら、徐庶は私達がこれを読むかも知れないと思って蔡瑁に書かせたのかもね」
「そうですね……なるほどなるほど……そういう仕組みですか」
孔明はその書物を読むと、パタンとそれを閉じた。
「装置自体は難しくありません。呉の大都督に援助を頼みましょう。我が同志です。きっと力を貸してくれるでしょう」
「う、う……ん、まぁ、お願いするわ」
香は曖昧な顔で頷く。
言わずもがな、孔明は少女の風貌の香を愛していることから彼はロリコンである。つまり、その同志と言えば、その者もロリコンであるのだ。
だが、大都督である以上、権力者なのだ。いろいろ手配してくれるだろう。
「まぁ……貴方を信じるわ」
「はいっ!」
孔明は意気揚々とその部屋を後にする。
しかし、この装置はとんでもない時空へと彼らを招くのであった。
~時代不明異世界~
「あれ……? エビシ、ここなんだろう」
「うん……?」
さらに世界は移り、地球ですら無くなる。
ここはRPGの世界であり、そこには二人の男女がいた。
いや、片割れは男というのには無理があるし、そもそも一人の男ではない。
その男は実は魔物、スライムである。とある理由から勇者を扮して暮らす事となっていた。そのための形を保持するべく、三体のスライムが融合し、一つのスライムマンとなっているのだ。
さて、そんな勇者、エビシは武器屋の娘、アミカにすっかり惚れられ、共に行動をしている。
そして次の町を目指す中、アミカは道中、何かを見つけたようだ。
エビシは彼女の元に向かってその視線の先を追う。
そこにはぽっかりと空いた大きな穴があった。ちょっと先は闇で奥がどうなっているかどうかは分からない。何なのだろうか。
ふと、アミカは何か思い付いたように手を叩いた。
「あ、これって隠しダンジョンじゃない?」
RPGお決まりのボーナスダンジョンの隠れダンジョンと推測したようだ。
「隠れダンジョン?」
「そそ、隠しダンジョン。もしかしたら何かあるかもしれないよ?」
(……こんな所にあったっけ?)
思わずエビシは独り言を漏らす。否、独り言ではない。彼の中には他に二人のスライムがいる。
(……記憶にはないな)
(あれじゃねーの? 出来たばっかりのダンジョン)
(危険性はなさそう、だがな)
思いの外、二人は楽観視している。
この二人はスライムBとスライムC、通称、ビーとシーである。身体を操っているのはスライムAこと、エーなので三人でエビシという名前なのだ。
(入って探ってみるべき?)
(……まぁ、損はないと思うが)
(おうおう)
大丈夫そうならば、とエビシはアミカの手を取った。
「一緒に探ってみよう。万が一のことがあれば、守ってあげるから……」
「……うんっ」
アミカは嬉しそうに目を細めて頷く。
そして、二人はその穴の中に身を投じた。
それが、どこに続くか、知らずに……。
~???~
「さて、読者の皆さん、この状況、はっきり言って理解出来ないだろう。いろいろと解説は挟んでいるが、何故こんな様々な境遇の登場人物が同時に出てくることに不審に思っているはずだ。そうでなければおかしいと思うね」
「実はこの世界、複数の世界が重なり合っている」
「最初の世界は『月夜に舞えよ、妖魔の民』」
「二つ目は『魔術師達の舞踏会』」
「三つ目は『孔明は幼女を愛す』」
「四つ目は『あの……倒しちゃったんですけど』だ」
「この複数の世界が絡み合い、衝突を行ったら……非常に面白いと思わないかい? 誰得、と言われたら自分の得にしかならないだろうね。だけど、以上四作品を読んだ上でこれを読めば少なからず、追いついてこれるはずだ。面白いかどうかは分からないけどね」
「……いや、いろんな人からバッシングを受けそうな作品ではあるけどね。まぁ、気まぐれで書いた作品。ついてきてくれると嬉しいな。同志達よ」
「さぁ、案内しよう。ハヤブサの世界へと」