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一人暮らし

作者: しおんえみ

 ある雨の日、私は仕事場から徒歩で、傘を差して家へ帰った。普段は自転車で通勤しているのだが、朝から雨予報だったので、歩いて通勤したのだった。濡れた傘を玄関に置き、リビングへと向かい、雨でじっとりと湿気った服を脱ぎ、冷房の設定温度を下げ、シャワーを浴び、予め用意しておいた部屋着に替える。濡れた髪の毛のまま、冷蔵庫から冷えたビールを取り出し勢い良く飲むと、まだ冷房の効いていない部屋で、熱く火照った体が芯から冷えるのを感じた。空きっ腹にビールを入れたので、じんわり胃が熱くなってきた。

 なにかツマミになるものをと、冷蔵庫の中からウインナーを取り出し、フライパンに水を入れ茹で焼きにする。ウインナーを箸で転がしながら、水分がなくなり皮の弾ける音がしたら完成だ。そのまま一本口に運ぶ。バキッという音と共にジュワッとした肉汁が溢れ出す。ウインナーを焼いている間に、ぬるくなった缶ビールの缶は、すっかり汗だくになっているが口の中の油を心地よく流してくれる。他にも作ろうかと再び冷蔵庫の中を見ると、納豆があった。小分けしてラップに包み冷凍していた、ご飯を冷凍庫から取り出しレンジにかけた。

 たくあんを細かく刻んで、ひきわり納豆に入れタレを混ぜる。温まったご飯のラップを剥がして、丼に移し、ご飯をならす。先ほどのたくあん入り納豆をご飯の上に乗せ、納豆の中央を凹ませ卵黄を乗せる。


 のりと白ごまをふりかけ、爆弾丼の完成だ。


 後は、お椀にインスタントの味噌汁をあけ、電気ケトルで沸かしたお湯を注いで、かき混ぜる。暑い日はこれで十分だ。

 ろくに料理をしてこなかったが慣れてしまえば、なかなか楽しいものだと気がつく。これを料理というのかは怪しいが、毎日のものなので、ハードルは低ければ低いほどいい。

 にしても、簡単なのに美味い。ただ材料を刻んで混ぜただけなのに。美味い。

 

 何か、物足りなかったので、冷凍庫からアイスクリームを出して食後に食べた。食べ終わったら食器を片付け、リビングのソファーに腰を落として、スマホを見る。ウミガメの産卵の動画で、もらい泣きをし、日頃の疲れが少し浄化された。次に簡単そうな料理の動画を見たが、揃わない食材が多く簡単そうではなかった。

 ガッカリしかけたが、次のオススメ動画はネコだったので再び癒やされた。やはり動物の動画は癒やされる。


 イヌも可愛い。虫以外はたいてい可愛い。


 タヌキの可愛さにも最近目覚めた。


 気がつくと、かなり時間が経っていたので、寝ることにした。

 

 すると、風呂場のほうから、ぴちょん…ぴちょん…という蛇口から水のしたたり落ちる音がしたので、慌てて風呂場の蛇口を締めた。どうやら少し緩んでいたらしい。料理と食事と動画で、水音に全然気が付かなかった。このまま朝まで寝てしまったら水道代がもったいない。気がついて良かった。




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