第二十三章39 【アンサー・クリエイト/第10席戦5】39/【唯野 芳一】対702名19
【芳一】対【テンスカイ・グローリー】による最終決戦三番勝負の一つ目が始まった。
まずは、創作タイムだ。
お互い、それぞれの【覇王杯/オーバーロード・カップ】に出場経験がある者として【創作物】での勝負となった。
3時間の内、1時間ずつが持ち時間で、3つの【世界観】を考える。
それを1つずつ玉に込め、相手の3つの玉から1つを選び、【世界観】同士をぶつけ、破壊された方が負けという勝負だ。
イカサマ、ルール違反が許されない真剣勝負。
どっちが勝つか解らない。
待ったなしの戦いである。
【芳一】の得意とするたくさんの【テーマ】を込める事は禁止している。
【芳一】は元々、1つの物語にもの凄くたくさんの複数の要素を複雑に絡めて作る事を得意としているが今回はそれを自ら封印している。
1つの【物語】の主題となる【テーマ】は1つずつのみ。
それ以上、膨らませる事は否と言うルールを課している。
その条件で考えると、
【芳一】は、1つ目は、【こけし】を題材にした物を考える事にして、
2つ目は、【仲間はずれ】から転じた【味方はずれ】を題材にした物を考える事にして、
3つ目は、【スタジャン(和製英語/スタジアムジャンパー)】をテーマにしたものを考える事にしている。
対して、【テンスカイ・グローリー】は、
1つ目は、【仮装】をテーマに考える事にして、
2つ目は、【くのいち】をテーマに考える事にして、
3つ目は、【接着】をテーマに考える事にして、
それぞれ、【物語】を考えた。
そして、お互い、3つの玉に【物語】を込めて選択した。
結果は【テンスカイ・グローリー】の勝利だった。
勝因は選択肢が功を奏した結果となった。
【芳一】の【こけし】と【スタジャン】のテーマのどちらを選んでいても彼女は負けていたし、【芳一】は彼女が最も力を入れていた【仮装】を選んでしまった。
【芳一】の【最弱】だった【味方はずれ】と【テンスカイ・グローリー】の【最強】だった【仮装】の組み合わせがあってはじめて彼女は勝利する事が出来たのだ。
自分の負けは確実だと思っていた【テンスカイ・グローリー】は、
「こんなことが・・・」
とつぶやいた。
【芳一】は、
「言ったろ。
平等にルールを作るって。
今回は組み合わせがそっちに味方した。
ただ、それだけの話だ。
だけど、追い詰められた時、僕は本領を発揮するタイプだ。
これで崖っぷち。
条件は揃ったって事だ」
と言った。
それが強がりなのか何なのか解らないが、【芳一】は負けるつもりは無いようだ。




