95.この子の事…傷つけたくないんだ…
入場門から現れた黒髪の女の子。
ティオに似た雰囲気を持っているけど…。
「我が実験体"099号"!お前と同じ"竜人"だ!」
「実験体099号!?」
どういう事?実験体099号って、それに、"竜人"って言った!?
何が何だか分からなかった…。
キアヌの言っている事が…。
ティオ以外で竜人を見たのは初めてだし…。
それに、あの子の目つき、生気を感じない…。
「まずは性能を見せるとするか…099号、やれ!」
「はい…」
099って呼ばれている女の子はキアヌの指示に従って仕掛けてきた。
ドッカーン!!
「きゃあああああああああ!!」
「な、なんだあれは!?」
「余興じゃない!逃げろおおおおおおおお!」
女の子は手から黒い炎を出して地面を思い切り殴った。
その威力は凄まじく、大きな穴が開いた!
これがこの子の魔力!?
そして、その威力を目の当たりにした観客たちと私達以外の学院関係者は一斉に逃げ出した。
「魔力?違うな!この099号には特別な物を摂取させたんだ!」
「特別な物?」
「さっき100号に飲ませた飲み物があるだろ?あれは、亜獣人の戦闘意欲を活性化させる効能がある活性剤を入れていたのだ!準決勝では3分の1、そして決勝戦で飲ませたのには大量に…」
「なんでそんなものを作ったの!?」
「元々は我が組織で亜獣人を戦闘の道具にするつもりで私が開発した…」
「戦争の道具!?」
「無論、急激に体力が落ちる"副作用"がある…そこで私は研究に研究を重ねて生み出したのだ!完璧な活性剤を!そして実験は成功した!それがこの099号だ!」
キアヌは全くもって申し訳なさの欠片も感じられない程に清々しい顔で堂々とすべて喋った。
いくらなんでもやりすぎだよ!
「さあ099号、100号を捕まえろ!」
「んぐ!」
女の子はティオの首元を掴んでいた。
ティオが苦しそうにしている!
助けないと!
「止めて!あなた、どうしてこんな事をするの!?本当は嫌なんじゃないの!?」
私は必死で女の子に訴えかけた。
でも、顔色1つ変えなかった!?
なんで…?
「無駄だ、完璧な活性剤の効果により、私の命令に忠実になっている!お前の言う事など聞く耳を持たん!」
「ティオ、こうなったら本当はいやだけど、この子に攻撃を!」
仕方なしに私は攻撃しようとした…。
でも…。
「ごめんお姉ちゃん!」
「ティオ?」
「僕、この子の事…傷つけたくないんだ…分からないけど…」
「どうして…」
ティオは無意識に女の子に攻撃をしようとしなかった…。
なんで…
「やれやれ…こういうのは勘が鋭いんだな…100号、無意識に攻撃出来ないんなら私が答えを教えてやろう…」
答え?
答えってどういう事?
「100号、お前とその099号はな、血を分けた実の姉弟なんだ!」
「え!?」
「え!?姉弟!?」
どいういう事!?
この子とティオは姉弟!?




