92.僕…もっと、戦いたい!!
ついに中等部の模擬戦の準決勝が始まろうとしていた。
ティオの相手はアギトを負かした剣術科の生徒。
とっても強そうだけど、ティオはめげずに火の魔法を繰り出し続けた。
相手は土の魔法で壁を作って防御しているけど、ティオはそれでも攻撃を繰り返した。
「お前、最近噂になっている竜人の亜獣人の割に弱いな…さっきもマグレで勝っていたし…」
相手は余裕ぶって片手でティオを素止めしている。
「ひぃ!」
相手の顔を見た途端、sつりょくからティオは怯え始めていた。
やっぱり、元々優しい上に戦う事が好きじゃない性格だから、怖いよね?
(こ、怖い…でも、何だろう…力が…)
「何!?」
「え!?」
いきなりティオは相手の顔を殴りかかった…。
(どうして?今までそんな事した事無かったのに?)
私は疑問に思った…
相手が逆上してティオに襲い掛かった…。
でも…
「うっ!」
今度は相手のお腹を蹴った。
相手はすごく苦しそうだった…。
なんだろう?
微かにいつものティオと違う気がする。
その気持ちはテレシーとアギトも同じだった。
「リタ…ティオ君、なんかすごくない?あんなに強かったっけ?」
「竜人は最強の種族と言われているが、ティオに限ってそういうのってアリか?」
私は絶対にありえないと確信した。
なんかいつものティオと違う気が・・・。
そして相手はもう降参しようとしていた。
「分かった…ハチマキやるから…」
「……え?あれ、僕…何して?」
相手の降参によってティオが勝った。
これで中等部の決勝進出が決まった。
でも、私は不安だった。
今はどうやら落ち着いているけど、さっきのはなぜかティオがティオじゃない気がして…。
ティオは本来優しい子なのに、なんなのさっきの…。
私の心の中に抑えきれない心配が溢れていた。
控室で給水していると、ティオはふと私に話した。
「なんか、さっき、すごい感じがしたんだ…」
「すごい感じ?」
「なんか、すごく戦いたいって気持ちがして…」
「それって…」
「やあティオ君!大丈夫かい?」
「キアス先生!さっきはありがとうございました!なぜかわかりませんが勝てました!」
「よかったね!じゃあさ、これも上げるよ!」
「これは?」
「うん!栄養ドリンクみたいなものかな?安心して、苦くないから!」
「いただきます!」
キアス先生からもらったドリンクをティオは何気なく飲んだ。
キアス先生も心配しているんだね…。
亜獣人の観察が好きって言っていたから…。
「よし!じゃあ行ってくるね!」
「う、うん…気を付けてね…」
そして、不安が残ったまま決勝戦が始まった。
決勝戦のティオの対戦相手は『牛人』の亜獣人だった。
ーー牛人
牛の亜獣人。
人間以上の怪力を持っていて、力仕事や格闘技などの力技で勝てる者はいないと言われている程…。
ティオはそんな牛人の相手に怯えているけど、なぜが足を止めなかった。
そして、ティオと牛人の戦いが始まった。
「ふん!」
「ん!」
「ティオ!」
ティオはさっきと違ってなぜが手を止めなかった。
どうして?
ティオはいつの間にか体がボロボロになっていて、顔も傷だらけになっていた。
「うわ!」
「ティオ!もうやめて!」
私はティオが心配で仕方なかった…もうこれ以上が危ない!
そう思ってティオに駆け寄る…。
「ティオ、もうやめましょう!相手が悪すぎるよ…」
宥める私。
でも、ティオは明らかに様子がおかしかった。
「止めないで、お姉ちゃん…」
「ティオ…」
「僕…もっと、戦いたい!!うがああああああああああああああああ!!」
「ティオ!?」
いつものティオじゃない…!?
こんなティオ初めて見た。
今のティオはまるで戦いを求める狂人だった…。
優しいあの子がこんなふうになるなんて…
なんで!?
どうしちゃったの!?




