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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
6章 学院体育祭

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92.僕…もっと、戦いたい!!

 ついに中等部の模擬戦の準決勝が始まろうとしていた。


 ティオの相手はアギトを負かした剣術科の生徒。

 とっても強そうだけど、ティオはめげずに火の魔法を繰り出し続けた。

 相手は土の魔法で壁を作って防御しているけど、ティオはそれでも攻撃を繰り返した。


「お前、最近噂になっている竜人(リューマン)の亜獣人の割に弱いな…さっきもマグレで勝っていたし…」


 相手は余裕ぶって片手でティオを素止めしている。


「ひぃ!」


 相手の顔を見た途端、sつりょくからティオは怯え始めていた。

 やっぱり、元々優しい上に戦う事が好きじゃない性格だから、怖いよね?


(こ、怖い…でも、何だろう…力が…)


「何!?」


「え!?」


 いきなりティオは相手の顔を殴りかかった…。


(どうして?今までそんな事した事無かったのに?)


 私は疑問に思った…

 相手が逆上してティオに襲い掛かった…。

 でも…


「うっ!」


 今度は相手のお腹を蹴った。

 相手はすごく苦しそうだった…。


 なんだろう?

 微かにいつものティオと違う気がする。

 その気持ちはテレシーとアギトも同じだった。


「リタ…ティオ君、なんかすごくない?あんなに強かったっけ?」


竜人(リューマン)は最強の種族と言われているが、ティオに限ってそういうのってアリか?」


 私は絶対にありえないと確信した。

 なんかいつものティオと違う気が・・・。

 そして相手はもう降参しようとしていた。


「分かった…ハチマキやるから…」


「……え?あれ、僕…何して?」


 相手の降参によってティオが勝った。

 これで中等部の決勝進出が決まった。

 でも、私は不安だった。

 今はどうやら落ち着いているけど、さっきのはなぜかティオがティオじゃない気がして…。


 ティオは本来優しい子なのに、なんなのさっきの…。

 私の心の中に抑えきれない心配が溢れていた。




 控室で給水していると、ティオはふと私に話した。


「なんか、さっき、すごい感じがしたんだ…」


「すごい感じ?」


「なんか、()()()()()()()って気持ちがして…」


「それって…」


「やあティオ君!大丈夫かい?」


「キアス先生!さっきはありがとうございました!なぜかわかりませんが勝てました!」


「よかったね!じゃあさ、これも上げるよ!」


「これは?」


「うん!栄養ドリンクみたいなものかな?安心して、苦くないから!」


「いただきます!」


 キアス先生からもらったドリンクをティオは何気なく飲んだ。

 キアス先生も心配しているんだね…。


 ()()()()()()()()()って言っていたから…。


「よし!じゃあ行ってくるね!」


「う、うん…気を付けてね…」



 そして、不安が残ったまま決勝戦が始まった。



 決勝戦のティオの対戦相手は『牛人(ミノタウロス)』の亜獣人だった。


 ーー牛人(ミノタウロス)

 牛の亜獣人。

 人間以上の怪力を持っていて、力仕事や格闘技などの力技で勝てる者はいないと言われている程…。



 ティオはそんな牛人(ミノタウロス)の相手に怯えているけど、なぜが足を止めなかった。


 そして、ティオと牛人(ミノタウロス)の戦いが始まった。


「ふん!」


「ん!」


「ティオ!」


 ティオはさっきと違ってなぜが手を止めなかった。

 どうして?


 ティオはいつの間にか体がボロボロになっていて、顔も傷だらけになっていた。


「うわ!」


「ティオ!もうやめて!」


 私はティオが心配で仕方なかった…もうこれ以上が危ない!

 そう思ってティオに駆け寄る…。


「ティオ、もうやめましょう!相手が悪すぎるよ…」


 宥める私。

 でも、ティオは明らかに様子がおかしかった。


「止めないで、お姉ちゃん…」


「ティオ…」



「僕…もっと、戦いたい!!うがああああああああああああああああ!!」



「ティオ!?」


 いつものティオじゃない…!?

 こんなティオ初めて見た。

 今のティオはまるで戦いを求める狂人だった…。

 優しいあの子がこんなふうになるなんて…

 なんで!?

 どうしちゃったの!?

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