82.テイズ様の言う事を断る理由はない…
ーー"吸血鬼"。
それは亜獣人の中でも竜人の次に最強と謳われている種族とも言われている。
夜行性である為に、日の光を嫌い、人の生き血を吸う事で生命力を奪い自身の力に変える。
更には吸血鬼の体内に流れる血は変幻自在で、戦闘種族として傭兵や奴隷の2つの生き方が彼らの主な活動記録である。
(晴の日でも傘をさしていたのは、日光を避ける為だったのね…)
でも、なんで?
「レイア!どうして、いくらご主人様の言う事でも"嫌"って言ってもいいのよ!」
「私に、テイズ様の言う事を断る理由はない…」
「え!?」
「私は、テイズ様に返せない程の御恩があるから…」
「恩?」
「テイズ様は私を絶望から救ってくれた…」
レイアの眼は正気だった。
この子の言う事に嘘は感じなかった。
「おい!いい加減にしろ!王子だかなんだか知んねえが、リタにこんな事して無傷で済むと思うなよ!」
「お姉ちゃんから離れろ!!シャアアアアアアア!!」
アギトは怒って反発してくれている。
ティオは威嚇して私から王子を離そうとしていた。
「で、でも、あなたに何があったかは分からないけど…り、リタにこんな怖い思いをさせてなんとも思わないの!?」
今度はテレシーが精一杯の勇気を出して反論してくれた。
「さっきも言った…私に、テイズ様の言う事を断る理由はない…」
(ダメだ…こいつ、もう何言ってもダメだ…)
どうしよう…。
「では、これよりテイズ王子とリタ様の愛の契りを…」
「ええい!」
「は!」
バーン!
「ティオ!?」
「お姉ちゃんに酷い事するな!たとえ王族でも、僕は許さないぞ!」
今度はティオが精一杯の勇気を出してレイアに立ち向かってくれた。
「リタ!」
「大丈夫!?」
その隙にテレシーとアギトが私の拘束を解いてくれた。
自由になれて解放感があるけど、今はそんな事思っている場合じゃ…
「あああああああああああああああああ!!」
「「え!?」」
私達は驚いた。
レイアの身体が外に出たと同時に日の光に当たってまるで焦げるように煙が身体から出てきている事に・・・。
(まさか、吸血鬼が日の光を嫌うのって思っていた以上に悪い事だったの!?)
私もどうしようか焦った。
私に悪い事をした人達だけど…。
さすがに苦しんでいるのを黙って見過ごせない…。
「どうすれば…」
「レイア!」
「え!?」
テイズ王子がレイアの顔の前に自分の腕を差し出した。
すると、レイアはテイズ王子の腕を噛んで、血を吸い始めた。
「一体何を?」
「実はレイアは僕の使い魔でもあるんだ…」
「え!?」
「体が弱ると、こうして主人である僕から血を吸って回復させているのさ…」
しばらくすると、王子は冷静になった。
「みんな、ごめん、そしてリタ、今まで君には悪い事をしてきた」
「え?いきなりどうしたんですか?」
「僕が間違っていた…君の友達や使い魔を見て思ったんだ…友情とか恋とかの人間関係は、無理矢理作る物じゃないって…だから、僕は処罰を受けるよ…じゃあね…」
「テイズ様!おまちください!」
そう言って王子はその場を去った。
あれから先生達が駆けつけたけど、私は王子の事は何も言わず魔法の暴発と誤魔化したけど、結局テイズ王子が白状した。
でも、私達も弁解した事で、テイズ王子の処罰は『2学期が始まるまでの謹慎』という事になった…。そして、レイアも同じく謹慎となった…。
私はふと思った…
(王族と貴族はどう違うのかな…階級の違い以外は同じ人間…ううん、同じ生きている存在…)
そう思った。
テイズ王子様がしっかり罪を償ってくれるのを祈ります!




