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8.ティオはティオだから!

 リタが聞いたティオの()()


 それは、『自身が"亜獣人"と呼ばれる存在』である事。


 ーー『亜獣人(あじゅうじん)

 それは、大昔から存在が認知されたもう1つの人種…。

 かつて、犬、猫と言った身近な動物や竜、不死鳥を初めとする幻獣種の動物達は、人間と共に絆を結び、「使い魔」として主君となった人間と共に生活をしていた。

 動物達の中には人間と同じく魔力を持つものも多数存在し、使い魔として契約を交わした人間と魔力を公平に分け与える為にその存在は社会にとって必要とする事もある。

 さらに動物達の中には魔力を帯びた事で()()()姿()を得て人間社会へ歩みよるようになり、人間と恋に墜ちては子を成し代々その血筋は次々と新たな世代へ受け継がれていき、長い年月を経て人間の姿となった動物達を受け入れ、人間達は彼らは『亜獣人』と呼ぶようになった。




 しかし、亜獣人の中には凄まじい魔力を持つ事があり、その力を悪用する輩もいて、研究の際の実験動物とされる事も多々あり、中でも竜人(リューマン)は凄まじい魔力と体力を兼ね揃えた最強種族とも言えた。ーー


「"お前の体に流れている血は()()なんだ"とか言われて、僕、いつも血を抜かれてたの…いつも痛くて嫌だったのに、"血をよこせ"って無理矢理…」

「ひどい!!」

「だからもう怖くなって…それで逃げて倒れてリタさんに助けられて…僕が竜人(リューマン)だって知ったら、リタさん怖がるんじゃないかなって思って、言えなかった…」

「え…?」

「リタさん優しいから、僕の事を怖がってほしくなかったの!美味しいご飯とか食べたり、一緒に寝てくれたり、遊んだり楽しかった…」


 必死の想いでリタに正直に話したティオは泣きじゃくっていた。さっきまで楽しかった彼女との思い出を台無しにしたくない思いもあってか、ティオは涙を流して謝罪をした。


「ごめんなさい…こんなに優しくされたの生まれて始めてだったから…僕…僕…」


 その泣き顔は先程の力を発揮したティオの強そうな面影とは打って違っており、リタは違う意味で驚いていた。

 しかし…

 

「え?」

「そう、ほんとの事言ってくれて私も嬉しいわ…」


 リタは怖がる所かティオをぎゅっと抱き締めた。


「前に話した時は、聞いちゃいけないと思って私もあれ以上は何も聞かなかったけど、ティオがまさかそこまで辛い経験をしていたなんて…」

「リタさん…」

「でも安心して…私ね、ティオが竜人(リューマン)だったからって、嫌いになんかならないから…だって、()()()()()()()でしょ…」

「・・・・・」

「私は、そういうティオが、()()()()だよ!」

「・・・!!!」


 リタの「好き」という言葉が、ティオの心に感化されていた。ましてやリタの言った「好き」はおそらく、"友好的"な意味であったと思われるが、ティオにとっては"特別"な感じであった。


「やっぱり、やだ…」

「え?」

「孤児院なんか行きたくない…リタさんと一緒が良い!離れたくない!」

「ティオ…」


 自分に優しくしてくれたリタへの思いを打ち明けたティオは涙を流してそのままリタに寄り添う。その言動にリタも涙してしまう。


「私も…ティオと離れたくないよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!ずっと一緒にいたいよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「わああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 2人は大いに泣いた。それはまるで、今まで閉じ込めていた想いを解き放ったかのように…そして、悲しみの末にリタはある()()をした。


「こうなったら、お父様とお母様に直談判しましょう!!」

「直談判?」

「うん!お父様とお母様に"ティオをこのまま家に居させて"って伝える!!」

「本当に…!?でも、大丈夫…?」

「…やっぱり私だけじゃ、無理かも…」


 ティオを家に居させたいと決心をしたリタであったが、さすがに自分だけではどうしようもないと言う結論が出てきて少々諦めが生じていた…


 そんな時だった…


「話は聞かせてもらったわ!」

「わあ!サティさん!」


 またしても、サティがベッドの下から出てきた。


「私もお父様達に話してあげる!リタが、泣いているんだから姉の私が協力するわ!」

「お姉様~!!」


 いつもは、自分に溺愛しているサティであるが、リタにとっては今の彼女はまさに頼みの綱とも呼べる存在になっていた。そんな姉にリタも嬉し涙を流すのだった…


「サティさん、ありがとうございます!」

「ふん!別にあなたの為じゃないわよ!可愛い妹の為だから!!」


 素っ気ない態度を取りつつもティオの為にリタに協力をすることになったサティであった。


 そして、リタはティオ、サティと共に両親のいる部屋へ向かった。


「ティオ、私に任せて!」

「う…うん…」


 緊張している中、思いきって扉を開け、両親と対面。


「お父様、お母様、大事な話があります!」


 しかし、両親もまた、何故か険しい表情をしていたのだった…


「リタ…丁度良かった、実はさっき呼ぼうとしていたんだ…」

「え…」

「父さん達もお前に大事な話があるんだ…」

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