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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
4章 ささやかな日常

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51.俺が良いって言ってんだからさ!

 入浴時間が終わり、いよいよクエルトス家主催のホームパーティーが始まった。

 一同は全員、バルコニーに集まっていた。

 バルコニーには設置された大きなテーブルが少数。

 その上には色んな料理が並んでおり、ティオは既によだれが出かけていた。


 そして、クエルトス領主"ライド・クエルトス"からの挨拶が終わり、いよいよ食事が開始された。


 クエルトス家だけでなく、アスタルト家、特にティオは次々と料理を皿に乗せては食べて行っていた。


「このお肉美味しい!」


「ティオ、野菜も食べようね!」


「は~い!」


 ティオはリタから渡された野菜のサラダを食べた。

 シャリシャリとした触感がティオを幸せな気持ちにしていた。


「美味いだろ、それもあの畑から採った野菜から作ったんだぜ!」


「本当ですか?美味しいです!」


「当たり前だろ!俺が手塩にかけて育てたんだから!」


 自信満々に胸を張って自慢したアギト。

 そしてティオはそんな野菜を育ててくれたアギトに感謝していた。


「アギトさん、今日はお招きありがとうございました!こんなにおいしい物をたくさん食べられて僕は幸せです!」


「あ、こっちこそ、野菜を褒めてくれてありがとう・・・」


 アギトは照れていた。


「ティオ、偉いね!ちゃんとお礼言えて・・・」


「えへへ・・・」


「しっかし、手紙に書いていた通りだな・・・こいつ好き嫌いとかないんだな・・・」


「偉いでしょ!ティオって何でも嫌がらずに食べるから!」


 アギトは竜人(リューマン)の特性とも呼べる()()な面を想像していたが、思っていたより違っていて少々気が抜けていたのだった。


「ほら、ティオ、この肉も良く焼けているから食べていいぞ!」


「あ、ありがとうございます!僕お肉も大好きです!」



「・・・・・」




 アギトは何かを思い考え込んでいたが、その考えはすぐに伝わった。



「なあティオ・・・お前さえ良ければだけど・・・俺の事、別に呼び捨てで呼んでもいいし、ため口でもいいぞ?」


「え?」


「たった1個しか歳違わないんだし、そこまで畏まらなくてもいいよ・・・」


「でも・・・」


「良いよ!俺が良いって言ってんだからさ!」


「・・・ふ」


 突然の呼び捨てかつため口宣言にティオは少し驚いたが、ティオ本人はアギトを始めて出来た()()()()()として、それを受け入れる事にした。


 そしてそれを聞いたリタも、2人に対して優しい微笑みを向けていたのだった。



「あ!あれは何!?」


「おい!それはデザートだからまだ早いって・・・たく、ほんと食べるの好きなんだなティオって!」


「えへへ、あ!ずるい!アギト食べてる!!」


(ティオ・・・良かったね!アギトと友達になれて・・・)



 そんな2人に微笑みを向けていたのはリタだけでは無かった。


「ありがとね!ティオ君!アッきゅんとお友達になってくれて!改めて俺は兄のギル!よろし・・・」


「うぜえ!」


 能天気な言動にイラついたのか、アギトはギルの顔面を殴ったのだった。



 ちなみにギルのこのブラコン気味には、ちゃんとした理由があった。



 7年前、トワイが昏睡に陥ってしまった事を悲しんだアギトの事を想っての事であるが、彼はそんなアギトを見て「俺が母親の代わりになる!」とちょっと歪んだ愛情を注ぎこむようになったのであった。



 無論、アギトからしたらはた迷惑な事であった・・・。

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