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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
4章 ささやかな日常

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42.頑張ってね!

 ーー王国騎士団入団試験の夜。


 ユーリの騎士団入団試験も無事に終わり、アスタルト邸は落ち着きを取り戻していた。


 場所は変わってリタの部屋。


 リタは手紙を読んでいた。


「お姉ちゃん、誰からの手紙?」

「あ、これ、お姉ちゃんのお友達からだよ!」

「え?テレシーさん?」

「あ、違う、テレシーじゃないよ!!」


 手紙の差出人についてティオはリタに問い出した。

 手紙の内容を聞いた所によると、その手紙はリタのもう1人の友達からであった。


 送り主の名前は"アギト・クエルトス"。

 アスタルト家と友好関係にある隣の領地の領主「クエルトス家」の次男である。


 手紙の内容はこうだった。


『リタへ、元気にしているか?俺は最近園芸が上手くいっていて、美味い野菜を毎日食べたり領民に配っている変わらない日々を過ごしている。それから、テレシーから手紙をもらったけど、例の義弟のティオって奴に会ったとの事だが、せっかくだから俺も会ってみたい気がする…』


(そうか…アギトとは最後にあったのって去年のパーティーくらいだったよね…それからはヴィスト先生達との授業で会う機会なかったし…)


 リタはアギトとはここ数ヶ月は手紙でやり取りしていた為に、彼に会いたくなってきていた。


 そして手紙には続きがあった。


『そこで本題だが、今度家でホームパーティーをやる事になった。それでアスタルト家のみんなを家に招待したいと思っている。もちろん、義弟のティオも連れてきてもいいぞ!日にちは…』


『待ってるぞ!』


 手紙の分は終わった。



「園芸って?」

「アギトの家にはね野菜とか植えてる畑があるの、アギトの家の野菜はとってもおいしいの!」

「おいしいの!?」

「うん、うちもよく野菜貰っているんだ!カレーとかシチューとかに入れると美味しいんだ!」


 ティオはその話を聞いて既によだれが垂れかかっていた。


「ホームパーティーって、御馳走出るよね!?」

「もちろん!美味しい物たっくさん出るよ!!」


 その話を聞いたティオはさらによだれを垂らした。



 時は進んで、夕食の時間となった。


 リタは食事をしながら家族にアギトからの手紙の件を話していた。


「そうか…クエルトス家からパーティーのお誘いか…」

「随分久しぶりですね…」

「私はあまり会いたくないですけどね…」

「どうしてですか?」


 不機嫌な顔をしていたサティにティオは質問したが、サティはかなり険しい表情で怒りを露にするのだった。



「あのガキ、アスタルト家次男アギト!毎度リタに色目向けているのよ!この前家に来た時もリタ色々と…」

「サティ…そこまで怒らなくても良いでしょ…」

「それに、あいつ別に色目使ってねえだろ…」


 怒っているサティを宥めるサイガとユーリであったが…。


(まあ、アギト(あいつ)って…)

(リタの事が好きなのは明確だけどね…)


 どうやらアギトという少年はリタに対して何かあるのは確かな様子であった。


 夕食を済ませた一家。


 リタ・ティオは入浴を済ませ、歯磨きを終えたのち、2人はリタの部屋でくつろいでいた。


 ティオは先ほどの手紙でリタが言っていたアギトについて聞いてみた。


「お姉ちゃん、そういえば、アギトってどんな人?」

「テレシーと同じで、お姉ちゃんの昔からの友達だよ!」

「いい人?」

「勿論!でもちょっと不器用な所があるかな…?でも、きっとティオも仲良くなれると思うよ!」

「本当?」


 会話を終えた2人は寝る時間になったため、それぞれの部屋に行き就寝した。







 ーー翌日


 ヴィストとピノンが帰る事になり、アスタルト邸を去る時が来た。


「お世話になりました!」

「いいって事よ…俺達もつい長居しちまったしな…」

「でも楽しかったわ!特にティオちゃんとのお風呂とか!」

「やめて~!!」


 突然の発言に赤面したティオ。


「俺達はこれからはまた冒険者として頑張るから!」

「あなた達も、学院生活、頑張ってね!」

「「はい!!」」


 熱い言葉を交わした4人。


 言葉を交わした後、ヴィストとピノンはアスタルト邸を後にした。


 リタとティオ、2人も新たな門出がもうすぐ始まろうとしていたのであった。

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