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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
3章 魔法&剣術指導

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33."今の家族"が一番好きだから!

 ーーそして、さらに月日は流れた…


 ヴィストとピノンが家庭教師として来てから半年が過ぎ、季節は冬…年末を迎えていた。


 その夜、ティオはバルコニーの外に出て降っている雪を眺めていた。


「わあ…綺麗…」


 ティオは降り注ぐ雪を見て黄昏ていた。


 気がつけばティオがアスタルト邸に養子として迎えられてから既に8ヶ月の月日が経過していたからであった。


 随分と時間が経った事にティオは驚いていた。


「ティオ~」

「あ、お姉ちゃん…」

「寒いからもう中に入りましょう」

「は~い!」




 外は星が見えないほど曇っていた。


 それをティオは不思議に思っていた。


 今まで実験施設で育ってきた彼にとって雪は始めた見るものであったからであった。

 見た事が無いものを見れたその好奇心はまさに年相応の子供そのものにも見えていた。






 そんな中…。


 リタとティオは、ココアを飲んでのんびりしていた。


「ティオ、ココア美味しいね!」

「うん、とっても甘~い!」


 ゆるゆるとした、表情でココアを飲んでいた2人は今まさに小さい幸せを感じていた。


 そんな微かな幸せを感じる一方でティオは思い悩んでいた。


 今までの貴族としての暮らし、そして授業を受けていて、「自分はアスタルト家の家族として、そしてリタの、使い魔として上手くやっていけていたのか」という事を…。


 しかし、それでもティオは"今のままでいたい"と感じていた。


 自分を、家族として迎え入れてくれたアスタルト一家とそして、主人にして義姉であるリタに弟として迎え入れてくれた事を心から感謝しており、今の幸せな時をこのまま続けたいという思いがあった。


「ねえティオ」

「なに?」

「もしもだけど、ティオが『本当の家族に会える』って事になったら、ティオは会いたいと思う?」

「え?」



 リタの質問にティオは少し驚きを見せていた。




 先ほど「今の幸せな時を過ごしていたい」と思っていた彼にとっては唐突な質問であったからである。


 だが、それでもティオは答えを出すのだった。


「会いたい…って、思わない」

「え?どうして?」

「もし、本当の家族が見つかったとして、その人達がどんな人達なのかちょっと不安だし…なにより、今僕はアスタルト家の一員だから…何処にいるか分からない"本当の家族"より、僕を受け入れてくれた"今の家族"が一番好きだから!」



 その答えにリタは安堵の表情を見せていた。


 もしティオの本当の家族が現れたら、『お別れしなきゃいけないのかな?』という不安がリタの心の中にあったからであった。


「そうなのね…」


 リタは思った。

 このままずっとティオといたいから、本当の家族が来ても抵抗する。


 その思いは固かった。


 やがて寝る時間となり、2人はそれぞれの部屋に戻った。


 そして今日も眠りにつくのだった。

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