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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
2章 貴族の生活

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19.一緒に行こう!

 テレシーが、思いきってリタに伝えた事…。それは…。


「リタ!」

「ん?何?」

「あのね…一緒に学校通わない!?」

「え?学校?」


 突然の事でリタは少しだが当然驚いた。


「うん、実はね、私来年、()()()()()()()()()に通ってみないかって、お父さんに言われたんだ!」

「ヴィンツェルト学院!?」

「ヴィンツェルト…なに?」

「歴史ある魔術や剣術などを学べる王立の名門学校です、先日旦那様が来年13歳になるテレシー様を入学させようかと話しておりました、リタ様なら魔力が少ない生徒の通う普通科も存在するので、そこに通えるかと…」


 ミーシアの説明が終わった途端、テレシーは泣き崩れた。


「リタ…魔力少ないから…私と同じ魔法科に入れないかもしれないけど…私ね、リタと学校行きたいの!あの学校、科目が別々だからクラスは分かれると思うけど…リタと楽しい学校生活送りたいの!」


 テレシーは真剣な気持ちで想いを打ち明けていた。絶対に敵わない微かな夢をそのまま口にしていた。

 しかし…。


「テレシー…別に私、魔法科にも通えるけど?」

「え?」


 ぽかんとした表情でさっきまでの感動がひっくり返ったかのようにリタが言い返した。


「実はね、ティオにね、使い魔になってもらったんだ!」

「使い魔?」

「うん!僕お姉ちゃんの使い魔!!」


 テレシーはぽかんとしていた。


「え!ティオくん!リタの使い魔なの!?」

「うん!僕が使い魔になったから、お姉ちゃん魔法強くなったんだ!ね!」

「うん!私の義弟(おとうと)が使い魔!いいでしょ!」


 嬉しそうな表情でティオの頭をなでなでしながら自慢気にリタは話した。

 そんなリタを見て、テレシーも安心しきった表情になった。


「じゃ、じゃあ…」

「うん!一緒にヴィンツェルト学院行こう!テレシー!」

「や…やった~」

「良かったですね…お嬢様…」


 小声で喜びの声を放ったテレシーはミーシアに褒められ一件落着であった。


「でも、まさかリタが使い魔を従えたなんて…それもまさか弟のティオくんだなんて…」


 そして時間は流れて、夕食の時間を迎えた。


 テレシーはリタとティオの3人でバルコニーで食事をしていた。


「これも美味しい!!」

「さっきあんなにお菓子食べたのに…すごい食欲だね…」

「たくさん食べるティオも可愛い!!」


 幸せそうに食べるティオだったが、食べかすが口元についていた事に気付いたリタは布巾で彼の口を拭いていた。

 それを見たテレシーは複雑な思いを抱いていた。


 夕食を終えた3人は入浴を始めた。


 もちろんティオはリタとテレシー、そしてミーシアも含めて4人で一緒に入るのだった。


「や、やめて~!」

「ほお~ら!ちゃんと頭洗わなきゃ!」

「自分でやるから~!」


 ティオは未だにリタに頭や体を洗ってもらっていたのだった。


「では私はお嬢様のお背中をお流ししますね…」

「あ、うん…お願いねミーシア…」


 全員頭と体を洗い終えた後は湯船で入浴を始めた。

 リタはまたティオを後ろから抱きかかえるかのようにして抱いて湯船に浸かっていた。


「うふふ~ティ~オ!」

「お姉ちゃん!胸が当たってるよ~!」


 そんな2人を見てテレシーは羨ましそうにしていた。


「いいなあ」

「お嬢様!」

「ひゃ!」

「私じゃ不満ですか?」


 いきなりミーシアに後ろから抱かれて驚いたテレシー。だが、少し安心した様子であった。


「不満…じゃないけど…」


 入浴を終えた4人は寝る準備に取り掛かった。

 テレシーはリタの部屋で寝る事になった。


 そして寝る時間が来た事でテレシーはリタと同じベッドで寝る事になったが、彼女とリタの間にはやはりと言っていいかのように"ティオ"が挟まれるようにいた。


「なんでティオくんもいるの?」

「ティオの部屋がまだ片付いていないから…それまで私の部屋にいる事になったの!」

「えへへ…」


 ティオはまんざらでもない様子であったが、その反面、またしてもテレシーは複雑な想いであった。


 そして灯を消して3人は眠りについた。


 しかし、テレシーはリタを見つめて何かを思い詰めていたのだった。

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