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溺愛されてる貴族令嬢は、小さな竜人を義弟(おとうと)にしました。  作者: 竜ヶ崎彰
7章 ささやかな日常2

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120.あなたの為に尽くします

 母を失い、義兄の未来を奪った僕の心はもはや…抜け殻同然になっていた…。


 マイル義兄さんは僕を責めなかった…

 むしろ笑顔で言ってくれた…。


『テイズが無事でよかった』


 マイル義兄さんのその言葉は暖かくも優しく感じた…



 母の葬式が終わり…

 僕の心が壊れかける日々が続いた…。




 そして、母を失って初めて迎える8歳の誕生日…。

 大量のご馳走を用意してはもらったが、みんなの目は祝っていなかった…。


 父からは誕生日プレゼントとして金貨20枚を受け取った。


『これで好きなものでも買いなさい…』


 形のあるものに比べたらまだ良いほうだと思った。



 金貨を受け取った次の日。

 僕は市場へと向かった。

 王族であることがばれないようにある程度顔を隠した状態だったけど…


 市場にはいろんなものは売っているが、僕の欲しいと思えるものはなかった…。


 だが、そんな時に気になったものが目に入った。


 それは、ボロボロの衣服を身に纏って首枷を付けて両手首には木の手枷をかけられていた女の子がいた。

 僕はすぐに分かった。

 その子は"奴隷"だという事が…


 そして今にも悪そうな顔をした貴族っぽい男に買われて連れていかれそうになっていた。

 僕はなぜかその奴隷が気になって、口を出してしまった。


「おい、その子いくらだ?」


「あっ?小僧何言ってんだ?この奴隷は俺がたった今買った所だ!」


「ならその倍の金を出すから僕によこせ!ほら!」


「痛て!何すんだこのクソガキが!」


 その貴族の男にさっき父に渡された金貨20枚の入った袋を顔に向けて投げた事で男は怒って僕に襲い掛かろうとした。

 でも、僕にとっては造作もなかった。

 日頃の剣術や格闘の術を学んだ甲斐があって男を返り討ちにした。


 男は一気に弱気になっていた。


 僕は目を鋭くして男に行った。


「選べ!その金を受け取ってとっとと立ち去るか、このままもっと痛い目をみて立ち去るか…選べ!」


「ひぃぃぃ!わ、分かった!金は頂く!だから見逃してくれ!」


 金を受け取ったにも関わらず男は怯えた表情で逃げて行った。



 奴隷の女の子を買い取った僕。

 その子が弱っていたようで食事をご馳走しようとしたが、彼女は驚くことを言った。


「では、血をいただけますか?」


「え?」


 女の子は吸血鬼(ヴァンパイア)の亜獣人だった。


 さらに聞いていくと、女の子は同じ奴隷との間に生まれた子供だったらしく、最近両親はどちらも買われてしまい離れ離れになったとの事…


 なぜか自分と重ね合わせてしまった僕はナイフを手に取りゆっくりと右手の人差し指を切って血を出した。


「ほら、これで良いか?」


「あ、ありがとうございます…」


 女の子は僕の指をしゃぶって嬉しそうにしながら血をなめていた。

 なめ終わって満足になると僕は言った。


「もういいだろ、さっさとどっか行きな」


「え?しかし、私はあなたに買われた身です…」


「だからだ、君は僕が買った…どうするかは僕の自由、だから君はもう自由、好きにしろ…」


 突き放すような感じだったが、女の子は応えた。


「なら、あなたの為に尽くします」


「え?」


「あなたに仕えさせてください、それが私が選んだ道です」


「そうか…好きにしな…」


 こうして僕は女の子を自分の専属メイドにして使い魔として城に迎え入れた。


 また、その奴隷に名前が無かったようで名前を彼女につけた


 "レイア"という名前を…。




 あれから5年がたった。


 今思えばつい最近のようにも思えてきた…。


「どうかしましたか?」


「レイアか?ノックぐらいしてくれよ…」


「まあ、失礼しました…」


 こんなんだが、なんだかんだで今は僕は幸せだな…

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