119.良い太刀筋だな…
「もうすぐ夏休みに入るのか…」
僕、テイズ・バルドリア・オルガリスは学院での不祥事をしでかした事で二学期までの謹慎処分を受けていて今は城の自室にいた…。
窓の外から見える景色を眺めていると、僕は今での人生を振り返っていた。
あれは僕がまだ7歳の頃だった…。
僕は"妾の子"という立場から使用人や異母からの痛い視線で後ろめたさを感じている日々を送っていた。
そんな中でも国王である父と実母であるメイドの母だけは僕の味方でいてくれていた。
妾の子と言っても、父親が国王なのは事実だから…
民衆への顔見せの際には僕は表向きは父と正妻との間に生まれた次男として公表された。
だがら後ろめたさは変わらなかった…。
それでも僕は勉強や剣術の稽古に励んだりといろいろと頑張っていた…。
それでも周りから評価されるのは父と正妻との間に生まれた第1王子にして6つ上の異母兄のマイルだけだった…。
マイル義兄さんは勉学も戦術も優秀で、時期国王として期待されていた。
僕はそんな義兄さんとは別の世界の人間と思っていた。
この時までは…。
剣術の鍛錬をしていた時、僕は義兄さんと師範の元で教わっていたが、師範は義兄さんばかり褒めていた…。
僕は実質独学で剣術を学んでいた。
でも、そんな独学の鍛錬を褒めてくれた人物が1人いた…。
『良い太刀筋だな…テイズ』
そう、マイル義兄さんだった。
腹違いの弟であるにも関わらず、僕の事を見てくれていた。
その瞳はおさなけとか仕方ないとかじゃなく、本心だった…。
それからはマイル義兄さんは母に続く僕にとっての信頼出来る人物になった。
勉強や剣術で分からない事はすべて義兄さんが教えてくれた。
一応王族である以上は恥ずかしくないようにと…
だが、そんなわずかに幸せに感じていた人生の中で、悲劇が起きた。
城に侵入したこそ泥により、マイル義兄さんが重傷を負ってしまい、更にはこそ泥は逃げる途中で母の腹に刃物を刺した。
こそ泥はそのまま軍により捕まったが、母は帰らぬ人となってしまった…。
だが、この時僕は最初にこそ泥に見つかった事で義兄さんごそれを庇ってくれていた。
だが義兄さんは僕を庇った事で後遺症により、左足が上手く動けなくなり、歩くことは出来るが走ることは出来なくなり王位継承の資格を失った…。
そして、最愛の母を失い…僕は失望した…。
愛する人を失い、信頼していた人の未来を奪ってしまった事に…。




