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「猫同士の係争に関して、当方は一切の責任を負いません」

「昨日そんなことがあったんだにゃあ」

「うん、怖かったけど、篠田さんも猫と仲良くなりたかっただけみたいなんだ」


 俺はミケにブラッシングをしながら話す。


 今日は土曜日で、父親は土曜出勤、母親は買い物、妹は友達とお出かけ。そういうわけで、俺とミケは一階のリビングでくつろいでいた。


「だからクロスケちゃんの臭いがご主人についてたんだにゃあ」

「ごめんね、気になったでしょ」


 この間の事もあり、そう言ってミケに謝っておく。


「気遣いだけで十分っていっておくにゃ……あ、もうちょっと上の方を入念にお願いするにゃ」

「はいはい」


 毛の生え代わる時期はもう過ぎていたが、ミケは室内飼いなので、ブラッシングをするとそれなりに毛が取れる。


 あとで毛玉を吐かれても困るので、この作業は必要な事だった。


「ああー言葉が通じるって幸せにゃあー」

「ミケが幸せそうで嬉しいよ……ん?」


 庭の方で物音が聞こえた。顔を向けるととクロスケが物欲しそうにこちらを見ている。


「あっクロスケちゃんだにゃあ、挨拶してくるにゃ」

「まだ残ってるからすぐ戻ってくるんだよ」

「了解にゃあ」


 ミケはスッと窓際まで歩いて行き、クロスケと窓を隔てたすぐ近くまで距離を詰めた。


「良い眺めだにゃあ、野良猫が寒そうにしてるにゃ」

「ぶふぉっ!?」


 思わず吹き出してしまった。ミケ……おまえ、そういうタイプだったのか。


「相変わらず腹立つなお前……それはそうとこないだの集会、来なかったのなんでだよ」

「寒かったからにゃあ、おこたの方が大事だったにゃ……あ、クロスケちゃんは分からにゃいかにゃ? おこたって言うのは――」


 いやあ、煽る煽る。我が飼い猫ながらちょっと引いてる自分がいる。


「と、いうかそれを言うならお隣のシラタマちゃんも行ってないんじゃないかにゃ?」

「あいつは……もう三年くらい顔を見せてないからな」


「じゃ、そっちに声を掛けるべきじゃないかにゃ、ミケはご主人に毛づくろいしてもらうから、またにゃあ」

「あ、おい! 待て!」


 ミケは悠々と俺のところまで戻ってきて、再びブラッシングの催促をしてきた。


「いいのか? まだクロスケはなんか言ってるけど」

「~~――!! ――!!!」

「いいにゃあ、ご主人のこれの方がずっと大事にゃあ」


 本当に、いい性格してるな、ミケ……

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