表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/54

第43話 カウンター

 時間をかけずに殺そうと予告すれば、もしかしたら、それを聞いた勇者がどこかからでてくるかもしれない。


 不意をいつ突かれてもいいように防御に徹しながら、まずは、美女との5メートルほどの距離を詰める。


 わたくしは自分の腕を構え、脚に力をいれ身構えた。


「強化魔法」


 わたくしが動き出すと同時に強化魔法をかける美女。


 無駄なことを。


 強化魔法をかけ、美女のステータスが5倍になったところで、攻撃力と防御力は約560。


 攻撃力650000のわたくしの攻撃を防げるはずがない。


 これで終わりだ。


 さようなら、美女。


 ぶんっ。


 わたくしは左拳を握りしめ、美女の顔を目掛けて振り下ろした。


「えいっ」


 ぶんっ、どごっ。


 え?


 今、何が起きた?


 一撃で美女を葬るはずだった……


 それなのに、わたくしの左手がジンジンして痛い……だと?


 いったい何が起きた?


「もう、怖いなー。でも、成功して良かったよ」


 目の前にいる美女はニコニコと微笑んでいる。


 思い出せ。


 今、何があったかを思い出すんだ。


 わたくしは左手で美女の顔を殴ろうとした……


 うん、そこまでは間違いない。


 そこで、美女は持っていた魔導書でわたくしの左手首を攻撃して、カウンターを食らわせてきた……


「ひっく、ひっく、なんでわたくしの攻撃に合わせてカウンターができるの?」


「強化魔法がかかっているからね」


 美女は当たり前のように話す。


「ひっく、ひっく、いくら強化魔法があるからって、わたくしの攻撃に合わせたカウンターなんていれられるはずないの」


 強化魔法をしたところで、5倍程度。


 絶対にわたくしのステータスに届かない。


「さあね……たまたまなんじゃない?」


 そうだ。


 この美女の言う通りだ。


 適当に動いたら、たまたま運が良くてカウンターが入ったに決まっている。


「ひっく、ひっく、それならっ!」


 ぶんっ。


 今度は右手で殴りかかる。


「本当にやめてよ」


 そう言葉が聞こえたかと思った瞬間、今度はわたくしの右手がジンジンとした。


 今度もしっかりとカウンターを食らわされるだと……


 これも偶然だというのだろうか?


 いや、そんなはずがない。


 わたくしは2発とも、全く手加減をしていない。


 それなのに、この美女はわたくしのタイミングに合わせて2回もカウンターを食らわせてきたのだ。


 恐怖で脚がすくんで、美女がわたくしの拳を偶然避けてしまったならまだわかる。


 だが、カウンターなのだ。


 しかも2回とも。


 カウンターを食らわせたということは、わたくしのスピードについてきているということだ。


 何故、わたくしのスピードについて来られる?


 650000と112……いや、強化魔法を使ってるから、650000と560か。


 560だったとしても、650000には、天と地ほどの差がある。


 カウンターを入れれるわけがない。


「ひっく、ひっく、なんで?」


 わたくしは美女に訊いてしまっていた。



「私の側には、透明人間がついてるからね。透明人間に不可能はない。さあ、透明人間、やっておしまい」


 ふざけている。


 この美女は戦いの最中だというのに、完全にふざけている。


 おそらく、ふざけることによって、自分のペースにしようとしているんだ。


 落ち着け。


 落ち着くんだ、わたくし。


 なぜだか知らないが、この女は物理攻撃に対し、カウンターをすることができるということは間違いない事実。


 このまま、物理で攻撃しても、何らかの方法でカウンターをしかけてくるだろう。


 物理がダメなら魔法だ。


 魔法なら、この美女を倒せるかもしれない。


 ステータス112で、600000のわたくしのウォータースラッシュを止められるわけがないのだから。


「ひっく、ひっく、ウォーター・スラッシュなの!!」


「ウォーター・ウォール」


 無駄なことを……


 ……って、止められてる。


 何故だ?


 わたくしがこの砦を壊さないように手加減したとはいえ、わたくしは覧のステータスの600倍だぞ。


 ステータス112なら、相殺しようにも相殺しきれず、わたくしの水の刃は相手に届くはず……


 なぜ、届かなかったんだ?


「ひっく、ひっく、何故、わたくしのウォータースラッシュを止められるの?」


「私に訊かれてもねえ……」


 まさか本当に、勇者が透明人間になったというのか?


 透明人間になった勇者が美女の魔攻をブーストしているのか? あるいは、守護神のように美女を守っているとでもいうのか?


 わたくしは、周りを警戒する。


 しかし、何もいる気配はしない。


 まさか、勇者が透明人間になった後、美女と融合して戦っていたとでもいうのか?


 そうだ。そうに違いない。


 オリジナル魔法か何か知らないが、勇者と美女がフュージョンしたんだ。


 だから、わたくしのスピードにも、わたくしの魔攻にも対抗できた。


 からくりが分かってしまえばこっちのもの。


「お待たせ」


 わたくしが警戒しているにも関わらず、急に勇者が現れた。


 どこから湧いて出た?


「もう、遅いよ、びの」


 なるほど、なるほど。


 わたくしが勇者と美女が融合していたというからくりに気付いたから魔法を解除したということか。


 諦めたから、許して欲しいということだろう。


 でも残念。


「ひっく、ひっく、お前たちは、ここで殺すの」


 無駄なあがきだったな。


「残念、オレたちは殺せません」


「だね」


 何を言っている?


 諦めたから魔法を解除したんじゃないのか?



「ひっく、ひっく、わたくしのステータスは、650000なんだぞ。ウォータースラッシュ」


「ウォータースラッシュ」


 相殺させても、勇者の魔法より、わたくしの魔法のほうが……


 ……弱いだと……


 わたくしの魔法が押し負けている……なんで?


 なんで? なんで? なんで? なんで?


「もう魔法合戦は終わりか? それなら、こちらから行くぞ」


 勇者がわたくしに斬りかかる。


 ここは一旦距離を……


「遅い」


 勇者がわたくしのスピードについてきているだと?


 何故だ? 何故わたくしの650000のスピードについてこられるんだ?


「はい、さようなら」


 勇者は、わたくしに向かい胴体を真っ二つにするように一太刀した。


 速い。


 反射的に右半身を半歩後ろへとひいた。


 うまくかわせた……とおもった瞬間、ずきんと腕が痛んだ。


 右肩から血がほとばしる。


 空いている左手で止血を試みるが、血は止まりそうにない。


 わたくしが斬られた?


 何で?


 どうして?


「おっと、一太刀で終わらせるつもりだったが、うまく避けたな」


「ひっく、ひっく、なんで? わたくしのステータスは650000なのに……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ