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第19話 鑑定

「それでは覧様、ちょっと失礼するにゃ」


ミドラは私の白衣をさわさわと触りまくる。


「にゃ……この質感と手触り、そして何よりこの強度……」


「……って、どこ触ってんのよ!!」


「え? ミドラ、どこか触りましたかにゃ?」


くっ、こっちが何も言えないと思っていい気になって……


「何か分かった?」


「あともうちょっとでわかりそうにゃ」


いいながら鼻をくんくんさせて、香りを嗅ぐ。


「ちょっと、何か見た目的にやばいんだけど」

 

傍から見れば、ミドラは変態だ。


「少し黙ってるにゃ。……にゃ、この香りは、デザートのような甘い香りにゃ」

 

「お手製のバニラの香りがする柔軟剤を使ってるからね……って、香りは関係ないでしょ?」


 聞いたことないよ。


 装備に香りが大切だなんて。


 恥ずかしくなって顔が赤くなっているのがわかる。


 「いやいや、いい製品は香りも大切ですにゃ。ペロリ」


 「ぎゃーーーーーー!! 何してるのよ?」


 「なめてるにゃ」


 「見りゃわかるわよ。何で直接私の白衣をなめてるのよ?」


 「味も大切な装備の要素にゃ」


 「そんなわけないじゃない。びのからも何か言ってやってよ」


「まあまあ、白衣は衛生や災害予防の用途の服なんだからいいじゃないか」


なめられるくらいなんだという、びの。


「にゃ? それだとミドラがばい菌で災害みたいにゃ」


「人でなしで人災だよ」


「にゃ。一生懸命調べてるのに、その言い方は傷つくにゃ。貴女とは姉妹のようにやっていけそうな気がしたのににゃ」


「絶対に無理」


私の白衣を喜んでなめる人と一緒になんてやっていけるわけないだろ。


私の言葉で青い顔をするミドラ。


「もう、止めよ、止め!!」


「まだ、きちんと調べられていないけど、覧様がそういうなら止めるにゃ!!」


ミドラはやけにあっさりと引き下がった。


何でこんなにもケロッと引き下がるんだ?


「その白衣の代わりに、びの様の黒い服を調べるにゃ」


「ふざけんな! 最初からびのの服を調べるのが目的だろ。それなら、私の白衣を最後まで調べてよ」


「えー、でも、覧様嫌がってたからにゃ。そういう態度だとモチベーションが下がるにゃ」


「それじゃあ、もう一度白衣を調べてくださいますか?」


「そこまでお願いされたならしかたないにゃ。一から白衣を調べてあげるのにゃ」


 一から……って、最初から?

 

まじふざけんなよ、この猫耳女。


ペロペロともう一度なめるミドラ。 


ああ、私の白衣が……


くっそー! この猫耳女!!


声に出して叫びたい。


でも私が声をあげれば、モチベーションが……とか言いながら、びのの服を調べようとするだろうし、叫ばなければ、ミドラの気が済むまで私はじっとしていなければならない。


声をあげることもなく、ペロペロ、クンクンされながら、ただただ時間が過ぎるのを待つしかないのだ。


……っく……歯がゆい。



…………


……


「結構な時間が経つが、鑑定は終わったのか?」


「もちろんにゃ」


「実際は鑑定してどうなんだ?」


びのは冷静になってミドラに尋ねる。

 

「にゃにゃにゃ。確かに、この制服なら、大抵のことに結構耐えられそうにゃ」


「当然だよ。私の白衣は改造してあって、衝撃吸収性、防刃性、耐火性、耐寒性、耐電性、耐酸性など、あらゆる耐性をつけたからね」


一寸先は闇っていうから、あらゆる事故を想定して私が夜なべしてつくったんだ。


……いや、夜なべはしてなかったかけど。


「そういえば、そんなこと言ってたな。確か、オレの制服も同じ素材で作ったって言ってたよな?」


「うん、そうだよ。私の着ている白衣と同様にびのの制服にも、あらゆる耐性がついてるよ」


びのの制服に至っては、悪い虫がつかないように、盗聴器も仕込んでおいたしね。


1日目でびのにばれて、外されたけどね。


「この素材なら、うちで売ってるものよりもよさそうにゃ……」


「じゃあ、衣服はいらないね」


「にゃーー!! 自慢の商品をたくさんお買い上げしていただけると思っていたのに」

ははは……


もう同情何てするものか。


私の白衣を舐めるからこんなことになるんだ。


「覧、他の装備はどうする? まずは兜か帽子を見繕ってもらうか?」


びののロングソードは両手で持つ剣だから、盾は必要ないだろう。


「あるよ、帽子」


「え?」


訊き返すびの。


あるんだな、帽子が。


「学生服と同じ生地で作った学生帽。ほら」

 

私はバッグを手探り、黒い学生帽を手渡す。

 

それをかぶるびの。

 

なんだかびのが学生帽をかぶると、一昔前の番長みたい。

 

似合ってるんだけどね。


「おお、これなら、装備を買う必要はないな」


「それなら、覧様の帽子を見繕うにゃ」


「貴女の目は節穴なの?」


「にゃ?」


「さっき私の白衣を見たんでしょ? 私の白衣にはフードがついているわ」


私は大きめに作っておいたフードをかぶる。


さしずめ、白魔法を使う少女のようにみえているはずだ。


白衣だけど。


白衣の天使って呼んでもいいんだからね?


ナース服じゃないけど。


「にゃにゃにゃ!?」


「つまりは、私の帽子の装備は必要ないの」


「じゃあ、びの様は両手剣だから盾は必要ないから……覧様の盾を用意するにゃ」


「私は魔法で盾をつくれるから要らないわ」


「うにゃ、そうだったにゃ」


「へー、盾も魔法で造れるのか?」


「当然よ。魔法でできないことなんてないわ」


実際はたくさんあるんだけどね。


魔法を使うには、魔素を集めないといけないから、意外と不便なのよね。


とりあえずびのには黙っておこう。


「じゃあ、あとは装飾品だな」


「装飾品はあとから決めることにしよう。実際モンスターと戦ってみて、必要なものを買いそろえたほうがいいし」

 

「確かに、そうかもしれないな。じゃあ、今回は、武器だけで」

 

「かしこまりましたにゃ。ロングソードと魔法書でお会計は、金貨850枚にゃ」

 「あれ? がっかりしないの?」


 ミドラはてっきりがっかりするかと思ったのに、期待外れだ。


 「確かに自慢の商品をたくさん買っていただければ嬉しいですが、そんなことよりも、大切な商品が良いお客様に一つでも売れれば、大満足だにゃ」


 ああ、この店は、丹精込めて作られた商品とともに魂を売ってるんだな……なんとなくだがそう思った。

 

 「少し疲れたな」


 こきこきと音を鳴らしながら首のストレッチをするびの。


 私も森の中を歩き回ったから疲れた。


 お昼もとっくに過ぎているからお腹もぺこぺこだ。


 「ここらへんでお昼にする?」


 「ああ、そうだな」


 「それじゃあ、このあたりでお昼ご飯を……」


 「そうしたいんだけど、この時間だと、お店も開いてなさそうだな」


 びのに促されて周りを見回すと、露店はすでに店じまいをしていているようだった。


 おそらく、この世界では、遊ぶために働いている人が多いのだろう。


 「探せば一件くらいお店がみつかるんじゃない?」


 「その一件を探し出すために、町中を練り歩くのか? おそらくそれは大変だぞ」


 「じゃあ、元の世界の家に戻る?」


 元の世界に戻れば、お母さんが昼食を用意してくれているだろう。


 「そうしよう」


 「ここの場所を登録しておく?」


 「登録?」


 あ、そっか。


 びのは登録は知らないか。


 「ゲームで言うところのセーブだね。2~3分かかるけど、登録しておけば、この場所からリスタートできる」


 「便利だな。さすが覧。じゃあ、そうしておこう」


 「了解」


 私はまず、人気のないところを探した。


 人通りの多いところで、もし私とびのが突然現れたら大パニックになりかねない。


 よし、この建物の影なら目立たないだろう。


コンパクトに位置座標を確認して、データを入力する。

 

「よし、登録完了。じゃあ、はい。びの、コンパクトの中を見て」


 「サンキュ」


 私はびのと一緒にコンパクトをのぞきこんだ。


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