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第16話 武器

「気になってたの、びの?」


私はそこまでじっくりと見ていなかった……


反省しよう。


「王子のステータスには補正値あったからさ」


「にゃ? 王子様のステータスを知ってるのにゃ?」


「聞かない方がいいぜ。世の中、知らない方が幸せだということが多くある。そのうちの一つが、王子のステータスだ」


「そうかもしれないにゃ」


ミドラは震えあがって怯えている。


確かに、知らないほうがいい。


あんな酷いステータスだったら、クーデターとか革命とかが簡単におきそうだし。


「さて、話を戻すぞ。俺たち異世界人でこちらの世界の装備をしているわけではないから、そんなものなのかもしれないって思ってた」


びの、気になっていたなら口に出して言おうよ。


言わなきゃわからないことなんていくらでもあるんだから。


「そもそも論なんだけど、このステータス、古いからきちんと機能してないんじゃないの?」


「このスクロールはきちんと機能してるにゃ。もし、機能してなかったら、そもそも数字が出るわけないにゃ。それに、ビンテージ・スクロールは、古ければ古いほど正確な数字と激レアな技能を出したりするにゃ」


 「へー、そんなにいいスクロールだったんだな」


 どっからどう見ても、カビ臭い年代物の巻物にしか見えない。


「ミドラが見ても分かるくらいの魔素だから、もし、使われていなかったら、このスクロール、一本100ゴールドはくだらないにゃ」


年代物が100万円……って、安いな。


年代物のワインなら、もっと高いものあるし。


「スクロールが正常に機能してることは分かった。それじゃあ、何でステータスに補正値が入ってないか教えて欲しいんだが」


「考えられるのは二つにゃ。一つ目は、お二人の装備が特殊すぎて、判別できない」


「確かにそれはある。先ほども言ったが、俺たちの服はこの世界のものではないからな」


びのは学生服で、私に至ってはフィットネス着の上に白衣だもんな。


「もう一つの可能性は、お二人の体質が特殊すぎて、装備しても補正されない」


「それって、どんな装備をしても、補正がかからないってこと?」


「可能性の一つとしてあり得るにゃ」


装備ができないとか、まじ勘弁なんだけど。


「試着して、補正値がでれば、装備が特殊だったってことだし、逆に補正値がでなければ、私たちの体質が特殊すぎるってことでいいのか?」


「お兄さん話がはやいにゃ。試着すれば、一発でわかるにゃ」


「覧様、これ着てみるにゃ」


「これは?」


「旅人の外套にゃ。とりあえず、上から羽織ってみるにゃ」

 

私は外套を肩にかけた。



 

  戻衛もどえ らんLV1 身長:165cm 体重:秘密

 HP:112(+0)

 MP:112(+0)

天職:科学魔法発明家(超絶レア)

 筋力:112(+0)

 体力:112(+0)

 耐性:122(+10)

 敏捷:112(+0)

 魔力:112(+0)

 魔耐:117(+5)

 運 :112(+0)

 技能等:言語理解【日常会話、読み、書き、計算】 レア度:☆☆☆

魔法(マジック)知識 レア度:☆☆☆

科学知識 レア度:☆☆☆☆

魔法(マジック)と(・)科学(サイエンス)との融合(・フュージョン) レア度:☆☆☆☆☆


 

 

「おおー、ちゃんと反映されてるにゃ」


ぱちぱちと拍手をするミドラ。


「異世界の衣服だったから、反映されてなかったってことみたいだな」


「そうみたいにゃ」


当たり前だ。


私たちは勇者なのだ。


異世界まで来て、装備が装備できないなんてことあるはずがない。


もし、装備ができないのであれば、魔王なんか倒そうとさえしないだろう。


「それじゃあ、オレはどんな装備ができる?」


「びの様のステータスなら、どんなものでも装備できるにゃ」


やっぱり、びののステータスなら、見せる必要はなかったか。


「とりあえず、攻撃力が高い武器を色々と用意してもらえるか?」


「それはちょっと……」


言葉を濁すミドラ。


「あれ? もしかして、オレ疑われてる? 店の高価な装備を盗むかもしれないとか思ってる?」


ああ、そういうことか。


装備は、元の世界で言うところの腕時計みたいな感覚なのかもしれない。


高価な時計は店先に出さずに、鍵付き展示ケースに入れておくみたいな。


「それなら、先に手付金を渡せばいい?」


私は提案をしながら、バッグからお金を取り出そうとする。


「あ、いや、盗まれることを疑ってるわけじゃないにゃ。王子様の知り合いみたいだしにゃ」


「じゃあ、なんなんだ?」


「攻撃力だけに特化した武器だと、呪われている装備もあるにゃ」


ああ、そっちか。


最強かつ最恐的な封印されている武器があるということだ。


「それじゃあ、呪われている武器以外で最強なものをだしてくれるか?」


「わかったにゃ。ちなみに、どんな武器をご所望かにゃ?」


「こっちで勝手に見繕うから、持ってきてくれればいいよ」


「わかったにゃ」


ミドラは、ちょっと待ってるにゃと言い残し、奥から武器を取り出す。


剣に槍、弓に斧、杖、ハンマーにクロー、ナイフにブーメラン、魔導書に手袋に鞭に鞭に鞭に鞭か……


「なんで、こんなに鞭だけ多いんだ?」


ああ、うん、そうだよね。


私もそう思ってた。


「びの様は、ムチが好きそうにゃ。無知だけに」


「それだけの理由かよ」


びのがつっこむ。


まさかの親父ギャグのノリ。


ミドラを無視して、色々な武器を手にするびの。


「どう? 手にしっくりくるものがあった?」


「ああ、剣にしようかと思う」


びのは150cmほど刀身のある両刃のロングソードを持ち上げ、天井にかざしてポーズをとる。


光輝く刀身。


「びの様、様になってますにゃ」


確かに、映画やゲームのポスターになりそうなほど格好いい。


言われたびのもまんざらではないご様子。


「ま、及第点ね」


そのまま褒めたら、また図に乗るからな。


「うん、オレはこの剣に決めたぜ」


「さてと、びのの武器が決まったところで、私の武器も見繕ってくれるかしら? ミドラ」


「その前に質問にゃ。覧様のステータスは平均的すぎるにゃ。どんなギルドに所属したいとか、どんなタイプになりたいとかあるにゃ?」


戦士ギルドに所属するのに、杖を装備したら笑われるだろう。


「この世界に魔法使いのギルドってあるのかしら?」


私自身の技能に魔法のスキルがあるのだから、当然この世界には魔法が存在しているはずだ。


人嫌いだから、ギルドに所属するつもりは、これっぽっちもないけど。


「もちろんあるにゃ」


「とりあえず、魔法使いになることを前提に見繕ってくれる?」


「了解にゃ」


「魔法使いなら、杖か魔導書か手袋が一般的にゃ」


へー、杖に魔導書に手袋か……


本当にゲームの中みたいな話ね。


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