(仮)オアシスゲーム-1-
「ん...?」
俺は起きると目の前の光景に言葉が出なかった。
真っ白い部屋にパソコンが1台。それしかなかったのだ。ドアも窓もない真っ白な空間にパソコンが1台。結論
「夢か」
こうなるのも当然の反応だ。
何分。何時間経ったのだろうか。流石に異変に気付かない俺ではなかった。まずは所持品チェックだ。とは言ったものの携帯すらない始末だ。服装は作業着だ。俺は座って記憶を辿ろうとした。
確か仕事が終わって給料を渡されそのまま飯を食いに行ったまでは覚えてる。だがそこから何も思い出せない。
俺は上着のポケットを確認するが勿論何も無く...考える。拉致られた?どうやって?そもそもどうやってこの場所にきた?
俺は部屋を歩いてみる。壁はなくひたすら歩いた。そして1台のパソコンがある場所に辿り着いた。
「......まさかな」
俺はパソコンの目の前に上着を起きまたひたすら歩く。だがパソコンの方を向きながら後ろ足で歩いた。どのくらい歩いただろうか...足に何かが当たった。だが俺の目には遠くにパソコンが見える。となるとこれは違う何かだ。恐る恐る足に当たったものを見るとそこにはパソコンが...しかも俺の上着まである?ハッ!!俺は視線を戻すと先程まで見えていたパソコンが無くなっているではないか。
「なるほどな」
人間訳の分からない事が起こるとなるほどな。で解決出来るのだ。考える事を辞めたのだ。考える事を辞めるとどうなるのか?
俺はパソコンを弄っていた。最初は絶対に触るつもりも微塵もなかったのだが、考える事を辞めた結果であった。
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(仮)オアシスゲームへようこそ!!
山田 龍一君。私達は君を歓迎します。君は選ばれた人間です。
この世界の主人公は正に貴方です。
このゲームの上位ランカーとなりその全てを持って元の世界にお帰り下さい。
運営一同貴方の活躍期待しています。
「(仮)オアシスゲーム運営委員会一同」
☆メニュー
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生きているのが退屈だった。ずっと違う世界に行きたいと思ってた。この状況……喜ぶべきか?
そう思いながらメニューボタンを押した時だった。画面が突如ブラックアウトし、文字が勝手に打たれ始めた。
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君の事は×××はなんでも知っている。君は今から新しい×××を知る事になるだろう。君はこの×××を見て、×××、どう××××××?
君の×××ように×××といいさ。ちょっとしたプレゼントを君にだけ送るよ。
後悔のない人生を××××××××××××××××××××××××。
「××××××××××××××××××」
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一部は文字化けして読めなかったが、こいつが俺をここに送り込んだ奴と仮定した。だが、感謝さえ感じた。あの退屈な人生が変わるのだと。
そう思ってた矢先にパソコンの画面が切り替わった。
「××××××××××××より「眠り姫の加護」がプレゼントされたよ。クリックしてね♪」
「××××××××××××よりEXスキル「神聖化」がプレゼントされたよ。クリックしてね♪」
「××××××××××××より「1000000KP」がプレゼントされたよ。クリックしてね♪」
「××××××××××××より「5GMP」がプレゼントされたよ。クリックしてね♪」
「(仮)オアシスゲーム運営委員会より「100000KP」がプレゼントされたよ。クリックしてね♪」
「「クエスト」が追加されたよ。クリックしてね♪」
「「購買武」が使用可能になったよ。クリックしてね♪」
俺は一番上からクリックをしていく事にした。
「ねぇ!ねぇってば!!」
うっすら聞こえる声と顔にあたる感触に俺はゆっくりと起き上がった。俺の目の前には小さな可愛らしい女の子がしゃがんでいた。
「あっ。やっと起きたー!!」
「あれ?君は?てかここは?」
女の子は顔をニヤニヤさせながら「龍一!!お主は我に何を捧げる?その代償に何を得たい?代償に応じた願いをなんでも叶えてやろう!!」と物凄い気迫を放った。
寒気がするほどの気迫だったが俺の心に迷いは無かった。
「俺の願いは...君に俺とずっと一緒に居てほしい。お互い裏切らない信用しあえるパートナーに。俺の払えるものはなんでも捧げる。」
「ほぉ。世界を支配する力とか望まないのか?」
「俺は君に一緒に居てほしい。」
「代償が龍一の寿命でもか?」
「ああ」
「良かろう。だがその前にどうしてその願いを求めた?」
「信用出来る俺だけの相棒がずっと欲しかったんだ。もう人の表情を伺うのも、嘘をつくのも、人を信じて裏切られるのも嫌なんよ。君が誰かもわからない。けど代償を伴うって事は信用出来るって事だろ?寿命なんて減ってもかまわない。退屈な人生を変えたいんだ。俺は俺の好きなように生きたい。君と一緒に楽しみたいと君を見て思った。これが俺の本音だよ」
「龍一はやっぱり龍一なんだね。また会えて良かった♪」
女の子は笑いながら俺に抱きつき唇を交わした瞬間俺の目の前にパソコンが現れた。
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名前 山田龍一
職業 眠神の申し子
所持KP 1352460KP
所持GMP 5GMP
残寿命 259,103h48m
ギルド ーーー
所持スキル
EX 神聖化
名前 (契)ーーー
種族 神
残寿命 259,103h48m
契M 山田龍一
ステータス N.F
所持スキル N.F
F1クエスト F2購買武 F11ステータス
F12 GMPC
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「龍一は相変わらず龍一って感じだねー」
俺の背中に暖かい温もりを感じ俺は少し安心した。
「色々聞きたい事あるんだけど良い?」
「良いけど龍一は聞くという簡単な行為で結果を知る。本当にそれでいいの?それでも良ければ答えるよ?」
「うーん。色々と気になる部分はあるけどそれは聞くつもりはないよ。ただどうしても聞かないと納得出来ない事だけ聞くつもり」
「分かった」
「まず君の名前を知りたいかな。」
「私には今は名前ないよ。眠り姫......私はそういう存在」
「よーし。ヒメ!!これからよろしくなー!」
「うん♪」
色々と聞きたい事、知りたい事はあったが、ゆっくり知っていこうと無邪気な笑顔を見てそう思った。
EX 神聖化をクリックすると使用条件が表示された。
EX 神聖化 心の声を具現化する。 効果に見合った寿命が対価となる。
やれるだけやってみるか......(お風呂!!)......なんも起きないな......大雑把すぎたか?それなら......(四方3mのバスタブにシャワー付き、水お湯全自動!!)
すると頭の中に声が響いた。
〈バスタブ3m四方 対価1h シャワー 対価30m 水お湯全自動 対価 200h 残寿命258,902h18m〉
すると何もない空間にしっかりとそれが現れた。
「おー。ヒメ!見てみ?」
「......すーすー...」
「なんだ。寝ちゃったか」
俺の背中に器用にぶら下がったままヒメが寝てしまったのでそのまま俺はスキルをいじることにした。
ベッドとかトイレとか色々いるよなあ......俺の家を想像してみるか......
(俺が東京に住んでた家の部屋)
〈××××より×××××を構築。×××××形状変化。××××××=×××××××
対価8760h 残寿命250,142h18m〉
頭に響く声と共に一瞬で俺の住んでた家になったではないか。すごいなこれ......服もトイレも洗濯機も食材も何でもあるぞ!!しかも電源がないのに稼働してる。すごいな......ん?8760h??1年か?てことは......後28年しか生きられないって事か...
俺は考えながらヒメを布団に寝かせようとしたが、中々離れてはくれなかった。
「んー。仕方ないか」
俺はパソコンの目の前に行きF2を押した。
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【購買武】
購買武で買った物は次回クエストの支給品ボックスに送られるよ♪買いたい物をクリックしてね♪
一度購入すると返品出来ないから注意するのだ☆
山田龍一 所持KP1352460
ロケットランチャー 1000000KP
M16 500000KP
MURAMASA 1000000KP
HOUCHOU 1000KP
黒いただの本 100KP
白い謎の本 1000000KP
初級魔法スキル「r」 500000KP
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「なるほどなぁ...購買武か。突っ込み所満載だな。」
と言いつつ一つ買う俺であった。だが、魔法か...やっぱりあるんだな。やってみるかー......
(EX スキル作成 スキル製造!!)
〈EXスキル スキル製造取得 対価8760h 残寿命241,382h18m〉
「おー!!出来た!!すげーなあ...チートクラスだとやっぱり1年分寿命持ってかれるのか...だがこれで寿命使う場面は少なくなるだろう」
【スキル製造】!!
〈所有魔力が0な為スキル発動出来ません(笑)〉
「な...なんだと......魔力なんてステータスに書いてなかったぞ?!てかこいつ今笑わなかったか?!くそ...どうする?」
俺はしばらく考えた。考えて考えて考えて...二つの方法を思いついた。人間はなんて素晴らしいのだろう。考える事が出来る。なけりゃ作りゃいい。それが人間だ。
嫌嫌お前何言ってんのー?そんな考えだから人間は駄目なんよ。人間はすぐ決めつける!考えてるようで考えてないわ!!そんな固定観念ぶっ壊しちゃえYO!!
俺の中で意見が別れた。じっくり考えて考えて考えて...ようやく答えが出せた。
(スキル発動時消費魔力=時間にする!!)
〈EXスキル 時間変換取得 対価8760h 残寿命232,622h 18m 〉
「おー。EXスキル 時間変換......スキル発動時時間が巻き戻る。巻き戻る時間はスキル効果により変化する......か。これなら魔力使わずにすむが...使い方難しそうだな。色々実験が必要そうだな...でも固定観念吹っ飛ばしたぞー!!」
俺は喜びながらスキルを発動させた。
【スキル製造】!!
〈スキル発動条件が満たされ無かった為スキル発動出来ません(笑)〉
「......確かに寿命減ってないのは不思議だったが、ここでは時間が止まってるのか?まぁ...今出来る事はこのくらいか...てか頭に響く声なんか...俺の事馬鹿にしてね?」
と、一人言を言いつつF1を押した。
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クエストに出発します!!
クエストクリア条件 ーーー 報酬ーーー
クエスト終了条件 武器の納品
クエスト失敗条件 クエスト受注者の死亡
クエスト攻略時間24h
安全地帯半径10Km完全遮断
安全地帯=12時間後にPKエリアに変換
安全地帯から一歩出た時点でPKエリアに変換
安全地帯からスタートする 1000000KP
randomでスタートする 0KP
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「クエスト押すともう戻れないのか......安全地帯からだな」
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安全地帯へ転移します。
クエスト残時間 23:59
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「ここは...?」
俺は見たこともない家?の中にいた。
「ヒメ?!?」
ぐるりと見回すがその姿は無く......落ち着いて確認すると俺の背中にぶら下がって寝ていた。
「はは。器用なやつ」
正直安心した。だからこそ冷静に周りを見渡す。目の前には赤い箱、青い箱。そして扉がある。扉は外に出る扉だろう。まず俺は赤い箱を開いた。
「何も入っていない......?」
次に青い箱を開くとそこには色々入っていた。
*スマホ
*黒いただの本
*支給品専用非常食セット
*支給品専用HP回復薬
*支給品専用MP回復薬
*支給品専用野営セット
「お!俺のスマホじゃん!!」
俺はスマホを手にし電源を入れる。が何も反応しない。
「やっぱりか」
俺はスマホをポケットにしまい、他のを見る。
ん?HP回復薬......だと?!HPって懸念があったのか??俺のステータスにはHPなんて書いて無かったぞ?!そう思っていた矢先にポケットから音楽が流れた。
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クエスト内容
ステータス
ワールドマップ
クエスト参加者
フレンド
ギルド
トレード
ログ
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俺のスマホがいきなり起動した。とりあえずはステータス確認か。
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名前 山田龍一
職業 眠神の申し子
所持KP 352360KP
所持GMP 5GMP
残寿命 232,622h 15m
ギルド ーーー
所持スキル
EX 神聖化
EX スキル製造
EX 時間変換
名前 (契) ヒメ
種族 神
残寿命 259,103h45m
契M 山田龍一
ステータス N.F
所持スキル N.F
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「やっぱりHPなんて書いてないよな......それよりも寿命が減ってる?!てことはここは時間があるのか。それなら...!!」
【スキル製造】!!
〈EX スキル製造 発動 EX 時間変換 スキルにより時間が2分巻き戻ります。 時間が巻き戻ることにより寿命が返還されました。残寿命232,622h17m スキル構築前提1 スキル名 スキル構築前提2 スキル発動効果 スキル構築前提3 スキル威力、範囲 スキル構築前提4 追加効果 スキル構築前提5 消費時間を設定して下さい〉
「なるほどな」
〈スキル構築前提1クリア確認。 スキル名【なるほどな】 スキル構築前提2の設定に以降〉
「.........範囲索敵......」
〈スキル構築前提2クリア確認。 スキル発動効果【範囲索敵】スキル構築前提3の設定に移行〉
「......敵意があるかないか、その場で何をしているか、敵か味方か判別!範囲は半径50キロメートル」
〈スキル構築前提3設定調整。スキル発動効果【敵意認識】【行動認識】【対象の遠隔視察】範囲【自動調整】スキル構築前提3クリア確認。スキル構築前提4の設定に移行〉
「......スキル発動が絶対気付かれないようにする!遠隔で何か出来るようにする!!」
〈(笑)必要な項目を簡潔にお願いします(笑)スキル構築前提4設定調整。スキル発動時【気配完全遮断】スキル追加効果【遠隔行動】スキル構築前提4クリア確認。スキル構築前提5の設定に移行〉
「1秒!!」
〈スキル構築前提5認証失敗。再変換。EX 時間変換と融合。スキル発動時0.1秒時間が巻き戻る。スキル構築前提5クリア確認。スキル構築1~5を合成。エラー確認。微調整移行。微調整クリア確認。新スキル 【なるほどな】 取得完了。全項目クリア確認の為世界軸止解除〉
「......変なの作ってしまった...だがまぁ色々知れた。残クエスト時間23:58てことはスキル作ってるあの長い時間は止まっているってことだよな。とりあえず少し寝るかー」
俺は時間が過ぎるのをヒメと寝て待つことにした。
クエスト残時間 23:42
山田龍一 クエスト 武器の納品 終了
マップ内残9人になります。
スマホにログが流れ俺は例の俺の家に帰ってきた。
武器の納品?黒いただの本を赤い箱に入れただけさ。何があったって?いずれわかるさ。俺は完璧に使いこなしたぜ。
え?誰と喋ってるんだって?ふっ。ただの一人言さ。
俺はヒメにキスした。
「お風呂入ってきて!ご飯作っとくから。あ!着替えそこのクローゼットにたくさん用意したから好きなやつ選んで!!」
「私を起こすのに照れなくなったな龍一クスクス。ってあー!!なんでひらひらばっかりー?!」
「女の子が着る服ってそんくらいしか思いつかなかったんよ。世界は広いんだろ?買えるまで我慢して」
「うむー。まぁよい。龍一のご飯は私の大好物だからな!わぁーっはっはっ」
「そこで服脱がない!」
「ふぁーい」
パソコン画面
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名前 山田龍一
職業 眠神の申し子
所持KP 352360KP
所持GMP 5GMP
残寿命 145,021h 52m
ギルド ーーー
所持スキル
EX 神聖化
EX スキル製造
EX 時間変換
EX なるほどな
EX パラライズボルト
EX sleepy song
EX 偽嘘
EX warp portal
EX 白渦
AS 完全遮断
AS 黒渦
AS 物理変換
ES ×××××
名前 (契)ヒメ
種族 神
残寿命 259,103h 30m
契M 山田龍一
ステータス N.F
所持スキル N.F
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スマホ画面
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名前 山田龍一
職業 平民
ギルド ーーー
仲間 1
ステータス
LEVEL 1/1 MAX☆
HP 3
MP 0
STR 2
INT 0
AGI 1
LUC 0
所持スキル
土下座
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異世界日記 一日目
パソコンに書ける場所があったので今日から書こうと思う。
日記なんて書く柄じゃないし、日付もわからないが、俺が今いる世界は俺の知る世界ではない事は良く分かった。だからクエスト毎に日記を残そうと思う。
俺の寿命は実感がないが、長くはない。寿命が0なったらどうなるかもわからない。だけど間抜けに死ぬよりあの子を生かす事だけを俺は考えるつもりだ。馬鹿だろ?得体の知れない子、そして俺の事を知っている。何より神様ときた。だけどあの子を見た瞬間好きになってしまったんだから仕方ない。好きなもんは好き。だから守るって決めた。前いた世界は俺はろくでもない人間だった。そして人生がつまらなかった。騙され騙し逃げて逃げて色々な事から逃げてきた。神様に何度願ったか。圧倒的な力が欲しい。信用できる人が欲しいと。だがあの世界で力を手にいれたとして何が出来た?それを考えると何も出来なかっただろう。
この世界に連れてきてくれた事だけには感謝しないと。
だが俺は何のために呼ばれたのだろう?何をすればいいのだろう?そんな面倒な事考えるのやめるわ。
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「龍一!ご飯まだー?」
「ああ!今行くー」
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俺はあの子だけの為に生きるんだ。
俺は余計な事には関わらない。あの子と一緒に第2の人生楽しく過ごしたい。
その為なら............
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もし続きが気になったらブックマークお願いします。次話を書く楽しみになります!
現在作者は更新したくても更新出来ない環境にいます。
ですので更新頻度は少ないですが、必ず更新していくので末永く応援して頂けると嬉しいです。