67.それもコレクターだから
相変わらず飽きもせずにダンジョンの周回を続けている二人。
ルティカは元よりコレクターなので、同じ事の繰り返しであろうとも確実にアイテムが増えていくので楽しいし、スキルのレベルもちまちまと上がっているのが嬉しい。
一方ラインハルトは、うきうきとアイテムを集めているルティカと共に過ごせるのが嬉しいらしい。
敵を瞬殺すればルティカにキラキラとした目で見られるし、ついでにレベルも上がる。
それに以前に自分だけでダンジョンを攻略していた時よりも、断然楽だった。敵の位置が分かるだけで、効率が全く違うのだ。
更に匂いも気にならないし、汚れればルティカが浄化をかけてくれるし、ちょっとした怪我でも治療してくれる。
つまり何の不満もない。
夜になれば街に戻り、一緒にご飯を食べ、共に眠る。
ラインハルトに愛され、ますます美しくなるルティカ。
毎朝清々しく目覚めるラインハルト。
朝、目が覚めて、愛する人が横に居る。その事が嬉しいのは二人とも同じで、目が合うと微笑みあい、おはようのキスから一日が始まるのが定番になった。
もちろん毎日ダンジョンに行っている訳ではない。
日本人感覚の抜けないルティカは、基本的に週休二日で動いている。
きっちりと決めている訳でもなく、週末に連休で休んだり、週の半ばに休んだりと割と適当に過ごしていた。
ラインハルトはその辺を全然気にしていなかったので、当然ルティカに合せて過ごしていた。
休みの日には二人で買い物をしたり、素材を売ったり、部屋でまったりしたりして過ごしていた。
が、最初はそうもいかなかった。
初めての休みの日に二人とも冒険者ルックから私服に着替えて出かけたのだが、行き交う人々の注目を集めに集めたのだった。
ラインハルトは以前の修行中に髪を切るのが面倒でそのまま伸ばしていたら、その長髪をルティカが気に入り、毎朝ルティカに緩く三つ編みを結われるようになった。ただでさえ目立つ銀髪がより一層目立つようになった。更に彫刻のように整った顔に加え、サファイアブルーの左目の泣き黒子が色気を増している。
ルティカのプラチナブロンドは輝きを増し、つり目がちな深い蒼い瞳に整った顔は冷たい印象を与えるが、言うまでもなく美人である。更にラインハルトに愛され、内から輝くオーラが出ているのか、以前より確実に美しくなっていた。
そんな二人が出歩けば、目立つのも当然だった。
二人とも元々貴族であったし、注目を浴びるのは慣れていたが、お互いに相手が異性に見られるのが気に入らない。話し合った結果、休みの日もフードのついた真っ黒いマントを着て過ごす事になった。
この黒いマントは『英雄の影』と呼ばれる合成アイテムで、スケルトンナイトの魔石500個で出来る物。
風でもフードが外れず、鼻まで顔を覆っているが中からは外がちゃんと見える不思議仕様。そして二人で着てみて初めて気付いたが、同じマント同士ならマントの中も見える仕様だった。
そのお陰でマントを着ていても、二人のコミュニケーションには困らなかったので、普段から使うようになった。
頭から足先まである真っ黒なマントを着た二人組など、見た目怪しい事この上ないのだが、ここ、ザザビークではそんな事は一切無かった。
ザザビークにはダンジョンがあり、そこの攻略のために多くの冒険者が集う。その客を狙って、ダンジョンの手前には多くの出店が並ぶ。
「おじさ〜ん、昨日注文したの出来てます?」
「あいよっ! 焼鳥のタレ20本出来てるよ!」
「有難うございます! えっと、今日は〜……う〜ん、タレと塩を2本ずつお願いします。それと、明日は塩を20本お願いしますね!」
「まいどっ!!」
次々と出店に寄って、前日に注文した商品を受け取り、明日の予約をしてからダンジョンに入る二人。
ほぼ毎日行われるそれは商人達にとって、とても有難い事であった。
商品を買い占められると売り上げは上がるが、それはそれで困るものだ。
だがルティカは前日に予約という形で注文していく。
それなら予め準備出来るし、売り上げは確実に上がる。しかもそんなに無茶な数を注文していく訳でもない。
更に気に入ったものはずっと注文される。
こんなお得意様はそうそう居ない。
そんなこんなで見た目怪し過ぎる二人だが、人々には受け入れられていた。
しかも二人で仲良さげに買い物をしていく様は、もはやザザビークの朝の恒例行事と化していたりする。
「ルティ、毎日そんなに買わなくても良いんじゃないか?」
「え? でも在庫はどれだけあっても良いと思うよ? はい、コレ。ラルフの分ね。ちゃんと保存しておいてね」
「はいはい。じゃ、今日も行きますか」
「オッケー」
買った分は二等分して、それぞれのアイテムBOXに収納してからダンジョンに向かう二人。
どんなものでも、在庫はあればある程良いと思っているルティカだった。




