表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/68

57.ラインハルト視点 ②


 その姿を目にした瞬間、心が震えた。


 すらりと伸びた肢体。長い手脚に細い腰。女性らしいしなやかなライン。輝くプラチナブロンドは陽に照り輝いてまるで黄金のようだ。整った顔は冷たい印象を与えるものの、それが更に美しさを演出している。


 そして何より惹かれたのはその瞳。

 

 つり目がちなその瞳は、なんと……深い蒼だろうか。

 確かに宝石に例えられてもおかしくない。


 その美しい瞳が真っ直ぐに私を射抜く。


 熱を帯びていないのに好意を感じる。

 不思議な感覚だった。


 まるで母上に見守られているような……いや、何を馬鹿な事を言っているのだ。彼女は年下ではないか。



 そして気付く。力強く生命力溢れたオーラが辺りを包んでいる事に。


 今ならそれが高レベルのオーラだと分かるが、その時の私にはただただ安心出来る空間だった。

  


 余りに見惚れていて挨拶を忘れそうになり、慌てて挨拶をした。


「ようこそ、ラインハルト・フォン・エクセライクです。母を助けていただき本当に有難うございました。お越しくださり、嬉しく思います」



 そう言うと自然と笑みが溢れた。

 作り物ではない心からの笑みを、自分に出来る事が驚きだった。



「はじめまして、ルティカ・ユイ・サーバンドです。こちらこそお招きいただき有り難うございます」


 そう言って微笑む姿に心惹かれた。

 

 え?

 惹かれた?


 まさか、私は彼女を……?



「ラインハルト、折角ですもの。ルティカ嬢にお庭をご案内してさしあげて」


 ! 有難うございます、母上!!

 自分に出来得る限りの微笑みを浮かべながら


「分かりました。では、行きましょうか?」


 彼女の白く細い手を取りながらエスコートする。

 女性をエスコートするなど、いつもの事なのに何故か心が浮き立つ。


 そっと彼女はを窺い見ると何故か苦笑いをしていた。

 何か不手際があっただろうか?


「どうかされましたか?」

「いえ、エスコートされたのが初めてで嬉しくなりまして」

「初めて?」

「はい、私はデビュタント以外に出席していませんの。社交も全くしておりませんわ」


 そうなのか!

 彼女の初めて……う、嬉し過ぎる。


「そうなのですか。初エスコートをさせて頂けるなんて光栄ですね」

「ふふ、お恥ずかしいです」


 彼女を東の四阿に案内して、ベンチに座らせる。

 

 会うまではそれ程気にしていなかったが、ひと目見て気に入った彼女にどうしても聞いておきたい事があった。

 

「ルティカ嬢は……私の噂をご存知で?」

「ええ、存じ上げております。婚約者の方々が次々とご不運な目に遭っているそうですね」


 やはりご存知だったか……。

 

「それでも、私の所に来てくれますか?」 

「別にラインハルト様が何かされている訳でもないでしょう? ……ラインハルト様こそ私で宜しいのですか? 私は冒険者をしておりましたので、社交もろくに出来ませんし、ご迷惑をお掛けするかしれませんわ?」


 そう言ってもらえて、安心した。

 社交などどうでもいい。

 私を受け入れてくれるだけで有難い。

 

「はい、問題ありません。社交などしなくても結構ですよ。母から聞きましたが、ルティカ嬢はお強いのでしょう?」


 そう言うと彼女は、何故か私の頭の上に視線を走らせてから言った。


「そうですね、ラインハルト様より強いですわね」


 ……それはそれで、ちょっと凹むかな……。

 でもまあ、良い。


「ふふ、そうですか。ならば安心です。出来れば我が家に来て頂いて、母と弟を守って頂けると助かります」


 そうお願いすると、とんでもない質問をされた。


「あの……女性に興味がないのですか? もしかして男性の方が……」


 何故そんな事に? 確かに女性に興味を示さなかったが……まさかそんな噂があるのか!?


「! いえ、そんな事はありませんよ。男性に興味はありませんからご安心ください!」

「失礼しました。それなら良かったです。それと……もし私と結婚してくださるのであれば、条件が一つだけあります」


 どうやら信じていただけたようだ。助かった……。

 それにしても条件とは何だろう?

 勿論何でも聞く気でいるが。

 

「何でしょう?」

「仮にも結婚するのであれば、浮気はしないでください。それだけです。でも縛りつける訳ではありませんよ。人の心は移ろうものです。他に良い人が出来たなら、ちゃんと離縁してからその方とお付き合いください。それが出来ないのであれば、今回のお話はなかった事にして欲しいのです」


 浮気など……。

 する筈もない。

 最早彼女以外を見る気などさらさらない。

 

 でも……彼女の言い分だと浮気する前提のような……そんな男に見られているのだろうか?

 これは近いうちに必ず払拭せねば。


「……大丈夫ですよ。そんな事は致しません」

「それなら結構です」

「では、進めても良いので?」

「はい、私が皆様をお守り致しますわ」


 よしっ! 嬉しい。

 こんなに欲しいと望んだ事は子供の頃以来だ。

 


 二人で微笑み合っているが、私はちゃんと笑えているだろうか?

 長い間感情を出さないようにしていたので、上手く出来ているか自信がない。


 それでも笑ってくれている彼女を見てると、心が暖かくなる。

 あぁ、早く婚約せねば。

 いらぬ虫がつくと困るからな。


 まずはサーバンド侯爵に許しを得に行かねば。

 婚約発表はどうするかな? 婚姻も早めにしよう。

 ドレスは勿論私が贈る。無論アクセサリーもだ。私の色に染めたい。

 どのようなドレスにしようか? まあ、どれでも似合うに決まっているがな。


 などど、色々と思案しながらお茶会を終えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ