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54.ユノ視点 ②


 侯爵家に連れて来れられて、ボスの尋問を見てた。

 主にかかれば隠し金庫もただの箱らしい。

 暗殺者だけでなく、盗賊としても一流になれるじゃないか。


 侯爵家では皆、 普通(・・)の人間として扱ってくれた。

 不思議な感覚。

 落ち着いて食事が出来るなんて……。


 

 次の日に何処かに行こうとする主人にくっ付いて出掛ける。

 目立つからとくれた主人とお揃いのマントが、何気に凄い。


 フードを被っているのに前が見える。

 走ったり、飛んだりしているのに脱げる気配がない。

 一体どうなっているんだろう?


 しかもマントにしては肌触りがとても良い。


 ……お揃い。




 行き先は王城で、侵入も楽々。

 ホント公爵夫人なんて嘘だろ。

 簡単に侍女の格好をした影を捕まえてきて、お願いの形の命令をしていた。


 暫く待っている間に話してたら、マントをくれるって。

 やったぁー!


 

 

 案内された先の気配が剣呑だったが、主のシールドに入ればどんな攻撃も無効になる。

 コレに入れられた時は絶望しかなかったが、主と入れば絶対空間になるんだな。不思議なもんだ。


 主はこの国の国王相手に脅し……交渉して、敵を追い詰めていた。

 

 国王は主の強さを感じているようだが、王子はダメだな。分かってない。

 あまり怒らせないようにした方が良いのに。 

 主がその気になれば、本当にこの国はなくなるんじゃないか?


 



 心配したが、難なく公爵家で従者見習いとして受け入れてもらえた。

 指導がやたら厳しい気がしたが、公爵家となればこれ位必要なのだろう。


 以前にも潜入のために色々やっていたので、立ち振舞いをしっかり習えば、後は簡単だった。

 従者として認められて主の側に控えるようになった頃、主は王宮からの招待を受けていた。

 主は普段も綺麗だが、着飾れば公爵夫人として相応しい美しさになる。が、本人はあまり好きではなさそうだ。勿体無い。


 

 初めて主の敵を見たが、たいした事ないなぁ。

 俺を侮蔑の目で見て、貶めていたが気にならなかった。

 今までなら少なくとも何かしらの抵抗を感じたのに、なんら感じない。


 公爵家で誰もそんな目で見なかったし、何より主が俺を認めてくれているのを感じたからかもしれない。

 

 逆に主の機嫌が急降下している。ヤバイ。

 主の膨大な魔力が不安定になっている。


 そんなに気にしなくて良いのにと思うのと同時に、俺を思ってくれているのが嬉しいとも思う。


 なんて考えていたら、主が敵を吹っ飛ばしていた。

 ちょっとざまぁと思ったのは黙っておこう。



 

 帰りの馬車でも主の機嫌がなおらない。

 褒めてもらえるのは嬉しいが、どうしたら良いのだろうか?


 悩んでいたら、瞳を見たいと乞われた。

 勿論了承すれば、顔を掴まれ瞳を覗きこまれた。


 主の深い蒼が目の前に……綺麗だな。

 

 ……でも!


 近いっ!近過ぎるっ!!



 流石に恥ずかしくなって、身を捩ればすぐに離してくれた。

 俺の目なんかよりも主の瞳の方がよっぽど綺麗なのに。

 



 

 主の敵の幽閉が発表された夜、思った通り主は出掛けようとしていた。

 置いていかれるなど不本意だ。


 ついて行けば敵は塔に居た。

 案の定反省はしていないようだ。

 どうしようもないな、と思っていたら主が信じられない行動を起こした。


 敵に武器を渡すなどっ!

 幾ら主が強いと言え、抵抗もしないなんて。


 取り上げようとしたが、主に止められた。

 何か考えがあるようなので、仕方なく引き下がった。



 そして聞かされるレベルの違い。

 なる程と納得出来る話だった。主が強い理由が少し分かった気がした。



 次の日に聞いてみれば主のレベルが俺の倍以上あった。

 見えているものからして違った。



 勝てない訳だ。


 正直凹む。

 このままでは従者として役に立てないではないか。


 凹んでいたら、レベルを上げる方法があると教えてくれて、機会があれば連れて行ってくれると言ってくれた。

 少しでも主に近付きたい、そう思った。



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