54.ユノ視点 ②
侯爵家に連れて来れられて、ボスの尋問を見てた。
主にかかれば隠し金庫もただの箱らしい。
暗殺者だけでなく、盗賊としても一流になれるじゃないか。
侯爵家では皆、 普通の人間として扱ってくれた。
不思議な感覚。
落ち着いて食事が出来るなんて……。
次の日に何処かに行こうとする主人にくっ付いて出掛ける。
目立つからとくれた主人とお揃いのマントが、何気に凄い。
フードを被っているのに前が見える。
走ったり、飛んだりしているのに脱げる気配がない。
一体どうなっているんだろう?
しかもマントにしては肌触りがとても良い。
……お揃い。
行き先は王城で、侵入も楽々。
ホント公爵夫人なんて嘘だろ。
簡単に侍女の格好をした影を捕まえてきて、お願いの形の命令をしていた。
暫く待っている間に話してたら、マントをくれるって。
やったぁー!
案内された先の気配が剣呑だったが、主のシールドに入ればどんな攻撃も無効になる。
コレに入れられた時は絶望しかなかったが、主と入れば絶対空間になるんだな。不思議なもんだ。
主はこの国の国王相手に脅し……交渉して、敵を追い詰めていた。
国王は主の強さを感じているようだが、王子はダメだな。分かってない。
あまり怒らせないようにした方が良いのに。
主がその気になれば、本当にこの国はなくなるんじゃないか?
◇
心配したが、難なく公爵家で従者見習いとして受け入れてもらえた。
指導がやたら厳しい気がしたが、公爵家となればこれ位必要なのだろう。
以前にも潜入のために色々やっていたので、立ち振舞いをしっかり習えば、後は簡単だった。
従者として認められて主の側に控えるようになった頃、主は王宮からの招待を受けていた。
主は普段も綺麗だが、着飾れば公爵夫人として相応しい美しさになる。が、本人はあまり好きではなさそうだ。勿体無い。
初めて主の敵を見たが、たいした事ないなぁ。
俺を侮蔑の目で見て、貶めていたが気にならなかった。
今までなら少なくとも何かしらの抵抗を感じたのに、なんら感じない。
公爵家で誰もそんな目で見なかったし、何より主が俺を認めてくれているのを感じたからかもしれない。
逆に主の機嫌が急降下している。ヤバイ。
主の膨大な魔力が不安定になっている。
そんなに気にしなくて良いのにと思うのと同時に、俺を思ってくれているのが嬉しいとも思う。
なんて考えていたら、主が敵を吹っ飛ばしていた。
ちょっとざまぁと思ったのは黙っておこう。
帰りの馬車でも主の機嫌がなおらない。
褒めてもらえるのは嬉しいが、どうしたら良いのだろうか?
悩んでいたら、瞳を見たいと乞われた。
勿論了承すれば、顔を掴まれ瞳を覗きこまれた。
主の深い蒼が目の前に……綺麗だな。
……でも!
近いっ!近過ぎるっ!!
流石に恥ずかしくなって、身を捩ればすぐに離してくれた。
俺の目なんかよりも主の瞳の方がよっぽど綺麗なのに。
◇
主の敵の幽閉が発表された夜、思った通り主は出掛けようとしていた。
置いていかれるなど不本意だ。
ついて行けば敵は塔に居た。
案の定反省はしていないようだ。
どうしようもないな、と思っていたら主が信じられない行動を起こした。
敵に武器を渡すなどっ!
幾ら主が強いと言え、抵抗もしないなんて。
取り上げようとしたが、主に止められた。
何か考えがあるようなので、仕方なく引き下がった。
そして聞かされるレベルの違い。
なる程と納得出来る話だった。主が強い理由が少し分かった気がした。
次の日に聞いてみれば主のレベルが俺の倍以上あった。
見えているものからして違った。
勝てない訳だ。
正直凹む。
このままでは従者として役に立てないではないか。
凹んでいたら、レベルを上げる方法があると教えてくれて、機会があれば連れて行ってくれると言ってくれた。
少しでも主に近付きたい、そう思った。




