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51.やっと



 移動中にギルに注意された事。


 私のスキルレベルはおかしいので、他の人にバレると良からぬ事を考える輩が増えるから、出来るだけ秘匿する事。

 レベル自体もおかしいので、自重する事。

 合成のスキルはかなりレアで、合成出来るアイテムを持っていないと使えない事。

 現在合成出来るアイテムは、世界に数個しか発見されていない事。もちろん国宝級になっている事が多い。

 合成で出来る不思議アイテムは伝説級の物も多く、気軽に作らない方がいい事。

 

 そんな事を淡々と言い聞かせられました。

 

 もうかなり作っちゃってる事は、私の為に黙っておいた。

 ユノがこっちを不安そうに見ているのは、きっと気のせい。



 鑑定のレベルも上がっていたので合成の腕輪を鑑定してみると、私が生きている間は外せず、また外れたとしても使えるのは私の子孫のみ。中にプールされたアイテムは使用者の意思がない限り出せないと出た。


 何コレ?

 改めてみると呪いのアイテムですよね?

 

 あれですか?

 刺さった時にDNAでも登録されちゃったのでしょうか?



 その旨をギルに伝えると、深い溜息をつかれて、取り敢えず長生きしてくれと頼まれた。

 何故ならギルの作りたい虹の宝玉は作るのに時間が掛かる。必要なアイテムの一つ、今回採りに行く世界樹は50年に一度しか紅葉しないらしい。そして次に花が咲くのは20年後だそうだ。

 

 むろん死ぬつもりもないので了承したが、気の長い話だ。

 まあ、龍人にとっては大した時間でもないのかもしれないが。




◇◇◇




 それからルティカ的に自重しながら楽しく旅を続け、二年間で様々な新しい素材を採取し、ほくほくで王都に帰って来たルティカ。

 取り敢えずギルドに行っておこうかと思い三人で王都のギルドに立ち寄る。

 


 そんなルティカをギルドで待ち構えていたのは、革のブーツ、腰に長剣、左胸だけ金属で覆った胸当て。肩から足元までのマントをつけ、泣きぼくろが印象的だった左眼を隠すように着けられたバンダナをしたラインハルトだった。

 以前よりも精悍な顔付きで一瞬別人かと思った位だ。


 

「久し振りだな、ルティカ」

「ラインハルト様っ! ど、どうされたんですか? そのお姿は!?」

「どうってさ私も冒険者になっただけだ。ランクもAに上がったぞ」

「はぁ!? ランクA? 何で? どうやって? それより公爵家は?」

「まあ、こんな所でなんだ。貴方がギル? 場所を変えても良いかな?」


 見惚れる位の笑顔を見せているが、目は笑っていないラインハルト。

 圧が凄い。

 流石のギルも少したじろいでいる。


「いや、俺は他に用事があるので……ニ人で行くと良い。では、また明日にでも。じゃあな、ルカ。行くぞユノ」

「あ、はい。ではまた」


 に、逃げたなぁ〜。ズルイよ、ギルぅ〜。

 ユノまで見捨てて行っちゃった〜。




 ランハルトが使っている宿の部屋に連れてこられたルティカ。割と上級ではあるが貴族が使う宿ではない。部屋にはベッドと机と椅子が一脚あるだけだった。

 色々聞きたい事はあったが、雰囲気の変わったラインハルトを前にびくびくと様子を窺うしか出来ない。

 

 椅子を勧められ、自身はベッドに腰を掛け、机に紅茶を出してくれた。それは公爵家で飲んでいた紅茶と同じ味がした。

 何気に出しましたが、アイテムBOXを持っているのですか? びっくりです。



「元気だったか?」

「はい、変わりなく。でもラインハルト様のその眼は……どうされたのですか?」

「ああ、コレか。ちょっとヒュドラを討伐する時にやられてしまってな」

「ヒュドラ!?」


 それはこの国の森の奥に何十年かに一度生まれる魔獣で、レベルが高くとても強い。

 街に降りてくれば甚大な被害になる。だが強過ぎて国の兵では歯が立たないので、ランクの高い冒険者に討伐の依頼が来るらしい。

 それを討伐したというのだろうか? 


「だ、大丈夫だったのですか!? あ、いえ大丈夫じゃなかったからお怪我されたという事ですか?」

「いや、討伐は出来た。これは油断しただけた。その功績もあってランクが上がったんだ」

「そうだったのですか……でも無理はなさらないでください」


 ふと見てみるとラインハルト様のレベルは47。

 二年前は21だったから、かなり上がっている。

 高ランクの魔獣を討伐して上がっただけではない上がり方だ。


「ああ、大丈夫だ。心配してくれて嬉しいよ。でももう公爵ではないし夫婦だろう? 敬語も使わなくて良いし、ラルフと呼んでくれ。私もルティと呼んでも?」


 その美しい顔を近付けて、覗き込まれるように見られると自然と胸が高鳴る。

 やめてー。久々で耐性が……でも言えない。


「ええ……良いですよ。それでその……公爵ではないとは?」

「公爵は弟のツヴァルツに譲った。一年は引継ぎもしていたが、去年からは本格的に活動してランクも上げたんだ。これでルティと一緒に冒険出来るぞ」


 なんとも嬉しそうな顔をしてる。そんな顔も初めて見ましたよ。

 惚けそうだったけど、それ所ではない!


「公爵家を譲るなんて何て事をなさるんですかっ! お義母様もそんな事を許されたのですか?」

「ああ。もちろん最初は良い顔をされなかったが、どうしてもルティと一緒に生きていきたいと言えば許してくれたよ。ツヴァルツも良いってさ」


 晴々としてむしろスッキリしたと言わんばかりだ。


「その……随分雰囲気が変わったのですね。フランクというか、軽いというか……」

「敬語は禁止だと言ったろ、ルティ。私も学んだんだ。貴族のままではルティは逃げるからな」


 そう言いながら立ち上がり、私に手を差し伸べて立たせられ、そのまま指先にキスを落としながら言う。


「もう逃がさないよ。一緒に生きていこう。愛してるんだ、ルティ」


  

 ずっと聞きたかった言葉。

 でも諦めていた。自分には与えられないと。

 二年前にそれらしい事を言われたが、信じられなかった。

 

 でも私の好きな眼が、真っ直ぐに私を見詰めている。

 初めての愛の言葉に体の芯から熱くなる。


 それと同時に戸惑いも感じる。

 どうしていいのか分からない。



「で、でも私はこれから地道にアイテムを集めようと思っていたので……その……目立った活躍とかはしないと思うけど……」

「構わないよ。ルティと一緒に居られればそれで。金に困っている訳でもないし、君のやりたい事をすれば良いさ。手伝うよ」



 その言葉を理解すると、戸惑いよりも嬉しさが勝る。

 自然と微笑みながらラインハルトを見る。



「本当に? 良いの?」

「勿論だ。その為にレベルも上げたんだ」

「そんなに思ってくれていたのね。知らなかったわ」

「ああ、学んだと言っただろう? 気持ちは伝えなきゃ伝わらないと分かったし、もう遠慮はしない。ずっと好きだったんだ。貴族でも冒険者でもどんなルティでも構わない。もう離れないぞ」


 そう言いながら流れる様な動作で抱き締められて、頭にすりすりされる。


 誰、これ?

 ホントにラインハルトかな?

 別人?



 うーん。

 まあ、好きにさせてくれる様だし、元々ラインハルトは好きだったし、問題ないか。夫婦も継続中だし。



「嬉しい。これからもよろしくお願いね、ラルフ」


 顔を見上げて、にっこりと笑って了承すると破顔された。

 そんなに思ってくれていると思うとじんわりと心が温かくなり、その腕の中が安心出来る。胸に顔を寄せ、背に腕を回してぎゅっと抱き締めるとラインハルトも強く抱き締めてくれた。



 あぁ……幸せ。

 なんて落ち着けるんだろう。

 

 この世界に来て初めてかもしれない。

 こんなに安心したのは。

 なまじ前世の記憶があるから、周りは全員年下に見えた。そのせいか誰にも甘える事が出来なかった。

 家族が愛してくれているのは理解しているが、それは家族だから。

 

 でもラインハルトは違う。

 それなのにこんなに私を受け入れてくれるなんて。

 嬉しい。


 

 ぐりぐりと頭を擦り付け、ラインハルトの体温を堪能していた。

 ふいに引き剥がされ、温もりが離れるのを残念に思っていたら、そのまま横抱きにされた。

 いわゆるお姫様抱っこだ。


 嬉しいのと恥ずかしいのと高いのとバランスが取れないのと。

 色々慌てながらラインハルトの首に掴まる。

 

 近くなった美しい顔に見惚れる。

 やはりその眼は綺麗だ。


 ……あれ?

 いつもと違う熱が見える。


 

 その美しい瞳を細めて


「ふふふ、ルティ。愛しているよ。もう離れないぞ」



 そう言いながらベッドに優しく下ろされ、朝まで離してくれなかった。

 

 そして私達は、ようやく夫婦になった。




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