表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/68

39.八つ当たり


 何だか久し振りにすっきりとした目覚めで、気持ち良く起きられた。

 不思議に思って周りを見たら、ユノが不機嫌そうに扉に寄り掛かりながらこちらを見ていた。



「あれ? ユノ、寝なかったの?」

「寝れるかっ!! 何でそんな呑気に寝てんだよっ!」

「えっ? ヤダ、護衛って言ったの本気にしてたの? ごめん」

「そう言う意味じゃねーよ!」 



 なぜか怒っているユノにハテナを飛ばしていたら



「お前、令嬢じゃねーのかよ? 大体男と一緒の部屋だなんておかしいだろっ!!」

「あぁ……そう言えば私、若かったんだっけ?」



 ようやく合点がいった。

 そりゃ若い男女が同じ部屋だなんておかしいか。

 でもユノは子供に見えるし、全然そんな事考えなかった。



 ルティカとして18年生きているが、前世の記憶がある分、自分が若いのをつい忘れてしまう。前世と合わせたら還暦なんてとうに過ぎている。ユノなんて孫どころか曽孫と言ってもいいくらいだ。子供を保護した気分でいたよ。すまん。



「ごめん、自分が若いの忘れてた。ユノは子供だから、全然気付かなかったよ」

「子供じゃねーし!」

「え? ユノって幾つ?」

「……14」

「……子供だよね?」

「うるせーなぁ。ちげーし」



 拗ねている所は子供そのものだけど、言うとさらに拗ねそうだから黙っとく。



「ごめんって。でもユノが居たから、久し振りにぐっすり寝れたよ。有難うね」

「! ……それなら、別にいいけどよ……」

「じゃあ、ご飯食べたら、さくっとギルドを潰しに行こっか」

「……簡単に言ってるし……」



 二人で屋台で朝ご飯を買って食べる。

 昨日も思ったが、この国の料理辛いものが多い。朝はホットドックにたっぷりのチリソースがかかっているものを選んだ。中々癖になる味。でもちょっと辛過ぎて舌がピリピリします。


 食べ終わったら移動。

 こっそり街から出て、そのまま森の近くを走りながら移動。ただ走るといっても、私のレベルだと本気を出せば馬なんか目じゃない。それはそれで目立つからしないけど。ユノがついて来れそうな速度で走る。



「大丈夫?」

「……これくらい平気だ!」


 

 それでもバドスに着く頃には、ユノの息が上がっていた。



「やっぱ、お前信じらんねーわ……」

「レベルが上がれば問題ないよ?」

「だから……いや、いいよ」



 またしてもこっそり入る。入れる場所はユノに聞いた。

 ユノはバレると困るので変装してもらった。

 案内されて暗殺ギルドに行ってみると、意外としっかりとした建物で一見では普通のギルドっぽかった。もっとこう暗いイメージだったが、いい意味でビジネスなんだろう。

 そのまま何気なく通り過ぎ、少し離れた位置の路地裏に移動。



「じゃあ、ちょっと偵察するから周り見ておいて〜」



 そうユノにお願いして、目を瞑る。



「……偵察って?」

「ん? 中の事が見えるよ。そうそう、ボスってどんな奴?」

「こんな所から見えんのかよ? 全く……。ボスは剥げてて隻眼だ。黒い眼帯をしてる」

「おっ! いたいた。ふむふむ、2階の奥だね。地下もあるのか。ねえ、地下牢に居るのって……」

「……奴隷だな。今から仕込むのか、何かに使うのか分からないけど」

「ふーん。今ギルドに居る人達って無理やり働かされてる人達?」

「いや、俺達のような下っ端はもっぱら現場だ。そこに居るのは上の奴らだろ」

「消しても問題ない?」

「ああ、全然」

「じゃあ、ちょっと証拠を探してくるよ。隠し金庫的なものがあったし」

「え? 一人で大丈夫か?」

「勿論。見てて」



 そう言ってスワロウの扇を出し、強めの魔力を込める。



「あれ? 見えなくなった?」

「ううん、認識阻害だよ。実際には居るし見えてるはずだけど」

「すげ〜な、コレ」

「扇なのは難点だけど、ユノにも作ってあげようか?」

「良いのか?」

「うん、後で説明するね。じゃあ、取りあえず行ってくる。ユノは隠れてて」

「分かった。気を付けてな」



 マップを見ながら人を避けつつ進んで、ボスが部屋から出た隙に入る。

 ボスの部屋には至る所に散らばった書類があり、更に机の上には書類が乱雑に積み上げられていた。


 壁にある絵画を捲れば、隠し金庫発見! ベタ〜。

 態々開けるのは面倒なので、金庫に触ってアイテムBOXに丸ごと収納。机も丸ごと。落ちてる書類はいらないかな。


 そこまでした所でボスが部屋に戻ってきた。

 すかさずシールドに入れて捕獲する。


「! なんだ!! これは! 一体どうなっている?!」



 そこで姿を現して微笑むが、フードを深く被っているため口元しか見えていないだろう。



「お初にお目に掛かります。少々お尋ねしたい事がございまして、訪問させて頂きましたわ」

「何だ! お前はっ!」

「ルティカ・ユイ・サーバンドの暗殺を依頼したのは誰ですか?」

「はぁ? 知らん知らん! いいから出さんか!」

「知らないなら必要ないので、このまま処分ですが宜しいですか?」



 シールドの中の温度を上げていく。



「うっ、い、……言えん!」

「では、知ってはいるのですね?」

「……」

「別にどちらでも良いのですよ?」

「……知っている」

「では、連れていきましょうか。」



 暴れられても困るので、シールド内の酸素濃度を一瞬だけ下げて気を失わせる。そのまま気配を消してボスを連れて、ユノの所まで戻る。



「コイツで間違いない?」

「うぉっ! いきなり現れんなよ! ……おい、ボス捕まえてきたのか?」

「うん、何やら知ってそうだし」

「まあ、ボスが知らない筈ないもんな」

「ちょっと出すから、コイツ縛ってくれる?」

 

 

 そう言ってシールドを解除し、アイテムBOXから縄を出してユノに渡すと、手早く縛り上げてくれた。



「じゃあ、壊滅させちゃうね〜」

「は?」

「え? ダメ?」

「い、いや、別に良いけど……どうやって?」

「燃やしちゃう? 的な?」

「いや、いいよ。好きにやって」



 了承も得られたので、集中する。

 建物全体を魔力で包み、温度を上げる。高温に。1000°くらい?


 終わった後には地下に続く階段が丸見えの更地があった。



 よしっ!

 ざまぁみろ〜。



 やったっ! と思ってユノを振り返れば、目を見開いて固まってた。

 

 

「やり過ぎじゃね?」

「え〜そんな事ないよ。八つ当たりだもん。必要必要。じゃあ、私はもう帰るけど、ユノはどうする?」

「え?」

「いや、もう自由でしょ? 好きな事したら良いんじゃない?」



 そう言うとユノは考え出した。

 おや、考えてなかったのかな?



「取り敢えずこの街から移動しよ。その内人も集まってくるだろうし」

「そうだな」



 ボスを連れて街を出て近くの森に移動する。

 そこでボスを革袋に入れて、 黒龍(アーロン)に掴まえさせて移動する。シールドは1個しか出せない。上空は寒いのでそのままだと流石に死んじゃうかなと思って。

 

 夜まで移動して、森で野営する。ボス連れだから宿には泊まれないしね。

 ご飯はアイテムBOXから出して食べる。ボスにもちゃんとあげましたよ。もう反抗する気配はないようだし。 黒龍(アーロン)のフライトがかなり効いたみたい。

 

 

「ユノ、どうする? このままイリアムラルに戻っても良い?」

「ああ、頼むよ」



 浄化をかけて寝る。

 明日には戻れるだろう。


 さて、どうするかなぁ。




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ