表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/68

33.第二ラウンド


 さてさて、やって来ましたバルバラ様とのお茶会。朝からセリアに頼んで気合を入れて磨いてもらった。ドレスは落ち着いた淡いグリーンのAラインのもの。あまり拘りもないのでセリアのオススメを着ている。ゴテゴテしてなければどれでもOKな私を、残念そうに見るのは止めていただきたい。仮にもお嬢様ですよ?

  


 王城の奥、離宮と呼ばれる所にバルバラ様のお住まいがある。王妃のリゼット様は王宮に住んでいるので、差別って言えば差別だが、自分の勢力で固めているから良いんじゃなかろうか。でも考えてみると可哀想な人かもしれない。政略結婚だし、正妃じゃないし、好きな人には振られたし。だからと言ってしていい事と悪い事があると思うけど。

 

 その離宮を通り抜けてお庭に案内されると、立派なお茶会のセットが置いてあった。


 ん? 椅子が二脚しかない。

 マンツーですか!?


 暫くするとバルバラ様がお見えになり、立ち上がり礼をして迎える。



「ようこそ、ルティカ嬢。どうぞお座りになって」

「本日はお招き頂き有難うございます。バルバラ様にはご機嫌宜しく」

「……まあ今日はゆっくりお話をしましょう」

「はい、有り難うございます」



 そう言って出された紅茶を鑑定してみても、何も入っていなかった。用意されたお菓子も同じ。

 何かしてくると思ったけど、当てが外れたかな?



「もうすぐ結婚式ですわね。どうですか?」

「はい、母が張り切っていますし、ラインハルト様も色々としてくれてますので、私は何もする事がないのです」

「そうなのです……公爵夫人になるのにそんな事で大丈夫ですの?」

「そうですよね……ラインハルト様は何もしなくても良いと仰ってくれてますが、そんな訳にはいきません。私なりに頑張りたいと思っております」

「婚約はエクセライク公爵からと聞きましたが、本当ですの?」

「はい、私も不相応だと申し上げたのですが、ラインハルト様がどうしてもと仰るので……」

「まあ、一体どうしてそんな事になったのでしょう?」

「さぁ、私にもさっぱり分かりませんわ」



 そんな感じで当たり障りなく、会話を続けた。



「ああ、お茶がなくなりましたね。そう言えば珍しいお茶を手に入れましたの。如何ですか?」

「はい、態々有り難うございます。是非」



 次は茶器も変えられて、出されたお茶は確かに変わった香りがした。

 ふむふむ、と鑑定してみれば、即死クラスの毒が入っていた。


 おぉっ! 殺す気満々じゃん。


 目を伏せる感じで瞑り、辺りを偵察してみると、斜め後ろにいる侍女の顔色が悪い。よく見ればガッタガタ震えている。


 あーこれは、アレだ。


 全部彼女に押し付けて終了ってヤツ。


 確かに即死クラスだから離宮で死ぬ訳で、当然責任を問われる。犯人を捜して、断罪して終わりって事ですね。しかもあの様子から無理矢理っぽい。まあ、侯爵令嬢に毒を盛ってタダで済む訳ないから、そこの所も含めて脅してんだろうなー。



 あーどうするかな〜。



 無毒化して飲んでも、入れてないって事で彼女は後で問われるだろうし、私のスキルを知られるのもちょっとな〜。

 かと言って飲んだら死ぬし。まだ即死クラスの毒は治療出来ないし。うーん。




 ん、面倒になって来た。



「どうされました?」



 にこやかに聞いてくるバルバラ様に向かって微笑み返す。

 徐ろにソーサーとカップを持って立ち上がる。

 周りのお付きの人々が騒めく。


 そのままてくてくと歩いて、お庭の土にじゃーっと流す。

 優雅に戻って座り、ソーサーとカップを置いてにっこり。



「申し訳ありません。手が滑って溢してしまいましたわ」

「……手が滑った?」

「はい、どうも緊張してるようですね。恥ずかしいですわ」

「そ……そう。そんな風には見えませんが?」

「いえいえ、そんな事はないですよ」



 バルバラ様がちょっと顔を引き攣らせてますね?

 おかしいなー?

 机もドレスも汚れなかったから良いじゃん。

 木漏れ日溢れる暖かいお庭なのに、氷点下の風が吹いているけど気にしない!


 もう少しスマートに出されたなら関係者だと思えるけど、あんなに怯えてちゃね〜? あれじゃあバルバラ様が関与した証拠なんて取れそうにないし。知らぬ存ぜぬで通されて終わりでしょ。だったらもう用はないから帰りたい。



「これ以上粗相をする訳には参りませんので、そろそろお暇させていただきますね」

「……そ、そう? では、また」



 帰りに離宮を通る際に宮内の地図をマッピングしておく。




 うーん、どうやったらバルバラ様がやったと言う証拠って分かるかな? バルバラ様をストーキングすれば分かりそうだけど、残念ながらそんな時間はない。

 そもそも証拠って? 誰かの証言くらいじゃ駄目だろう。それにもしかしたらバルバラ様は本当は何もしてないかもしれないし……。

  



 そんな事を考えながら帰ると、ラインハルト様から花が贈られていた。

 婚約した際に何か欲しいものはないかと問われ、寝室に飾る小さな花束が欲しいとお願いしたのだ。元々ドレスや宝石などに興味はなく(アイテムで出る宝石とかは別)、最初は別に何もいらないと答えたら、微かにションボリした気配がしたから。

 それ以来3日と開けずに小さな花束が届くようになった。主張し過ぎない控え目な花達。その香りに癒されている。優しい香り。




 

 元々今世で結婚するつもりはなかった。

 冒険者なんていくら安全に行動しても、いつ死ぬか分からないリスキーな職業だ。


 自分が死ぬのは構わない。覚悟の上だ。でも愛する人を残して死ぬのは、もうしたくなかった。 

 

 前世で私は旦那に愛されていた。激しくはなかったがお互いを大切にしていたのだ。

 彼より先に死んでしまった事が一番悔やまれる。


 ……あの人は、ちゃんと生きていてくれているだろうか? 


 

 死んでから色々後悔した。もっとしておけば良かったと思う事があった。

 だからこそ今世では、悔いなく生きたいと思った。


 


 フェリシア様とお会いして、私なら助けられると思った。ラインハルト様も。助ける事が出来るんだから助けたいと思った。


 それにラインハルト様に言った事に嘘はない。ラインハルト様に会わなければ結婚するつもりなどなかったから。ある意味運命だと思っている。



 ……でも……自惚れてたんだろうなぁ。レベルが上がって強くなった、チートがあるからと。

 

 ささっと証拠を突き付けて、結婚までに問題を解決するつもりだったのに。

 はぁ〜上手くいかないな……。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ