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28.婚約パーティ



 公爵家の婚約だけあって、盛大なパーティ。何と王城でするそうな。聞いてないよー。

 なんでも中々決まらなかった事や以前の憂いを晴らすために、王太子が推したらしい。余計な事スンナ。勿論王太子も来るそうだ。バルバラ様は来るのかな?

 まあその場で何かしてくる事はないと思うけど。来てくれたら目視出来るからいいかなー。


 目視大事。一度見れば平面マップに記載されるから今後都合が良いのだ。



 

 またしても朝から磨きに磨かれ、すでにクタクタです。未だに人様に体を洗われるのには慣れません。セリア達が頑張ってくれて、普段の3割増しで美人度がアップしております。(※当社比)

 ラインハルト様からのアクセサリーを着けて、さらに私の手には美しい青い羽根の扇が。



 じゃ〜ん!

 なんとコレ、スワロウの羽を1000枚集めて合成した『スワロウの飛翔』と呼ばれる扇なのだ!

 頑張ったよー。拾いまくったぜ。

 このコは魔力を流せば、気配を消せるという優れモノ。さらにスワロウの美しさを凝縮したような扇。装飾品としても十分に価値のある一品。私の瞳の色とも似てるので、きっと似合うハズ!


 スワロウのアイテムは認識阻害の物なんだけど、その力が強くなればなる程、そのもの自体の存在感が増すのは何でなんだろう? 普通逆でしょうよ。

 (指輪<ネックレス<扇)



「ルティカ様、エクセライク公爵がお見えになりました」



 そうセバスに伝えられ向かうと、遠目から見てもキラキラしいラインハルト様がいらっしゃった。

 おかしいなー。なんでエフェクトがかかったように見えるかな?

 

 よく見なければ青と分からない程濃い色に、金糸の豪華な刺繍の入った正装をしたラインハルト様は今日も美しい。その動きも優雅でまさに王子様。流石、王族に連なる人だなぁ。


 私よりも確実に綺麗。こんな人の隣に並ぶの!?

 くっ……思っていたよりしんどいかも。



「お迎えに上がりました、ルティカ嬢。ああ、よくお似合いです。その美しい瞳に吸い込まれそうですね。今宵あなたの隣に立てる事を光栄に思います」



 流れるように手を取られ、指先にキスを落とす。

 似合います。やる事全てが自然で絵になります。



「有難うございます。でもラインハルト様の方が素敵ですわ」

「ふふ、そんな事ありませんよ。では参りましょうか」



 そのままエスコートされて、公爵家の豪華な馬車で王城へ。

 パーティ会場の控え室で待機するが、豪華すぎるお部屋。ここって王族が使う所じゃ……ぶるぶる。


 エスコートされて入場すれば当然視線が集まる。痛い。視線が痛い。嫉妬、羨望、値踏み、様々な視線を感じますね。社交界、恐ろしや〜。

 

 婚約を発表すると、次々と挨拶に訪れる。マップが充実します。うふふ。

 一通り挨拶が終われば、次はダンス。2回連続踊る。


 ラインハルト様はダンスも上手い。そつがないなー。

 安定したリードでとても踊りやすい。練習して良かった。ラインハルト様に恥をかかせずに済んだわ。

 

 

 踊り終わるとラインハルト様が他の方に呼ばれて行ったので、一息入れるために飲み物を頼もうとすると、近づいて来る三人の令嬢達。

 公爵令嬢のクラリッサ・フォン・マイズナー、侯爵令嬢オノリーヌ・ユイ・プラデルタ、伯爵令嬢カロリーナ・ライ・モンテンセン。

 この三人はラインハルト様にご執心。絡んでくるとは思っていたけど、いきなりですね〜。



「ご婚約おめでとうございます。初めまして、クラリッサ・フォン・マイズナーですわ」

「有難うございます。ルティカ・ユイ・サーバンドです」

「ルティカ嬢、今までお見かけした事もなかったのに、いきなりご婚約だなんて。一体どうやってラインハルト様を誑かしたのかしら?」



 おや、思ったより直接的。



「誑かしたなんて、そんな事致しませんわ。ラインハルト様がどうしても、と仰るのでお受けしたまでです」

「まあっ! ラインハルト様に限って、そんな事ある筈ありませんわ。貴女が何かしたに決まってます!」

「そう、仰っても……。ラインハルト様に聞いていただければ分かりますわ」

「そ、そんな事聞ける訳ないでしょう! とにかく私は認めませんからね」



 なんだか可愛いな〜。キャンキャン吠えてる室内犬みたい。

 にっこり笑って、



「クラリッサ様に認めて貰わなくても大丈夫ですわ」

「貴女……私が誰だか分かってるの?」

「勿論です、マイズナー公爵令嬢。でもあまり権力を振り翳されない方が宜しいかと」

「どういう意味よ?」

「半年後には婚姻の予定です。そうなれば私は公爵夫人ですわね」

「そ……それは……。でもなれるとは限りませんわ! 私の方がラインハルト様に相応しいですもの!」

「そう仰いましても……今更遅いのでは?」

「煩いわね! 貴女なんてっ!!」



 いきなり手にしていたワインを私にぶっ掛けた。



 が、素早くアイテムBOXからワイングラスを取り出し、掛けられたワインが掛かる前に、然りげ無く風で集めてワイングラスに戻す。この間約1.5秒。

 


「落とされましたわ。はいどうぞ、床にはついておりませんので大丈夫ですよ」



 そう言ってワイングラスを取り替えれば、唖然とされた。



「あ……な……貴女、今何を……?」

「落とされたので拾った迄ですわ。ご注意くださいね」



 にっこり微笑めば、恐ろしいモノを見るような目で見つめ、怯えながら取り巻きを連れて去って行った。

 失礼ねー。

 こんな事もあろうかと一生懸命練習したのに。


 ワイン掛けは定番だろうと思って、セリアに頼んで水を掛けてもらい、避ける練習をしてたのだ。呆れられたけど。

 それはすぐに避けれたので、ただ避けるだけじゃつまらないと思い、こう、ババッと拾ってコップに戻すってのをやってみたかったのだ。でも流石に無理だった。アレは時間を止めねば難しいね。仕方なく魔法で集めて戻す事にした。バレないような速度にするのにかなり練習したのにー。



 

 彼女達を見送っていたら、後ろから押し殺した笑いが。

 誰よっ!? と振り向いたら、ステファン先生だった。



「先生! 来てくれてたのですか?」

「くくく……勿論だよ。ご婚約おめでとう、ルティカ嬢。相変わらず無茶苦茶だね」


 

 ステファン先生はあれから研究を続け、今では所長になっている。



「そんな事ありません。普通ですよ?」

「アレが普通で出来る訳ないでしょう? 全く、自重してください」

「むー、見えてたんですね」

「まあ、私以外に見えるかどうかは分かりませんが」

「なら、大丈夫です!」

「ふふ、相変わらずですね。それにしてもルティカ嬢が婚約するとは思いませんでした」

「それは、どういう意味ですか?」



 ちょっと睨めば、



「いえ、貴族になりたくないと言ってましたからね」

「それは……色々とありまして」

「そうですか。でも貴女も納得されているのでしょう?」

「勿論です」

「なら、良かったです。随分と“イケメン”を捕まえたのですね」

「ふふ、私“面食い”なので」


 

 ステファン先生とはこうやって前世の言葉でのやり取りも出来る。久し振りに気心の知れた先生と話していると、楽しくてつい話し込んでしまう。



「ルティカ、ここに居たのか? 探しましたよ」

「ラインハルト様、申し訳ありません。喉が渇いたのでこちらに来てしまいました」

「そうですか、……こちらは?」

「はい、私に魔法を教えてくださっていたステファン先生です」

「初めまして、ラインハルト・フォン・エクセライクです」

「ステファン・ユイ・ロイジェネクです。この度はご婚約おめでとうござます」

「有難うございます。ロイジェネク卿と言えば魔法研究所所長の?」

「はい、僭越ながら」

「その様な方にルティカは習っていたのですね。強い筈です」

「いえいえ、教えていたと言うよりは教わっていたと言ったほうが正しいかと」

「先生! 変な事言わないでください」

「はは、それなら黙っておこうか」

「ルティカ、そろそろフェリクス殿下がお見えになる頃だ」

「そうですか、それでは私はこれで。ではまた」

「はい、また連絡しますね」



 ステファン先生と別れて、ラインハルト様に腰を抱き寄せられてエスコートされる。近いですね。ちょっと歩き難いです。



 案内が告げられ、入り口から王太子のフェリクス殿下、王太子妃のアルセナ様、バルバラ様が入ってこられた。

 皆頭を下げて礼を尽くす。



「ラインハルト、婚約おめでとう。今宵は噂の美しい婚約者を見に来ただけだ。皆も楽にしてくれ」



 そう告げられて、皆頭を上げ通常に戻る。


 フェリクス様は金髪に王族の印のアメジストの瞳を持った美丈夫。王族だけあって、威厳がある。アルセナ様はクロッカスの髪に琥珀色の瞳でとても優しそうだ。お二人は仲が良いとの事。

 バルバラ様はブラウンの髪にブラウンの瞳できつい感じの美人だ。そしてもちろん目線がキツイ。流石に睨んではいないが、目が笑ってないねー。しっかりと見定められたカンジ。



 ふふ、受けて立ちますよー。




 


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