24.反省しました
ギルと別れてから私は周回に励んだ。取り敢えずの目標は30階のレアアイテム。虫入り琥珀はこの世界でも貴重とされていて、お母様のお土産に丁度良いと思ったから。
出なかったらワープで入口まで戻ってまた30階まで行く。当然途中のモンスターは殲滅していく。
自分がチートなのは十分理解しているので、他の冒険者達と出会わないようにした。どうしても避け切れない場合にはお猫様を召喚している。一人で危ないと心配してくれる人が殆どだが、大丈夫だとすぐ通り過ぎてやり過ごす。
18回目に琥珀が出たので、それからはそのまま50階コース。
31階からはやはりキツイのかあまり人が居ないので、さくさく進める。最初は一周5時間位かかっていたが、その内3時間位で回れるようになった。他人が多いと逆に時間がかかってしまうが。
朝、お店でご飯を買って午前中に1回。ご飯を食べて午後から2回周るローテーション。そんな事を1ヶ月繰り返して、漸く全部のレアアイテムが2個以上出た。ギガンテスの1個目は早かったのに、2個目が中々出なくて。ドロップ率悪いぞー。
保存用に1個は取っておく。残りは使ったり、合成したりするかなー。
コレクターに2個獲得は必須です!
因みに琥珀は4個出た。ほくほく。
◇◇◇
一区切り付いたので久し振りにギルドに行く。
「こんにちは〜」
「あっ! ルカちゃん、大丈夫だった!?」
「何かあったんですか?」
「ルカちゃんダンジョンに行くって言ってたでしょ? 行ったの? どうだった?」
「えっと……特に何も無かったと思いますが……」
「そう? 最近ダンジョンが妙だと報告があったのよ」
「えっ?」
「何でもモンスターが出ないんだって。ルカちゃんの時は出た?」
!!
アレ? 何やら冷や汗が出てきましたが。
「……」
「……ルカちゃん?」
「はい、えっと……そう言えば少ない様な気が……」
「やっぱり? 一体どうしたのかしら? 今までこんな事なかったのに」
「ソウデスネ……何かあったのかもしれませんね」
「まあ、取り敢えず気を付けてね」
「ハイ、有難うございます」
マップ上に見えるモンスターを片っ端から片付けてたのは私です。
ごめんなさい。
……お父様も心配してるだろうし、お家帰りまーす!
◇◇◇
お土産の琥珀は大変喜ばれました。良かった。怒られたらどうしようかと思ってたんだよね〜。だって一番大きな物は30cmくらいで、中には虫型モンスターが入ってたんだもん。……価値はあるらしいが、私は要らん!!
お家に帰ってじっくり合成リストを見て気付いた事が一つ。
今回の周回でゴブリン系の魔石がたんまり取れたから、合成してみたんだ。
『ゴブリンの魔石×500 =ゴブリンクイーンの涙』
綺麗な赤い宝石っぽいのが出来た。
で、これを合成出来るかやってみたら……
『ゴブリンクイーンの涙(3) × 100 +
マージクイーンの悲哀(1) × 50 +
ジェネラルクイーンの哀愁(0) × 30 +
ゴブリンキングの悲歎(0) × 10 = ゴブリンクラウン』
ゴブリンクラウン。おそらくはソレらの宝石が付いた冠。
鑑定してみれば、『冠ると全てのゴブリンを従わせる事が出来る』とな。
これって、作っちゃダメなヤツじゃない?
ゴブリンが沢山居てもそれ程脅威でないのは、統率が取れていないから。ジェネラルやキングが居ると、それなりに纏まるが所詮は魔獣。たかが知れている。
でもこれを人間がするとなると話が変わる。死んでも文句も言わない兵士を使いたい放題じゃないか。
ま……まあ、まだ全然出来る気配はないから大丈夫でしょー。
……作れたとしても世に出さなきゃ良いんだし。うん。
◇◇◇
二年経ち、17歳になった私はクエストをあまり受けていないのにランクはBへ。レベルは97になってた。因みにカンストが99なのか999なのか、ドキドキしている。
さて、ザザビークで反省した私は、ダンジョン周回は1日1回にしたり、魔獣も奥の方で狩ったりと、極力目立たないように気を付けながら、採取を続けていた。
その日もスワロウの羽を拾ったり、ウォーウルフを探したりしていた。
ふとマップの端に交戦中の人達を発見した。どうやら魔獣に囲まれている様子だ。でもそこは街道でいつもはそんな数の魔獣が居る筈のない場所。しかも探しているウォーウルフ。
急いで駆け付けてみると、馬車を囲んで抗戦している護衛騎士の一行が居た。
騎士達は弱くはないが、多勢に無勢。そろそろヤバそうなカンジ。一瞬悩んだが、魔法で切り抜ければ大丈夫だろう。フードを被り、街道に走り出す。
「下がって、馬車を守れっ!! 『ウィンドカッター』」
次々に繰り出される風の刃で倒れていく魔獣達。
あっという間に殲滅し、マップ上でも近くに何も居ないのを確認してから馬車を見る。護衛達も多少怪我はしているが、大丈夫そうだ。
ウォーウルフは惜しいが、さっさと離れよう。
「お待ちください!」
呼び止められ、つい振り返ってしまった。
それが私の運命を変えるとも知らず。




