12.冒険者になろう
カイト先生が言うには、冒険者は体が基本。という事でまずは体力作りから。
魔力は多くても、今世の私は一応侯爵令嬢。ダンス位しか運動させて貰えてない。広いお庭を走るだけで、息が上がる。走って、筋トレ。これ基本。しばらくはずっとこれ。それに自分からストレッチも加えたので、毎日ひーひーです。
でもやればやっただけ、自分の数値が上がる。目に見えて結果が出るのは嬉しいし、やり甲斐がある。
座学では、採取の薬草の種類、魔獣の種類、分布図、武器の種類等、様々な事を教わった。
しばらくすると体力もついてきて、ついでに馬の乗り方も教えて貰う。ずっと乗りたかったのだけど、お父様に反対されていた。大きくなったのと、体力がついたのでようやく許可が下りた。やったね。乗れる様になったら遠乗りもしてみたい。
◇
体力がついたのを見計らって、護衛術を習う。
素手で、相手に対処する方法。相手が武器を持っている場合の対処。捕まった時の対処。縄抜け等。基本魔法を使わずに対処する。
魔法の使えない場所(王城とか)や魔法を使えなくする道具もあるためだ。でも『鍵開け』は、教えても大丈夫なのでしょうか? え? 内緒で? ……はい、ワカリマシタ……必要な時がない事を祈ります。
続いて、武器の扱い方。一流とまではいかなくとも、使い方を知っているのと知らないのとでは全く違う。いざという時に困らないために大事な事だ。
それにしてもカイト先生は何でもスマートにこなす。普通にカッコイイ。年は21でいわゆる細マッチョ。お顔も良いし女性にモテそうだ。彼女は居ないのか聞いてみたら、特定の人は居ないとの事。へー。特定じゃない方々は居るんですね。
◇
カイト先生は火属性の魔法を使えるそうなので、見せて貰う。中々に強力な魔力だ。攻撃力は強いけど、森とかでは使い勝手が悪いらしい。燃えちゃうもんね。でも野営では便利だそうだ。
見せて貰えば、イメージが固まり、使える。便利。カイト先生にもズルイって言われたけど。
◇◇◇
一年も経てば体力もつき、それなりに動ける様になった。そうなって漸く実施訓練が始まった。
カイト先生にくっ付いて冒険者ギルドに行く。中に入ると受付カウンターが幾つかあり、その横には素材の引取り場所や掲示板があり、奥には食事が出来る所が併設されている。思っていたよりも綺麗で清潔感もある。
ほほぅ、階段があって、その上がおそらくギルマスの部屋とかあるんだろうな〜。まさにイメージ通り。ニヤニヤしてしまう。
登録は12歳からなので、登録の仕方、依頼の受け方、ランクの上がり方、等を教えて貰う。どうやらこうやって貴族の子供が冒険者として習いに来るのはよくある事らしく、皆さん微笑ましそうに見てた。それでも令嬢が来ることは珍しく、視線を感じる。
そうこうしていると大きな剣を背負った背が高く、ガッシリとした人が近付いて来た。
「おい、カイト。可愛い嬢ちゃん連れてどうした? 珍しいなぁ」
「ああ、ギリアム久しぶりだな。今依頼されて指導しているお嬢様だよ。ルカ、彼はギリアム、怖い顔してるけど、中々良い奴だ。でも酔っ払うと面倒くさいから、酔ってる時には近付かないように」
「おいっ! あんまりな紹介だな! まあ、いい。お嬢ちゃん、冒険者になるのかい? 俺はギリアム、剣士だ。よろしくな」
「はじめまして、ルカです。こちらこそよろしくお願いします」
そう言ってにっこり笑えば、ギリアムさんもニカっと笑って答えてくれた。
ラノベでの冒険者と言えば荒くれ者のイメージがあったが、この世界ではそうでもないようだ。ちょっと安心。もちろん例外はあるだろうけど。
◇
カイト先生に連れられて、近くの森に薬草の採取に来た。薬草や、満月草などは常時募集されているが、根こそぎ採る事は禁止されている。そういった草は一塊りになって生えているので、その内の1〜2本は残しておくのが決まりだそうだ。全滅したら困るもんね。
さてこの頃になると偵察スキルのレベルが6になり、3次元で50m、2次元で100mの範囲で周囲が分かるようになってた。
3次元で見るには目を瞑り集中しなければ見えないが、2次元はゲーム画面に出てくるマップのようなものが実際にも見えるのだ。視界の左下にうっすらと。集中すれば大きくなって見える。これは半透明なので視界もクリアだ。ここで薬草を検索すると生えている場所が分かる。ただし実際に見たものしか検索出来ないみたい。
さくさく見付けて採取している私を見て、カイト先生が疑問に思ったらしい。
「どうして生えている場所が分かるんだ?」
「偵察スキルで見えるんです」
「はぁっ?! 何ソレ? 聞いた事ないけど?」
どうやら偵察スキルを常時使えるのは普通じゃないそうだ。その時々に使用しないと使えない。しかも時間が限られている。だからレベルの上がりが遅い。
てことは2次元を見れるようになったのはレベル6からなので、それを知っている人は少ないだろうとの事。
おぅ、これも気を付けないといけないね……。




