63
ヴィッキーとウィルフレッドが、オークを全滅させました。
しかし、またすぐに新たなオークがやって来そうです。しかも、今度は3〜40匹はいそうで、これはちょっとした群れですね。
最初に見たのは1匹のオークで、恐らく斥候なのかな、と思っていて、次に10匹くらいがやって来て、最後に(か、どうかはまだわからないけれど)40匹弱の群れですか……。
戦力の逐次投入はイカンですね……というのを、豚頭の魔物に言っても意味なかったです、はい。
弓矢を〈道具〉から取り出して、構えます。
さすがにこれだけで全滅はさせられませんが、ここに連中が辿り着くまでに、数匹のオークを倒せるでしょう。
あ、忘れないうちに……と。
──『マギマテリアライズアームズ』──
ヴィッキーの剣を用意しましょう。
それなりに魔力を込めたので、オークの群れを全滅させるまでは保つはずです。
途中で魔法が解除されて剣が使えなくなったら……なんとか頑張ってくださいね。
「えー?」
【魔術剣】を濫用して、自分の剣を折ってしまったのだから、自分の責任でしょう?
少しくらい、我慢しましょう。
「はぁい……」
「予備の剣を用意しておかないからよぉ……」
「だって……こんなにオークがいるとは思わなかったんです……」
「ナイフとかはあります?」
「ある……」
「じゃあ、それでなんとかしてください。
なるべく早く魔法を使って、剣を渡しますから」
「ぴゅっ!」
任せて! と落ち込むヴィッキーに、マシロが励ますように鳴きました。
本当にいい子ですね、マシロは。
……と、そうこうしているうちに、オークたちが弓の射程に近付いてきました。
ジリジリと警戒するようにゆっくり来てますが、矢を射られたら、走って来るでしょう。
それまでに如何にオークの数を減らせるかが、キーですね。
では、参りましょう!
ギリギリと弓を引いて、矢を放つ。
ギリギリと弓を引いて、矢を放つ。
これを何度か繰り返します。
遠距離攻撃手段のないオークは、殺られないために走ってこちらに近付くしかありません。
そのため、前方にいるオークが射殺されると、その後ろを走るオークは、走っている最中に崩れ落ちて転がる死体に足を取られ、転倒してしまいます。
さらにその後ろを走るオークに踏まれ大怪我をする、という連鎖が起こっています。
ただ、それでも無視して仲間を踏み台にして突撃してくるオークには、恐怖を覚えますね。
パニック映画にこんなワンシーンがあったかも。
──『ディグ』──
地面に穴を掘る魔法で、走るオークの前に落とし穴を仕掛けましたが……失敗しました。
雪原にいたのを忘れてました。
ただ、積もっていた雪が除かれただけで、オークの走る速度は僅かに落ちましたが、足を取られて転ぶまではいきませんでした。
……うん、家の前の除雪には使えますね、覚えておきましょう。
なんてことをやっていると、いよいよオークが目前にやってきました。
すぐにウィルフレッドと交戦します。
「────!」
金砕棒で盾をガンガンと叩いて、オークの目を引き付けるウィルフレッド。
そのウィルフレッドにオークが攻撃を仕掛け、大盾で攻撃を受けている隙に、ヴィッキーが脇から反撃。
動きの止まったオークを、ウィルフレッドが金砕棒で止めを刺しました。
……何気に連携できていますね。
このコンビは安定しているみたいなので、任せましょう。
さて。
見てないで、僕も参戦します。
鉄の鉈を取り出して、軽く素振りしました。
実は、そのまま、弓矢で戦っても良いのです。
昔の古いSRPGには、近距離から矢を放って敵を殺せることも可能という弓矢最強説がありましたが、僕もそれが可能だからです。
やり方は簡単。
敵の攻撃を避けます→構えた弓で矢を放ちます→当てます
以上です。
まぁ、言うは易し、行うは難し、ではありますが、なんかできちゃったので、エルフってスゴいですよね。
というわけなのですが、1つの武器だけを使っていても、いざというときに困るかとも思うので、今回は、鉈で戦ってみましょう。
最初は、取り回しやすそうなショートソードを使っていたのですが、剣術未経験者(学校での剣道経験しかない。それだって、体育の授業でやった程度)なので、いまいち扱いに慣れませんでした。
そこで、重量のある鉈なら、適当に振り回しても、それなりに威力があるのでは? と考えて、実行してみました。
すると、意外や意外、思ったよりも使いやすく、しかも、気付いたらスキルに【斧術】が生えていたのです。
何故か【斧術】があったことに驚き、次に、鉈って斧の一種だったのかと、また驚きました。
そのすぐあとに、そういえば、この身体の元の持ち主のイー君は、住んでいた森で木こりをしていた、という話だったなと、思い出しました。
【斧術】のスキルが生えてきても、おかしくないかもですね。
そんなわけで、僕のサブウェポンは、鉈になりました。
今回は、コイツでオークの相手をしましょう。
ウィルフレッドに攻撃するべく、棍棒を振り上げているオークの背後に回り、膝裏に鉈を叩きつけました。
その鉈の重量を利用して、遠心力と共に力一杯振り下ろします。
さすがに切断はできませんが、しかし、オークの膝は砕けました。
しかし、それに意に介さず、オークは横凪ぎに棍棒を振るうのを、僕は前腕に固定してあるミスリルの小盾で受け流します。
そして、オークの脇腹を押し出すように蹴り、僕はその勢いを利用してバックジャンプ。
オークはバランスを崩したところを、ウィルフレッドの金砕棒によって頭をミンチにされました。
──『スタン』──
──『スリープミスト』──
──『バインド』──
僕はそれを横目で見てから、状態異常魔法、阻害魔法をばらまきながら、動けなくなっているオークへと向かいます。
うん。
シアがちょっと心配だけど、ヴィッキーがいるから大丈夫そうです。
でも……シアにも自衛できる手段を持ってもらいたいですね。
僕かヴィッキー(今はいないけど、ルナも)がいつも側にいられるとも限らないわけだし。
かといって、1人で街に残るのは、シアが嫌がるし。
ふむ?
何か考えた方が良さそうですね。
そんなことを考えながら、僕はオークを倒していったのでした。
名前 :シータ
種族 :ハイエルフ
年齢 :21
レベル:17(+1)
クラス:冒険者LV.13(+1) 操蛇者LV.11(+1)
生命力:525(240+10)【+25】【+250】
魔力 :0
精神 :58(27+1)【+2】【+28】
敏捷 :84(38+2)【+4】【+40】
幸運 :39(18+1)【+1】【+19】
攻撃力:46(21+1)【+2】【+22】
防御力:46(21+1)【+2】【+22】
スキル:自動治癒
身体強化
劣悪環境耐性
全ダメージ軽減
全状態異常耐性
必中
投擲
弓術
斧術
称号 :フォレストドラゴンの祝福
装備 :鉄の弓 鉄の鉈 鉄の大剣 鉄のナイフ
ミスリルの小盾
鋼鉄の全身鎧
ミスリルの鎖帷子
フード付きの外套
レベルアップです!
オークといえど、あれだけ倒せば、レベルも上がるようです。
ちょっと時間がかかりましたが、上々の戦果ですね。
その時間に関しては……今後の課題となります。
やはり、広範囲に攻撃できる手段が欲しいです。
戦いを続ければ疲労が溜まり、思いもよらないミスをしてしまう可能性が高くなります。
そうなってしまって、怪我でもしたら、悔やまれます。
いや、怪我で済んだらマシな方で。
死んでしまうこともあり得るのだから、戦闘時間の短縮は、早めになんとかした方が良いですね。
うーん……?
シアが手榴弾でも作れないかな?
それなら、後方から投げてもらうだけで、かなり違うのですけども。
そんなことを考えつつ、オークの死骸を回収して、僕たちは帰路に就くのでした。




