28
名前 :シータ
種族 :ハイエルフ
レベル:6(+1)
生命力:150(+10)
魔力 :0
精神 :18(+1)
敏捷 :20(+2)
幸運 :9(+1)
攻撃力:12(+1)
防御力:12(+1)
魔物を倒したら、レベルが上がりました。
そこにいたのは、大型犬くらいの大きさのウサギでした。
あまりの大きさに、よくわからないなファンタジー、と思って見ていたら、大ウサギが襲い掛かってきたので、ぶん殴って倒しました。
あまり強くなかったので、良かったです。
レベルアップでのボーナスポイントは、予定通り、敏捷値に振ります。
……ふふふ、鎧を纏っての超高速移動が実現する日が近付いてきてますね。
刮目すると良いです、絶対にビビりますからね。
「ぴゅー!」
マシロが身体を伸ばして死んだ大ウサギを食べました。
丸呑みです。
……相変わらず、豪快な食事方法ですが、まぁ、マシロが美味しそうに食べているので、良しとしましょう──いい加減に慣れました。
少し喉が渇いたので、水を飲みます。
本当にこの魔法というのは、ありがたいです。
これがなかったら、僕はアッサリと死んでいたんじゃないかな。
「ぴゅ?」
マシロが首を傾げながら、僕の顔を覗き込んできました。
僕は何でもない、と首を振って、マシロの頭を撫でます。
「ぴゅ〜……」
マシロは気持ち良さそうに目を細めました。
……僕は籠手をしているので、マシロのもふもふはわからないのですが。
そんなマシロの様子を眺めながら、僕は先程までの、ヴィッキーさんたちの話を思い出していました。
これから先、僕はどうしたら良いのかな?
ヴィッキーさんは、安定した生活を蹴って、冒険者という仕事をしています。
そして、強い覚悟を持って、これからもそれを続けていくようです。
それまで辛くて危険なこともあったろうし、これからもっと辛くて危険なこともあるだろう。
それでもなお続けていく、という意志が、彼女にはありました。
翻って、僕はどうだろう?
特に考えもなく、イヤガラセしてきたエルフたちを返り討ちにして、追い掛けられないように証拠隠滅の後に、逃亡しました。
この先も、何も考えていません。
現に、流されるようにヴィッキーさんとアナスタシアさんに付いていっています。
たぶん、何も行動を起こさなければ、このままヴィッキーさんの実家まで行くことになりそうです。
別にそれが嫌だと言うのではないですが、しかし、それで良いのかな? という漠然とした不安があるのです。
ただ、身元不明の僕が、街で普通の仕事ができるのか、というと、なかなかうまくはいかなそうですし……。
となると、身分証を得ることができる冒険者という仕事が最適なのかなぁ、とか思っていたのですが。
アナスタシアさんに、あれだけ不安になることを言われたら……。
まぁ、結局は、他に選択肢がないから、と流されるままに選ぶしか無さそうですけどね。
……これ以上は考えても、仕方なさそうです。
とりあえずは、厚かましいかと思いますけど、ヴィッキーさんに付いていきましょう。
それからのことは、そのあと考えます。
今は、一旦馬車まで戻って、魔物を倒したことを報告するとしましょう。
馬車が停まっている場所に戻ると、そこには護衛さんとヴィッキーさんが立って何やら話をしていました。
「おお! 戻ったか」
「はい。魔物は倒しました。これでまた今度進めます」
「お疲れさま、シータ」
ヴィッキーさんはそう言って、手に持っていたコップを渡してくれました。
中には、果実を絞ったジュースでしたので、お礼を言ってから、一口飲みました。
美味しかったので、マシロにも飲ませてあげます。
「ぴゅっー!」
どうやらは気に入ったようです。
全部飲もうとしますが、慌てて阻止します。
……せめて、半分ずつだ!
「それで、シータ。
叔母様……じゃなくて、お姉様と話したのだけど……」
僕とマシロの見苦しい攻防を見兼ねたヴィッキーさんは、僕の手からコップを奪い取り、マシロに飲ませながら言い出しました。
……ヒドイ。
「あたしは1度、家に戻ることにしたわ。
ついでに、お姉様の護衛の仕事も請けたから、シータも一緒に行きましょう」
「良いんですか?
アナスタシアさんにしてみたら、僕は身元不明の怪しい人物だと思うのですが……?」
「あたしが保証人になるから、問題ないわ。
それで、食事代や宿泊費などの必要経費と、無事に到着したら成功報酬が支払われる。
これで良い?」
もちろん、願ってもないです。
ありがとうございます。
……でも、本当に良いんですかね。
「良いのよ。
何て言ったって、あたしのことがどうなっているのか、わからないから」
なんせ、貴族を殺してしまいましたからね。
森の中に埋めてきたので、そう簡単に発覚しないとは思いますけど、何か魔術的な方法とかで、見付からないとも限りません。
念には念を入れないと。
「だから、お姉様に会えたのは、本当に運が良い。
国境を超えるのをどうしようかと思っていたけど、護衛の振りをしていれば、まずバレないわ」
護衛の振りっていうか、実際に護衛するけどね、とヴィッキーさんは続けます。
「お姉様にしてみても、護衛が1人になってしまったから、それが簡単に補充できたのは、ラッキーなの。
お互いが得をしているのだから、何の問題もないわ!」
ふむ。
そういうことですか。
まぁ、僕もそのおこぼれに預かった、ということでラッキーと思っておきましょう。
その分、護衛の仕事をしっかりとこなしたい、と思います。
……経験は当然ありませんから、どうしたら良いのかサッパリわかりませんけどね!
「大丈夫よ。
街道を通るなら、そんなに魔物との遭遇もないし、この辺りは盗賊も少ないから」
……さっき、変なのに襲われていましたが、あれは例外なんでしょうかね?
まぁ、アナスタシアさんが話したくなさそうだったので、今ここで話題にすることはしませんけど。
「だから、シータは馬車の中にお姉様と一緒にいて。
あたしは、馬で並走するから」
……?
二頭立ての馬車なのに、そこから1頭を外しちゃって、大丈夫なのですか?
「そんなに速度を出さなければ、大丈夫」
そうですか。
でも、そこまでして、馬に乗る必要があるのですか?
「一応、何かあったときのためにね。
あたしは魔術が使えないから、アシがあるのとないのとじゃ、大違いなのよ。
だから、こうするしかないわ」
む。
それもそうか。
まぁ、馬車の中にいても、『マップ』があるから、魔物が近付いてきても、すぐにわかりますので、大丈夫ですかね。
では、護衛さん。
これからよろしくお願いします。
「ああ。頼りにしている」
「じゃあ、行くわよ!」
ヴィッキーさんの掛け声で、それぞれ動き出しました。
……僕は馬車に乗るだけですので、なんか申し訳ないですけど。




