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名前 :シータ

種族 :ハイエルフ

レベル:6(+1)


生命力:150(+10)

魔力 :0

精神 :18(+1)

敏捷 :20(+2)

幸運 :9(+1)

攻撃力:12(+1)

防御力:12(+1)




 魔物を倒したら、レベルが上がりました。

 そこにいたのは、大型犬くらいの大きさのウサギでした。


 あまりの大きさに、よくわからないなファンタジー、と思って見ていたら、大ウサギが襲い掛かってきたので、ぶん殴って倒しました。

 あまり強くなかったので、良かったです。


 レベルアップでのボーナスポイントは、予定通り、敏捷値に振ります。

 ……ふふふ、鎧を纏っての超高速移動が実現する日が近付いてきてますね。

 刮目すると良いです、絶対にビビりますからね。


「ぴゅー!」


 マシロが身体を伸ばして死んだ大ウサギを食べました。

 丸呑みです。

 ……相変わらず、豪快な食事方法ですが、まぁ、マシロが美味しそうに食べているので、良しとしましょう──いい加減に慣れました。


 少し喉が渇いたので、水を飲みます。

 本当にこの魔法というのは、ありがたいです。

 これがなかったら、僕はアッサリと死んでいたんじゃないかな。


「ぴゅ?」


 マシロが首を傾げながら、僕の顔を覗き込んできました。

 僕は何でもない、と首を振って、マシロの頭を撫でます。


「ぴゅ〜……」


 マシロは気持ち良さそうに目を細めました。

 ……僕は籠手をしているので、マシロのもふもふはわからないのですが。


 そんなマシロの様子を眺めながら、僕は先程までの、ヴィッキーさんたちの話を思い出していました。


 これから先、僕はどうしたら良いのかな?


 ヴィッキーさんは、安定した生活を蹴って、冒険者という仕事をしています。

 そして、強い覚悟を持って、これからもそれを続けていくようです。


 それまで辛くて危険なこともあったろうし、これからもっと辛くて危険なこともあるだろう。

 それでもなお続けていく、という意志が、彼女にはありました。


 翻って、僕はどうだろう?


 特に考えもなく、イヤガラセしてきたエルフたちを返り討ちにして、追い掛けられないように証拠隠滅の後に、逃亡しました。

 この先も、何も考えていません。

 現に、流されるようにヴィッキーさんとアナスタシアさんに付いていっています。

 たぶん、何も行動を起こさなければ、このままヴィッキーさんの実家まで行くことになりそうです。


 別にそれが嫌だと言うのではないですが、しかし、それで良いのかな? という漠然とした不安があるのです。


 ただ、身元不明の僕が、街で普通の仕事ができるのか、というと、なかなかうまくはいかなそうですし……。

 となると、身分証を得ることができる冒険者という仕事が最適なのかなぁ、とか思っていたのですが。


 アナスタシアさんに、あれだけ不安になることを言われたら……。


 まぁ、結局は、他に選択肢がないから、と流されるままに選ぶしか無さそうですけどね。


 ……これ以上は考えても、仕方なさそうです。

 とりあえずは、厚かましいかと思いますけど、ヴィッキーさんに付いていきましょう。

 それからのことは、そのあと考えます。


 今は、一旦馬車まで戻って、魔物を倒したことを報告するとしましょう。






 馬車が停まっている場所に戻ると、そこには護衛さんとヴィッキーさんが立って何やら話をしていました。


「おお! 戻ったか」


「はい。魔物は倒しました。これでまた今度進めます」


「お疲れさま、シータ」


 ヴィッキーさんはそう言って、手に持っていたコップを渡してくれました。

 中には、果実を絞ったジュースでしたので、お礼を言ってから、一口飲みました。

 美味しかったので、マシロにも飲ませてあげます。


「ぴゅっー!」


 どうやらは気に入ったようです。

 全部飲もうとしますが、慌てて阻止します。

 ……せめて、半分ずつだ!


「それで、シータ。

 叔母様……じゃなくて、お姉様と話したのだけど……」


 僕とマシロの見苦しい攻防を見兼ねたヴィッキーさんは、僕の手からコップを奪い取り、マシロに飲ませながら言い出しました。

 ……ヒドイ。


「あたしは1度、家に戻ることにしたわ。

 ついでに、お姉様の護衛の仕事も請けたから、シータも一緒に行きましょう」


「良いんですか?

 アナスタシアさんにしてみたら、僕は身元不明の怪しい人物だと思うのですが……?」


「あたしが保証人になるから、問題ないわ。

 それで、食事代や宿泊費などの必要経費と、無事に到着したら成功報酬が支払われる。

 これで良い?」


 もちろん、願ってもないです。

 ありがとうございます。

 ……でも、本当に良いんですかね。


「良いのよ。

 何て言ったって、あたしのことがどうなっているのか、わからないから」


 なんせ、貴族を殺してしまいましたからね。

 森の中に埋めてきたので、そう簡単に発覚しないとは思いますけど、何か魔術的な方法とかで、見付からないとも限りません。

 念には念を入れないと。


「だから、お姉様に会えたのは、本当に運が良い。

 国境を超えるのをどうしようかと思っていたけど、護衛の振りをしていれば、まずバレないわ」


 護衛の振りっていうか、実際に護衛するけどね、とヴィッキーさんは続けます。


「お姉様にしてみても、護衛が1人になってしまったから、それが簡単に補充できたのは、ラッキーなの。

 お互いが得をしているのだから、何の問題もないわ!」


 ふむ。

 そういうことですか。

 まぁ、僕もそのおこぼれに預かった、ということでラッキーと思っておきましょう。


 その分、護衛の仕事をしっかりとこなしたい、と思います。

 ……経験は当然ありませんから、どうしたら良いのかサッパリわかりませんけどね!


「大丈夫よ。

 街道を通るなら、そんなに魔物との遭遇もないし、この辺りは盗賊も少ないから」


 ……さっき、変なのに襲われていましたが、あれは例外なんでしょうかね?

 まぁ、アナスタシアさんが話したくなさそうだったので、今ここで話題にすることはしませんけど。


「だから、シータは馬車の中にお姉様と一緒にいて。

 あたしは、馬で並走するから」


 ……?

 二頭立ての馬車なのに、そこから1頭を外しちゃって、大丈夫なのですか?


「そんなに速度を出さなければ、大丈夫」


 そうですか。

 でも、そこまでして、馬に乗る必要があるのですか?


「一応、何かあったときのためにね。

 あたしは魔術が使えないから、アシがあるのとないのとじゃ、大違いなのよ。

 だから、こうするしかないわ」


 む。

 それもそうか。

 まぁ、馬車の中にいても、『マップ』があるから、魔物が近付いてきても、すぐにわかりますので、大丈夫ですかね。


 では、護衛さん。

 これからよろしくお願いします。


「ああ。頼りにしている」


「じゃあ、行くわよ!」


 ヴィッキーさんの掛け声で、それぞれ動き出しました。

 ……僕は馬車に乗るだけですので、なんか申し訳ないですけど。






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