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 あれから3日が経ち、ようやく森の中から抜けられました。

 薄暗いところから出たので、明るい太陽が眩しいです。


 森特有の湿ったような空気から解放された僕の身体は、暖かい陽の光によってジリジリと焼かれているようで、それがとても心地好い。

 ……日焼けするかもしれないので、程々にしましょう。


 ガチャガチャと脱いでいた全身鎧を改めて纏い、出発の準備をしていきます。

 鎧を纏っていても快適になるように魔法で工夫しましたけど、それでも四六時中、全身鎧姿でいるのはなかなか辛かったので、思わず鎧を脱いで身体を天日干ししてしまいました。

 気持ち良かったですけど、どうもエルフの肌は、太陽に弱いみたいです。

 僅かな時間でしたが、皮膚が赤くなっていました。

 なので、紫外線には気を付けたいと思います……。


「ぴゅ〜……」


 マシロが僕の身体を伝い、首に巻き付きました。

 神白蛇という種のマシロは、その名の通り、全身を真っ白なふわふわの毛で覆われています。

 そのせいで暑さに弱いみたいです。

 さっきから、かなりぐったりしてしまいました。

 ……この白い身体だし、マシロも皮膚は弱いかも。

 気にかけておきましょう。


 いや、気温的にはそこまで暑くないのですが、今まで暗い森にいたのもあり、太陽が直接当たるここは、ちょっと暑く感じられるのです。

 季節は、秋くらいでしょうか?

 これから、冬になって寒くなるかと思われます。


「さあ、行こう。

 もうあまり食糧もないし、早く次の町に行かないと、飢え死にしちゃうかも」


 そう言って、ヴィッキーさんは水を飲んでいたカップをアイテムポーチに仕舞い、立ち上がりました。

 背中にかかる長い赤毛を払い、綺麗な翡翠の瞳がじっと前方を見据えます。

 そうしていると、まるでこれから戦いに挑む戦乙女のようで、一幅の絵画の題材みたいでした。

 スタイル抜群ですし、こんな綺麗な人がいるなんて、やっぱりここが異世界なんだなぁ、とおかしな感想を持ってしまうほどです。


 ただ、本名であるヴィクトリアさんと呼ぶと、やたら恥ずかしがるのですが、それがまた可愛く、ついからかってしまいたくなります。

 そんな人間味も、彼女の魅力ですね。


「……なんか、変なこと、考えてる?」


 おっと。

 ここ2、3日で、かなり勘が良くなりましたね、ヴィクトリアさん。


「いいえ、滅相もない、ヴィッキーさん」


 僕の返答に、ヴィッキーさんはジト目を向けますが、それもまたカワイイですね。


「……はぁ。

 じゃあ、行くわよ」


「はい」


「ぴゅぴゅー!」


 あ、マシロにはUVカットできる魔法を使いたいですね。

 ……なんか、あるかな?






名前 :シータ

種族 :ハイエルフ

レベル:5(+3)


生命力:140(+30)

魔力 :0

精神 :17(+3)

敏捷 :18(+4)

幸運 :8(+3)

攻撃力:11(+3)

防御力:11(+5)




 森を出るまでの3日間で、僕のレベルは5になりました。


 なるべく戦闘は避けようという、僕とヴィッキーさんの意見が一致したのですが、魔物から発見されたり、あるいは食糧確保のために、敢えて魔物を倒したりしていたからです。


 尤も、僕の年齢(ステータスの表記は21歳)でこのレベルはちょっと低いようです。

 ヴィッキーさんによると、一般的には、成人になる15歳の頃には、レベル5になっているとのことでした。

 ……まぁ、絶対にそうだというわけでもないので、構いはしませんけど。


 エルフである僕は、精神と敏捷の数値が高いようです。

 本来ならば魔力値も高いはずなのですが、僕の場合、魔力がないので(実際には、身体の中に閉じ込められている)、0となっています。


 レベルが上がっても増えないので、これはどうしようもないですね。

 諦めましょう。


 身分を証明できない僕は、何らかのギルドに加入して、ギルドカードを手に入れたいのですが、そうすると、エルフなのに魔力がないことが、カードによってバレてしまいます。


 いや、別にバレても良いのですけど、そのことによって起きるであろう面倒事が、厄介なのです。

 あまり、人と関わるのは控えた方が良さそうですね。


 メニュー画面から、自分のステータスを眺めつつ、てくてくと歩いていきます。

 進む方向は、完全にヴィッキーさんにお任せしています。


 現在の時間は、午前10時を少し過ぎたところ。

 ヴィッキーさんによると、昼過ぎには町に到着するだろうとのことでした。


 いくつかの魔法を組み合わせて索敵をしていますが、今のところ、魔物の反応はありません。

 あっても遠く離れているので、無視しています。


 ……少し暇になってきました。


 こういうときに、ラノベやゲームならば、何らかのイベントが起こりそうですけど、現実はそうもいかないようです。


 あまりにも暇なので、ステータス画面でも見て、育成計画でも立てましょうか……。


 レベルが上がれば、生命力に10P、それ以外には1P上がります(魔力を除く)。

 さらに、任意に1P上げることができます。


 なので、この1Pをどこに使うか、が重要な点になるでしょう。


 方向性は2つ。

 特化させるか、振り分けるか。


 特化させるなら、敏捷にしたいな。

 素早さは重要なのです。

 ただ、僕の戦い方は、今のところ、後衛から魔法を使うことになります。

 あまり、素早さは重要視されません。

 ですので、敏捷特化タイプにしても、宝の持ち腐れということになりかねないです。


 振り分けるパターンはどうでしょう?

 その際は、どういう効果があるかわからない幸運には、振り分けないですね。

 一応、レベルアップのときに1P増えるので、それで構わないでしょう。

 また、生命力にも振り分けません。

 1P増えても、それほど影響があるとは思えませんし。


 となると、精神と敏捷、攻撃力、防御力へと、順番に振り分けるようにしましょうか。


 んー?

 その場合、万能というよりは、どっちつかずの器用貧乏キャラになりそうですね。

 ……悩みます。


 よし!

 決めました。

 敏捷特化タイプにしましょう。


 確かに現状では後方から魔法を使う戦法ですが、いつまでもそうしているのは無駄がありそうです。

 実際には魔法を使うのはマシロで、僕はどの魔法を使うのか指示しているだけなのですから。

 それならば、敏捷を上げてスイスイと動きながらでもできるのではないでしょうか。


 本当にそんな風にできるかわかりませんけど、やってみる価値はありそうです。

 

 それに、見た目に重い全身鎧を纏っている奴が、ビュンビュンと素早い挙動で動き回り、しかもバシバシと魔法を使うのです。


 絶対に、面白いですね……!


 攻撃魔法は使えませんが、阻害魔法と状態異常魔法をバラ撒くというのは、ある意味で最高の嫌がらせでしょう。

 あるいは、前衛で戦っている味方が怪我をしても、即座に近付いて回復と防御、支援魔法を使うということも可能です。


 うん。

 良いですね。

 この方向性で行きましょう。


 では、僕のステータス育成は、敏捷特化タイプということで決定です。


 ……ふむ。

 良い暇潰しになりました。

 あと……1時間くらいで到着できますかね?


 ……っと、前方に魔物の反応がありました。

 いや、魔物だけではなさそうですね。

 もしかしたら、魔物に襲われている人がいるのかも?

 いわゆるテンプレの襲撃イベントかもしれません。


 現実は小説よりも奇なり、といいますからね!


 どうせ進行方向なのです。

 行ってみることにしますか!






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