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 初めての戦闘と、マシロのショッキングな食事から、2時間ほどが経過し、さらに何回かゴブリンとの戦闘を重ねました。

 そのうちの1回は、2匹のゴブリンと同時に戦うことになり、良い経験ができたと思います。


 阻害魔法と状態異常魔法をいくつか試しましたけど、効果はそれなりで、ゴブリン程度なら簡単に倒すことができます。


 ターン制のRPGなら、この手の魔法はそこまで使い勝手の良いものではなく(異論は認めます)、さっさとダメージを強いて倒した方が早いのですが、現実となるとそうはいきません。

 しっかりと動きを封じて、確実に倒すことが早道なのでしょうね。


 倒したゴブリンの死骸は、〈道具〉の中に仕舞いました。

 どういう理屈かわかりませんけど、いくらでも、どんな大きさでも収納できるようです。

 そういえばRPGでも、持ち物ってどこに仕舞っているのか昔から疑問でした。

 そういうもの、なのだと思うしかないですね。

 今のところ、〈道具〉にはゴブリンの死骸しかありません。

 もっと他にも欲しいです。


 ちなみに、時間を知ることのできる魔法がありました。

 『オクロック』というもので、これを使ったら、メニュー画面に時刻が表示されるようになりました。

 ありがたいですね。


 空が葉に阻まれて見えませんけど、現在は午後2時です。

 ちょっとお腹が空いてきました。

 あと数時間は大丈夫ですが、それでも食べ物を何とかすることを考えないと、困ることになります。

 ……ゴブリンだけは食べたくないのです。


 森の中なので、木の実とかあっても良さそうなものですけど、全く見当たりません。

 どうしたものでしょうね……?


 戦闘に多少は慣れたので、余裕ができたようです。

 森の中を考えながら歩いていると、視界の片隅にある『マップ』に見慣れない反応が出てきました。


 魔物は赤い光点で示されるのですが、今出てきたのは、白い光点です。

 ……なんでしょうね?

 進行方向にあるので、一応確認しましょうか。

 避けても良いのですが、ちょっと大回りになりそうですし、そうするといつまで経っても、森から出られなくなりそうですしね。

 ここはギリギリまで近付いて、何があるかを確認してから、その先の行動を決めましょう。


 そうと決まれば、こそこそ行きますよ。

 あ、魔法は継ぎ足しておきます。

 特に、『ハイド』と『サイレンス』は、常時発動しておかないと。

 これは、僕の生命線ですからね。





 あれは……人ですね。

 2人います。

 まぁ、『マップ』の反応が2つあったので、そうなんでしょうけど。


 1人は女性のようです。

 背中まである燃えるような赤毛に、翡翠のような色の瞳が映える、とても綺麗な方で、年齢は……20歳前後くらいに見えます。


 動き易そうな革の服を着ていて、腰には剣を帯びています。

 籠手やすね当てを身に付けているので剣士に見えますけど、どうでしょうか。


 ……今更ですけど、この身体の性能にビックリしています。

 結構離れた場所から見ていますけど、まさか瞳の色まで識別できるほど視力が良いとは、思いも寄らなかったです。

 さすがはエルフ、といったところでしょう。


 もう1人の顔や、性別はわかりません。

 しっかりとした全身鎧を纏っているからです。

 ……こんな森の中であんなものを着ていて、大丈夫なのでしょうか?

 背中には、大きな剣を背負っていますし……。


 そんな2人の雰囲気は、あまり良くなさそうです。

 声がこちらまで届かないので何とも言えませんが、何やら言い争っているみたいで、そのうちに手が出そうな様子です。

 正確には、鎧の人物は佇んでいて、それに女性が一方的に非難して見えますけど……。


 これは、どうしたものでしょうか……?


 事情がわからないので、割って入る気はないのですけど、だからと言って無視して先に進むのもちょっと……。

 今は僕のことは気付かれていませんけど、さすがに目の前を通れば、気にするでしょうし……。


 うーん……ん?


 『マップ』に反応が……?

 速い!

 赤い光点が、みるみるこちらに近付いてきています。

 魔物……だけど、ゴブリンではなさそうですね。

 あれはこんなに速く移動できなさそうですし。


 ……僕の方ではなく、女性たちの方に向かっていますね。

 彼女たちはまだ、魔物の存在に気付いていません。

 大丈夫かな?

 声をかけた方が良いでしょうか……?


 おっと、女性がようやく気付いたようです。

 慌てて、やってくる魔物の方に顔を向けました。

 けど、鎧の人物は未だに突っ立っているだけですけど……大丈夫?


 魔物が2人の前に到着しました。

 狼っぽいですけど、もしかしたら犬かもしれません。

 見た目じゃわからないですね。

 ……1匹しかいないから、狼の可能性は低そうですけど、異世界ですから何とも言えません。


 女性が剣を抜いて、狼(?)の前に出ます。

 相手の方が動きは速そうだし、カウンターを入れる作戦でしょう。

 女性は狼(?)を注視していて、鎧の人物を無視しています。


 はて?

 2人は仲間ではないのでしょうか?

 共闘する気配がなさそうですよ。


 すると、ようやく鎧の人物が動きを見せました。

 背後から手を伸ばして、女性の顔に向けます。

 それに気付いた女性は驚いたような顔をして……その場に倒れて気を失いました。

 ……おや?


 狼(?)は、それを見て倒れた女性に襲い掛かりました。

 あわや、というところで、鎧の人物が狼(?)の前に飛び出し、何かをその顔面に投げ付けます。

 鼻先にぶつかったそれは、弾けて中身が拡がりました。

 何らかの粉末のようで、狼(?)はそれを思わず吸い込んでしまい、悲鳴を上げます。

 慌てて前脚で鼻を擦り付けますが、効果はなさそうで、キャンキャンと喚きながら、くるりと踵を返して、狼(?)はどこかへと去っていきました。


 うーむ。

 一瞬の出来事で、何がなにやら……?

 もう少し様子を見ていた方が良さそうです。

 おかしな事態になってきましたからね。


 鎧の人物は、倒れた女性の元に寄ると、どこからかロープを取り出して、女性をそのロープで縛り始めました。


 あれ?

 これって……?


 後ろ手に拘束し終えると、鎧の人物は女性の身体に手を伸ばしました。

 手を縛られたことで強調するような格好になって初めてわかりましたが、その体型は男好きのするかなり豊満なものでした。


 その突き出された胸に触れようとしたところで、鎧の人物は自分の金属の籠手に覆われた手を見ます。


 鎧の人物は立ち上がり、女性から一歩下がって、兜を外し始めました。

 そのままガチャガチャと、忙しなく鎧を外していきます。


 出てきたのは、30歳前くらいの金髪碧眼の男性です。

 その顔は、イケメンなのですが……表情が何ともダメです。

 にやけている、というか、何というか……とにかく気持ち悪い。


 ああ、見覚えがあります。

 それもそのはず、数時間前に見たばかりでした。

 あのクソエルフどもと同じ顔をしています。


「……もしかしたら、強姦しようとしていますか、あの男は?」


「ぴゅぴゅっ!?」


 これは……許されることではありませんね。

 どうしてやりましょうか……?






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