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 長かった冬も終わりを迎え暖かい春になったのは、ローズマリーさんと悪魔(デーモン)との一件から1ヶ月ほどが経った頃でした。


 あれから僕たちは、ローズマリーさんの暮らしていたお城から転移魔法で脱出して、街に無事に帰ることができました。


 ローズマリーさんによれば、あの場所は悪魔(デーモン)の持つ魔道具によって創られた亜空間だったようで、出入りは空間転移でしかできなかったそうです。


 恐らくですが、僕たちが入り込んでしまったのはなんらかの事故だと思うのですが、真相は未だにわかりません。けども、まぁ、害虫駆除ができたのだから、良しとしましょう。


 そんな場所にあるお城にローズマリーさんを1人で残すわけにもいかないかなぁ……と思っていたのですが、よくよく考えてみれば、僕もローズマリーさんも空間転移できるので、どこに住んでも問題ないことに気付きました。


 そこで話し合った結果、お城──名前をローズマリーさんにちなんで、『薔薇城』としました──を住居にして、必要がある度に、街などに転移することになったのです。


 ついでに、ヴィッキーとシアも引っ越すことにしました。

 シアはいつまでも実家暮らしはイヤだったのか嬉々として引っ越す支度を始めましたし、ヴィッキーに至っては家出していたので、何ら問題はなかったのでした──いや、僕のよく知らないアレコレがあったようで、それぞれ長い話し合いがあったらしいですが、僕は関与できなかったので、詳しいことはわかりません。


 それはさておき。


 薔薇城はとても広くて、ローズマリーさんですら内部を完全に把握していません。

 なんでも特殊な魔術によって、汚れや劣化を防いでいるそうなので、使う必要のない場所は見ることもないらしく、そのまま放置されているとのことです。


 これでは住居とするのには良くないと思いましたが、変な場所に入り込むと、悪魔(デーモン)の仕組んだ防衛機能が働き、魔物が襲い掛かって来るので、危険と判断して、安全だと確信できる場所以外はとりあえず出入り禁止にしました。

 悪魔(デーモン)はもう既に死んでいないのだから解除されれば良いのに、そのままになっています。

 本当に、迷惑なヤツですね。

 まぁ、でも、いずれは探索するつもりですが。


 ローズマリーさんの使っていた寝室周辺は問題ないので、その周りの部屋をみんなで使うことにして、食事などは街まで転移してすることとなりました。

 若干面倒ですけど、安全を確保するまでは仕方ありません。


 その逆に、薔薇城の周辺は全く魔物などがいなくて、安全です。


 魔道具によって創られた、ということだからか、ここは薔薇城を中心に直径10kmほどの箱庭のような空間になっています。

 端まで行くと壁があり、見上げると彼方まで延びていて、どうにも越えられそうにありません。

 空はあるので昼夜はちゃんとわかり、太陽と月が出ていて、時には曇ったり雨が降ったりと、天候の変化もキチンとしています。

 初めてここに来たときは猛吹雪でしたが、どういうわけか四季があるようで、今は穏やかな春の気候になっています。

 地面に積もっていた雪が完全に溶けるほどではないですが、それもいずれはなくなるでしょう。

 魔物はいないのですが動物などはいるようですし、山も川もあるので、どこかに畑でも作れば、自給自足ができそうな環境です。

 将来的には、ここに引き籠りたいですね。


 まぁ、未来のことは一旦置いておいて。


 薔薇城への引っ越しと、内部や周辺の探索などに時間を費やしている間、僕はとある問題に対処していました。


 それは──『ローズマリーさんをルナと間違えて(いた)しちゃった』事件です。


 当然ですけど、ルナは怒りましたし、それとは逆にローズマリーさんに至ってはヴィッキーたちに負い目を感じてしまう始末です。

 全面的に僕が悪いので、ヴィッキーたちは彼女に対してはなんら含むところはないのですが、その事がさらにローズマリーさんを恐縮させる羽目になってしまっているのです。


 これは良くないと思い、僕はまず、ヴィッキーたちからそれぞれ罰を受けることにしました。

 1週間、1人ずつそれぞれの要望を叶える、というものです。

 それはもちろん、ローズマリーさんもです──最初は断られましたが、なんとか説き伏せてやることになりました。


 そしてその間に、残りの2人がローズマリーさんと行動して、女性同士仲良くなりましょう、という作戦を練りました。


 これは思いの外上手くいったようで、僕が体力の限界に挑戦している間、彼女たちはとても仲良くなっていました。


 マリー──ローズマリーさんからそう呼んでほしいと言われたので、これからそうします──も最初はぎこちなかったみたいですが、ヴィッキーにシア、ルナの3人とも彼女に対して全く含むところがないことがわかると、次第に打ち解けられていったので、僕はホッと胸を撫で下ろしました。


 まぁ、こんなことで僕がマリーにしたことを帳消しにできるとは思っていませんが、なるべく責任を取る所存であります。


 ちなみに、彼女たちからどんな罰を僕が受けたかというと。


 まずは、ルナ。

 朝早くに起きて、トレーニングです。

 走り込みや筋トレなどをしてから、武器を持っての実戦さながらの訓練を行います。

 槍を使うルナの攻撃をひたすらに回避と防御をして、僕はたまに反撃をする程度でした。

 あ、あとは、馬に騎乗して突撃してくるルナと、歩兵の僕が戦う訓練もありましたね。

 そして、夜には一晩中搾り取られる(なにが、とは絶対に言いません)のでした。


 次に、ヴィッキー。

 ミスリル製の武器が欲しいということなので、ひたすらに冒険者ギルドからの依頼を2人で受けて、お金を貯めました。

 売りに出されないといくらお金があっても買えないのですが、チャンスがあるときにお金がないと困る、ということなので、比較的高額な依頼を受けまくり、冒険者ランクが上がるほどでした。

 そして、夜には一晩中搾り取られる(なにが、とは絶対に言いません)のでした。


 そして、シア。

 1日中、鍛冶やら裁縫やらの製作活動をしていたのを、僕が手伝うというものでした。

 鉄などの素材や使う道具の準備をしたり、食べ物や飲み物を用意するだけでなく、口に運んで食べさせたり飲ませたり。

 疲れたから動きたくないと、着替えやお風呂を手伝ったり、最後にはトイレにまで連れていきました。

 もはやこれは、介護ではないかと思うほどです。

 そして、夜には一晩中搾り取られる(なにが、とは絶対に言いません)のでした。


 最後に、マリー。

 彼女は非常に大人しく、あるときは戦闘訓練と称して彼女の使える魔術を見せてもらい、またあるときは街中にブラブラと出歩いたりする程度です。

 もう少しワガママを言っても良いかな、とは思いましたが、恐らく、僕の顔色の悪さを見て、加減してくれたのではないかと思います。

 そして、夜には一晩中搾り取られる(なにが、とは絶対に言いません)のでした。


 そんな感じで、なんやかんやありまして、瞬く間に時間が過ぎていくのでありました。






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