おわりとはじまり
長い時間開いてしまい、すみませんでした!
今日から、また少しずつ執筆活動を再開させていただきます。
勇人は頭に柔らかい感覚を覚えていた。
あれ?俺って魔狼獣にやられて地面に倒れてたよな。雨でぬかるんでいるのか?
まあ、なんでもいいか。とりあえず起きよう。
勇人は「よいしょ」と顔を上げる。
すると、そこには星が瞬く夜空のなかで、気持ち良さげに眠るエリーの顔があった。
そして、エリーは勇人に気づき、目をゴシゴシと擦りながら寝ぼけた顔で勇人と目が合う。
「やっと目覚めたのですね、勇人様。」
「ああ、全部思い出したよ。エリー。いままでお前たちのことを忘れていてごめんな。」
そう言って、勇人は精神の部屋での出来事をエリーに話した。
すると、エリーは少しうつむき、納得したような顔をすると、その小さな顔を上げた。
「なるほど。だからあんなにも話に違和感が出てしまったのですね。
しかし、私たちのことを思い出していただけて、良かったです。」
と、エリーは微笑んでそう言うのだった。
「さて、もう過ぎたことはどうでもいいのです。それよりも、私たちは先にする事があるはず。ですよね、勇人様。」
「ああ。当たり前だ。これから戦争を止めにいく。」
そう言って、勇人とエリーは魔道羅針盤を頼りに戦争の勃発を防ぎに森の中を駆けるのであった。
「会いたかったぞ、ルーシー。」
「私も会いたかったですわ、勇人様。」
そう言ってルーシーと勇人は再会できた喜びを噛みしめながら熱く抱きあっていた。
どのようにして今に至るかというと、勇人たちが戦争を止めると決意してから2日後、ふたりはクランツ王国に到着し、王城の謁見の間にいた。そこでクランツとアガペーの両国の王が自分たちの娘についてのことを話合っていた。
「どうやら、儂の娘のエリザベスは勇人にべた惚れのようですな。」
と、クランツ国王。
「はっはっは。そんなの、吾輩の娘、ルーシーもですよ。全く、彼奴には困ったものですな。姫を2人も惚れさせ、挙げ句の果てには正妻を賭けた戦争なぞさせおってからに。」
と、アガペー皇帝。
「全くだ、儂等などではどうしようもないのう。はてさて、いつ帰ってくるのであろうか、彼奴らは。」
などと、噂話をしていると、
「ただいま戻りました。」
「おお。帰ってきたか、エリザベス。それで、どうだ、勇人は帰ってきたか?」
そうクランツ国王は尋ねると、エリーが入ってきた扉から勇人が出てきた。
「どうも。ご無沙汰しています。ただいま戻ってまいりました。」
「おお!これはこれは、勇人ではないか。久しぶりじゃ。おおい、誰か、吾輩の帝国に戻ってルーシーに勇人が戻ってきたと伝えに行け。大至急じゃ。」
「ははっ」と部下の1人が頭を垂れ、急いでルーシーに勇人が帰還したと伝えに行った。
「よくぞ戻ってきてくれた。勇人よ。いつ儂等に孫を見せるつもりじゃ。」
クランツ国王はウキウキして勇人に問う。
エリーは頬を染めて、
「もうすぐ見られますよ。」
と、言うのだった。
そうこうしている内に、ルーシーがやって来て、今に至る。
「さて、どちらが正妻か、ということは、実はもう、勝手だが、俺がもう決めている。そうでもしないと、収まりがつかないしな。」
そう勇人が言うと、エリーとルーシーは、
「それもそうですね。」
「それがいいと思いますわ。」
と、口を揃えて言うのだった。
「まあ、どちらが正妻であろうと、俺はどちらも全力で愛する。だが、両方とも国の第二王女だから、すまないが王位の継承は諦めて欲しい。」
と、勇人が言うと、それはもう両国では決定していて、既に次の王は決定しているとのことであった。
「なら、言おうか。俺の正妻は…」
そう言うと、その場の誰もが、息を止め、勇人の次の言葉に注目した。そして、次の瞬間。
「エリーだ。なぜなら、2人の内に最も早く出会って、長い時間を共に過ごしたからだ。」
そう勇人は言い放つと、エリーは歓喜し、ルーシーは、やっぱり。という表情をしていた。こうして、クランツ王国と、アガペー帝国の戦争は終結した。
1年後、勇人には、先にルーシーとの間に子供ができた。しかし、ルーシーの子供は、直ぐに流行り病で病死してしまった。これに勇人たちは深く悲しみ、苦しんだ。
そして、もう1年がたったころ、エリーとの間にも子供ができた。元気な男の子だった。
名前は、勇人の生まれた異世界風にして、コウという名前にした。
これはそのまま、病気にかからず、健康に育って欲しいとつけた名だ。そしてコウはその名の通り、とても健康で、とても楽しい日々をおくっていた。
しかし、それから4ヶ月後、やっと首が座ってきた頃、運命の時が来た。
ちょうどその日は、厚く、黒い雷雲が空を覆い、ゴロゴロと空が泣く、寒い日だった。
勇人たちの家はクランツ王国とアガペー帝国が遠くに見える、森の中にあった。
なぜそんなところにあるかというと、単に自然のなかで静かに暮らしたいという、妻たちの希望であった。その森の中に住んでいるのは、勇人たちだけではなく、隠居する貴族など、身分をあまり気にしたくない人たちが、一致団結して、森に小さな集落を作り、自給自足の生活をしていた。
勇人は、少し森の奥まで入っていい感じに燃える木を取りにいっていた。すると、いきなり雷が集落に落ちた。
勇人は驚き振り返った。するとそこには、真っ赤に燃える集落の姿があった。
お読みいただいて、ありがとうございました。




