決着 VSオーガ
3/20 魔術→魔法 に変更しました。
「オラよ!」
勇人は女性に貰った短剣を振るう。それは切れ味が良く、オーガの肌をたやすく切り裂いてゆく。
「グゲググー!」
オークは、勇人からたくさんの切り傷を負わされ、出血し過ぎて意識が朦朧としていた。
その隙を突き、勇人はオーガに致命傷を与えにかかる。
「これでぇぇ!」
勇人の繰り出した剣が右腕を切り落とそうとしたとき、
「グォォォアォォォォォォ!!!」
そうオーガが叫ぶとその圧倒的な質量を持つ自身の巨体でプレスを仕掛けて来た。
「何?!」
勇人はとっさの出来事だったが、召喚時に手にした脚力で、これを回避する。
窮鼠、猫を噛もうとしたが、猫の能力が高すぎたようだ。それっきりオーガは動かなくなった。
危なかった。でも、あれで最後か。あっぱれだったよ。さて、これからどうすっかな。
「勇人様!大丈夫ですか?」
そう言って女性が近づいて来た。
さっきは戦闘に集中し過ぎて気づかなかったが、こいつめっちゃかわいいな。
勇人がそう思うのは当然である。
なぜなら、彼女は美しい金髪碧眼を持ち、髪は腰まで伸ばされていて、少し桃色で、細くて白い血色の良い肌であった。
さらに、彼女はヒトより長く細い耳を持つエルフであった。
ありぁエルフか。直に見ると相当だな。アニメとかで、エルフはみんな美形とかいう話があったが、まさかこれ程とは。
「大丈夫だ。それより、何故あんなところで襲われていたんだ?」
「えっと、私の家来の魔法師たちが、異世界召喚魔法ができるまで魔力の充填が完了した、というので、早く会いたくって。えへへ」
「て、ことは、俺を呼んだのはあんただったのか。」
しかも召喚されたときのローブ4人組は俺を召喚したときに死んだのか。
「そうです。ところで、私の家来の4人を知りませんか?あの方々ならオーガを倒せたはずですが。」
うーん。言っていいのだろうか?なんか申し訳ないな。でも、言うしかないよな。
「そいつら俺が召喚されたときには召喚陣のところで死んでいたよ。」
「何ですって!?それはおかしいですわ?あれは多大な魔力がかかるけど、致死量にはならなかったはず…だとすると、召喚を行っている際、何らかの不具合が発生し、その時に召喚を行うために必要な量の魔力を補わざるを得なかったということですか。
勇人様、召喚されたときに、何かありませんでしたか?」
「いや、特に何も…ってまさかあれか?なんかここに来る途中で狼に会った。」
「この森に狼ですか?それはまさか?でも何故?あれはもっと深いところでしか出ず、しかも姿を現わすのは捕食時だけ…。違いますね。たしか、あいつは魔力を捕食する。
つまり、召喚の時に漏れ出た大量の魔力を嗅ぎつけて来たというわけですか。」
「あいつあいつって何なんだ?さっきから。」
「ああ。すみません。あいつとは、魔狼獣という狼です。
そいつは世界でも5本の指に入る凶悪な魔物で、昔、たった一体で森の魔物を統括し、侵攻してくる全ての勢力を返り討ちにしてきたと言われています。
かつて、森の奥で大魔導師が極大魔法の実験をした際、魔力が消えたと思うと、魔狼獣が現れ、魔導師の左腕を消し飛ばしてしまったようです。」
うわー。そんなエライ奴だったのか。
逃げられて良かったー。
「でも、まだ勇人様を追って来ているということは、もしかすると、まだ魔狼獣はそこらを彷徨いているかもしれないですね。」
彼女は笑いながらそう言った。
その時、灰色の空からポツポツと雨が降り始めていた。




