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とんでもスキルで異世界放浪メシ  作者: 江口 連


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第五百七十一話 半分魂が抜けた

書籍&コミックを購入してくださった皆様、本当にありがとうございます!

まだの方は是非お手に取ってみてください。

「とんでもスキルで異世界放浪メシ 11 すき焼き×戦いの摂理」、本編コミック8巻と外伝コミック「スイの大冒険」6巻、どうぞよろしくお願いいたします。


 朝飯を終えた後、俺たち一行は、王都の冒険者ギルドへ向かっていた。

 王都へとやって来た原因とも言えるリヴァイアサンの件についてだった。

 ようやくどの部位を買い取りするかが決まったようなのだ。

 昨日、王都観光というか買い物&食べ歩きを終えて帰宅して、フェルたちの『夕飯は別腹!』という謎理論により、渋々ストックしていたオーク肉たっぷりの野菜炒めで作った肉野菜丼を食っている最中に(俺はさすがにコーヒーだけ飲んでいたけど)、カレーリナのギルドマスターがやって来て知らせてくれた。

 ギルドマスターは余程激務だったのか疲れた顔をしていたから、ギルドマスターにも肉野菜丼を食わせてやったよ。

 それを(疲れた顔をしていると)言ったら、「誰のせいだ!」って怒られたけどさ。

 それについてはホントすんませんとしか言いようがない。

 とにかく昨日のその一報で、今日は王都冒険者ギルドへと向かっているわけだ。

 だけどもフェルもゴン爺もドラちゃんも、どことなく面倒くさそうな雰囲気。

 スイはよく分かっていなさそうだけれど。

 フェルたちにとって肝心要のリヴァイアサンの肉は手に入っているし、他の素材はどうでもいいってことなんだろうなぁ。

 だからと言って放置はできないし。

 しかし、リヴァイアサンの素材か~。

 一部買い取りだとしても、もの凄い金額になるんだろうな……。(遠い目)

 大半は素材そのまま戻ってくるだろうし。

 なんかアイテムボックスの肥やしになりそうだわ。

 まぁ、とにもかくにも行ってみてだよな。

 とりとめもなくそんなことを考えていると、王都冒険者ギルドに到着した。

 中に入ると、すぐに職員の人に案内されて倉庫に向かう。

 倉庫の中の物々しい雰囲気に少々ビビる。

 目つきの鋭い、恐らく高ランク冒険者だろう人たちが倉庫の中に点在して、ガッチリ守りを固めていた。

 この前来た時にも警備の冒険者はいたんだろうけど、こんなにはいなかったよな?

 そんなことを思いながら周りを見ていると……。

「来たようじゃな。待たせてすまんかったな。ようやく買い取りする素材が決まったわい」

 王都冒険者ギルドのギルドマスターのブラムさんをはじめとするお偉方の登場だ。

 カレーリナのギルドマスターであるヴィレムさんもいる。

 皆さん一様に疲れた顔をしているね。

「ええと、なんか物々しい警備ですね」

「まあの。ある意味、今が一番危険だからのう」

 ブラムさん曰く、「解体する前は、盗もうと思ってもリヴァイアサンには到底歯が立たぬからそうそう盗めるものではない。だが、解体されて素材となった今は、やろうと思えば持ち運べるじゃろう。しかも、その素材一つでも盗み出せば一生遊んで暮らせる金が入るとなればおかしくなるヤツも出るのじゃよ」だそうだ。

 解体が進むごとにそういう輩は増えているらしく、実際、もう何人もお縄になっていると話してくれた。

 前置きで「恥ずかしい話なのじゃが……」とブラムさんが話してくれたが、王都冒険者ギルドの職員も一人捕まったそうだ。

 突発的な犯行だったようだが、実際に手の届く距離でリヴァイアサンの素材を目にして金に目がくらんだらしい。

 その職員の挙動がおかしいのに気付いた冒険者に即捕まったらしいが。

 それから、俺たちが借りている一軒家の周りにも実は高ランク冒険者の警備が就いていた模様。

「フェンリルと古竜(エンシェントドラゴン)がいて何かできると思う方がおかしいんじゃが、金に目のくらんだ大馬鹿者は何をするか分からんからのう」

 そうブラムさんは言っていた。

 話を聞きながら「え? 俺ってそんなに危険だったん?」ってちょっと愕然としたよ。

 で、フェルとゴン爺に念話で『俺の周りに変なヤツいた?』って聞いたら、フェルもゴン爺も『いないこともなかった』だって。

 いるにはいたけど、フェルとゴン爺の一睨みですごすごと退散していったらしい。

 フェルとゴン爺が一緒で良かったわと本当に思ったよ。

 こういうことになっているのも、やっぱり素材となれば売りに出しやすいというのがあるようだ。

 聞くと、冒険者ギルドを通さない裏のマーケット的なものも存在しているらしく、盗品やら禁止されたヤバい品やらの売買がされているのだという。

 闇の品ということで、売り値は多少足元を見られるようだけど、ブラムさん曰く「それでも大金になることには間違いないからのう」だそうだ。

 どこの世界にもこういう裏の世界というものはあるようだ。

「それでは本題の買い取りの話に入りたいんじゃが、いいかのう」

「は、はい」

 王都冒険者ギルドとして買い取りしたい素材としては、まずは血だ。

 俺の胸の辺りくらいまであるドデカい壺というか甕というかに入ったもの30本。

 それから眼球一つ。

 あとは骨の一部と小さめの牙(と言っても元が大きいからそれなりのサイズではあるんだけど)1本と脳の一部と肝の一部。

「して、買い取り金額じゃが金貨180000枚でどうじゃろうか」

 そう聞いて絶句した。

 聞いて半分魂が抜けたよ。

 金貨18万枚だよ、18万枚。

 しかし、リヴァイアサンこんなになるのかぁ……。

「そこで相談なんじゃが…………」

 金額にビックリし過ぎて、ブラムさんの話があんまり頭に入ってこなかったのだが、要は支払いを3回の分割にして欲しいとのことのようだった。

 俺は無言のままコクコク頷いたよ。

 それで、1回目の支払いとして金貨6万枚、白金貨にして600枚が入った麻袋を渡されてこれも無言のままアイテムボックスへと突っ込んだ。

「あとは、残りの素材の返却じゃ」

 そう言って倉庫にズラリと並んだリヴァイアサンの素材を見て頭が痛くなった俺。

 王都冒険者ギルドが買い取ってくれたのは、ほんの一部だと思い知らされた。

 その一部であの金額。

 この大量の素材、どうすんだよ……。

 今だって俺の手に余る素材がアイテムボックスにたくさん放置されているってのに。

 そして閃いた。

 手に余るなら手放せばいいじゃない。

「あの、王様とラングリッジ伯爵様にこの素材のいくらかを献上したいと思うのですが」

「うむ。お主がそれでいいと思うのなら良いと思うぞ。心証も良くなろう、というか爆上がりするじゃろうしのう」

 と賛同されたのでヨッシャと思う。

 返却された素材の半分を王様に4分の1を伯爵様に献上することを提案したが、即却下。

 ブラムさんをはじめとしたお偉いさん方とカレーリナのギルドマスターにも「お前は馬鹿か」と言われたよ。

 さすがに多過ぎると。

 なので「じゃあどれくらいならいいのか?」と聞いたら、王様には血を2、3本と皮の一部(一部と言っても本当に小さく切り取ったものだ)で伯爵様には血を1本のうち3分の1ほどで十分だと。

 俺が「イヤイヤ、それはさすがに少な過ぎるでしょ」と突っ込みを入れて、ああだこうだと押し問答。

 なんやかんやと話し合いの末に、王様には血を5本と皮の一部(エルランドさんが解体のためにブツ切りにした部分の皮の3分の1程度だからホントにほんの一部だ)と牙2本(冒険者ギルドに買い取りしてもらったものよりも小さいものだ)で伯爵様には血を2本と決まった。

 俺としてはもうちょっとと粘ったのだが、皆さん方が頑としてダメだと。

 皆さん「これでも多いくらいだ」とブツブツ文句を言っていたくらいでさ。

 王様には少なくとも大きな牙を2本押し付け、もとい献上したかったのだが。

 それに、本当ならリヴァイアサンの肉も付けたかったのだが、それはうちのみんなから『絶対にダメだ』と強いダメ出しがあって断念した。

 まぁ、そんなこんなで献上品も決まり、王様への物はブラムさんに預け、伯爵様への物はカレーリナのギルドマスターに預けて、それぞれに献上してもらうことをお願いした。

 丸投げだよ。

 悪い方々ではないのは分かっているのだが、やはりお偉いさん方に会うのは疲れるからね。

 しかし、リヴァイアサンの素材はほとんど減っていない。

 残ったリヴァイアサンの素材は機械的にアイテムボックスにしまっていったよ。

 そうでもしないとやってらんないしねー。

 ようやくしまい終えて、ドッと疲れが襲ってくる。

「早く帰ってふて寝したい気分だわ……」

 そうつぶやく俺だった。






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― 新着の感想 ―
[一言] アイテムボックスに素材がいっぱい。 ドラゴンの素材は、貴重な薬にもなるので、世のため人のために流通させた方が良くないかな? ここは盛大に王都ギルド主催で、オークション開催する! 得た収入は、…
過度な贈り物をすれば、何かよからぬことを考えると思うのが人の性ですな。特に権力者達には変に勘ぐられるのがオチ
肝は売ったら駄目だろ大体スイのエリクサーどんだけあんねん 毛はえ薬以外にもテレーザさんみたいな人雇わないと行けない時に作れんやん
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