第五百六十九話 王都中央市場 買い物堪能
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特典情報は分かり次第に活動報告にてお知らせします。
「さてと、果物はこれでいいとして……」
『よし、ならば屋台巡りだな』
『うむ。そうじゃのう』
『よっしゃ、行こうぜ!』
『お肉、お肉~』
「まだダメ!」
早速とばかりに屋台が集まる方へと突っ走りそうになるフェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイを止める。
「果物はって言っただろう。まだまだ買いたいものがあるの!」
そう言うと、みんなブーブー文句を垂れていたが、ここは譲れない。
「文句を言うのはいいけどな、俺が買うのはみんなが食う食材なんだからな。少しでも良いのがいいだろうが。食材の質は味に影響するんだぞ」
そう言うと渋々ながらも屋台巡りを後に回してくれた。
ということで、買い物続行!
まずはと目を付けたのが、小麦粉を取り扱う店だ。
俺にはお馴染みというか当然な感じの白い小麦粉、こっちで小麦粉と言えばコレな表皮やらの小麦全部を粉にした茶色みがかった全粒粉、産地ごとに分けられたそれらの小麦粉、さすが王都の店というか、とにかく種類が豊富だった。
見てもどれがいいやらわからない。
こういうときは、やっぱりおすすめを聞くのが一番ということで早速聞いてみる。
「すみません。おすすめはどれですか?」
ぽっちゃりした人の良さそうなおじさん店主がにこやかに教えてくれたのは5種類だ。
一つ目が、ダルシー産の全粒粉。
ぽっちゃり店主曰く「ダルシー産の小麦粉で焼いたパンは皮がパリッとして香りがとても良くて、いつも食べ過ぎてしまうほどなんです」とのこと。
二つ目が、セーデルフェルト産の小麦を精製した白い小麦粉。
とは言っても、お馴染みのネットスーパーの小麦粉ほどは白くはないけれど。
良質として知られるセーデルフェルト産の小麦を手間をかけて精製した白い小麦粉は、お貴族様御用達らしい。
ぽっちゃり店主曰く「少々値段は張りますが、この小麦粉で焼いたパンはふんわりしてほんのり甘く何個でも食べられるほどです」とのことだ。
三つ目が、カマルク産の小麦とルオー産の小麦をブレンドした全粒粉。
カマルク産もルオー産も知名度はイマイチなのだが、なかなか良い小麦なのだとぽっちゃり店主が力説していた。
ぽっちゃり店主曰く「みなさんが買いやすいお手頃な値段の小麦粉で美味しいパンを食べて欲しくて作った自信作です」とのこと。
この小麦粉で焼いたパンは風味も良く好評なのだと自慢気に語っていた。
四つ目が、マルツ産の全粒粉。
こちらのマルツ産の小麦も知名度はないが、味は抜群だとぽっちゃり店主が太鼓判を押していた。
ぽっちゃり店主曰く「この小麦粉で焼いたパンも皮がパリッとしているんです。特に焼き立ては絶品ですよ」とのこと。
五つ目が、セーデルフェルト産の小麦とアラゴ産の小麦を精製してブレンドした白い小麦粉。
先に出た良質として知られるセーデルフェルト産の小麦とこちらも良質として知られるアラゴ産の小麦をブレンドした最高級品とのこと。
高位のお貴族様の御用達らしい。
ぽっちゃり店主曰く「この小麦粉で焼いたパンはふんわりと柔らかく鼻に抜ける小麦粉の香りと甘みが感じられる極上のものです。高値ですがその価値はあります」とのこと。
この小麦粉は、普段は置いてないのだが、たまたま手に入ったそうだ。
フムフム。
ぽっちゃり店主が何故ぽっちゃりなのかがよく分かったよ。
炭水化物の摂り過ぎだな。
まぁ、しっかりと味を確かめてからおすすめしているっていうのが分かるから説明の信用度マシマシになるけど。
ここは5種類全部買うしかないでしょ。
ということで、おすすめ全種お買い上げ。
ダルシー産の全粒粉とカマルク産の小麦とルオー産の小麦をブレンドした全粒粉、マルツ産の全粒粉がそれぞれ麻袋(大)5袋分で、セーデルフェルト産の白い小麦粉が2袋、セーデルフェルト産とアラゴ産をブレンドした白い小麦粉が1袋。
〆て金貨42枚だった。
セーデルフェルト産の白い小麦粉も高かったけれど、最初から店主が高値だと言い切っているとおり高位のお貴族様御用達のセーデルフェルト産とアラゴ産をブレンドした白い小麦粉がめちゃくちゃ高かったとだけ言っておこう。
目当てだった小麦粉を手に入れてホクホクな俺。
そして、再び騒がしい市場内をあちこち見ながら進み、俺が次に目を付けたのは、こちらも目当てだったミックスハーブの店だった。
吸い寄せられるように店に入り、品物をじっくりと見ていく。
おお、やっぱりカレーリナの店とは香りからして違うな。
「いらっしゃい。何かお探しかい?」
「肉に合うものを。あとは、おすすめってあります?」
俺がそう言うと、店主のちょっと厳つい顔に犬耳がついた獣人のおっちゃんが承知といった感じで紹介してくれた。
「肉ならコレだな」
そう言ってミックスハーブソルトを紹介してくれた。
乾燥ハーブがミックスされただけではなく、最初から塩が入ったものだ。
今までの店だとハーブだけで、後で自分で塩を混ぜていたから興味をそそられる。
「最初から塩も混ざっているんですね」
「ああ。うちみたいな店は少ないが、舌には自信があるからな。そのハーブに最も合う塩をブレンドしているぞ」
なるほどねぇ。
「それにだ、見ての通り俺は犬の獣人だからな。鼻には絶対の自信がある」
そう言いながらおっちゃんが自分の鼻をチョイチョイ人差し指でつつく。
「ハーブの質も最高品質のものを選んで、絶妙な香りでブレンドしている。うちの店の商品は王都一だと自負しているぞ」
店の商品に余程自信があるとみえる。
誇らしげに話していることも、おっちゃんが犬の獣人だってことを考えると真実味を帯びてくる。
「まぁ、とにかく味見してみてくれよ」
おっちゃんが「肉ならコレ」と言ったハーブソルトを、少量、俺の手のひらの上に載せた。
ペロリと舐めてみると……。
「おおっ」
様々なハーブの香りがするのだが、どれがという主張がなく、とにかくすべてが丁度いい塩梅に香りがまとまっている。
本当にこれをかけるだけでどんな肉も美味くなるだろうな。
こりゃあ自信があるって言うのも頷けるわ。
おっちゃんに「美味いだろ?」と聞かれて思わず無言で何度も頷いてしまったよ。
ドヤ顔のおっちゃんがちょっとウザかったけどね。
「次におすすめだったな。今一番のおすすめは、コレだ」
乾燥ハーブのグリーンと少しピンクみがかった塩の粒に交ざって、黄色い粒々が見えた。
香りを確かめると……。
「柑橘系?」
「ああ。今王都ではな、レモーネの皮が使われたミックスハーブが大流行りしているんだよ」
おっちゃん曰く「最初は流行りなんぞって思っていたが、実際使ってみたら良いじゃねぇか。んで、うちでも早速作ってみたんだ」とのこと。
「レモーネなんぞ汚れ落としだろって思ってたんだがな。ガッハッハッ」
レモーネというのは、レモンにそっくりな実で、こちらの世界ではいろいろな汚れ落としに使われているものだ。
低い樹に実が生るので、わりとどこにでもあり田舎だと一家に1本は植えてある。
おっちゃんが言うには、どこだかいうハチミツが有名な村でレモーネとハチミツを混ぜた飲み物があって、それをヒントにおっちゃんの同業者がレモーネを使ったミックスハーブを開発。
それが大ヒットして、他の乾燥ハーブの店でもそれぞれオリジナルを売り出して王都で大流行しているそうだ。
レモーネのくだりはなんだか聞いたことがあるような話なんだが……。
ま、いいけど。
「こっちも味見してみてくれ」
柑橘系の香りのするハーブソルトをペロリ。
「お~」
レモーネの香りがちょい強めに出ているが、それが良い。
「爽やかな香りが鼻を抜けるだろ~」
またもやドヤ顔でそう言われて頷く俺。
「一番のおすすめは魚料理に使うことだが、割となんにでも合うぞ。肉もこれならサッパリと食えるんだ」
確かにこの香りなら肉もサッパリ美味いだろうな。
「両方とも買います!」
「毎度アリ~」
次にいつ王都に来れるかわからないから買えるだけ買った。
両方とも麻袋(小)3袋ずつ。
〆て金貨10枚。
ちょい高いけど、塩が良い物使われていたから妥当かな。
良い買い物ができて、またもホクホク顔の俺。
その後は、再びあちらこちら見ながら市場内を物色。
お茶を扱っている店を見つけてフラフラと中へいざなわれて、カレーリナや他の街でもお茶はちょこちょこ買っていて、手持ちがたくさんあるのについまた買ってしまったりと、あっちへフラフラこっちへフラフラ、目につく店に入っては思う存分買い物を楽しむ俺だった。




