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第五百四十一話 王都冒険者ギルドのお偉いさん方

遅くなって申し訳ありません。

更新忘れてました(汗)

 伯爵家の客間に案内された俺は、すぐにベッドにダイブした。

「あ~、疲れた……」

『あるじー、大丈夫~?』

 フェルに乗っていたスイが、俺に続くようにベッドの上に乗ってきて、そう言いながら俺の頬をペチペチと叩いた。

「大丈夫だよ、スイ」

 俺は、癒しとばかりにスイを撫でまわしながらそう答えた。

「今日はもう寝よう」

『はーい』

『風呂に入れないのが残念だが、人んちだしなぁ。明日は入れるんだろ?』

「ああ。明日はお暇して、いつもみたいに家を借りるよ」

 そうしないと俺が保たないよ。

 今日はお偉いさんばかりに会って精神的に疲れ果てた。

 それなのに、最後の最後にフェルもゴン爺も余計なことを言いやがるもんだからなおさらだった。

『おい、我の布団だ』

『主殿、儂のも頼むぞい』

 まったく人の気も知らないで、この伝説の魔獣コンビは。

 ブスッとした顔でフェルとゴン爺を見ていると『おい、布団』と急かしてくるし。

「へいへい、布団ね」

 重い体を起こして、アイテムボックスから布団を出して敷いてやると、嬉々としてその上に陣取るフェルとゴン爺。

『もうこれがないと寝られんわい』

『うむ。これが敷いてあるだけでグッスリだ』

 なんて呑気に話しているし。

 まったくこいつ等ときたら……。

 悪気がないから余計に質が悪いったらありゃしないよ。

 伯爵一家と和やかに食事をして、ホッと一安心というか気を抜いていたところに『リヴァイアサン』なんて言うんだもん。

 あれから、伯爵様には「フェル様は最近手に入ったと言っておられたが、どういう経緯で……」なんて聞かれてさ。

 詰問されたって感じではなかったけど、曖昧に口を濁してどうこうなんて雰囲気じゃなくて、しょうがないから正直に洗いざらい話したよ。

 小国群のダンジョンに行って踏破したって話をさ。

 リヴァイアサンはそこのダンジョンのラスボスで、そのままの姿で残っていることと、それが超巨大だってこともね。

 あと、王都に来たのもそのリヴァイアサンの解体ができるかもしれないってことだったからだってこともさ。

 そんなこんなを一通り話したんだ。

 俺の話を聞き終わった後に、なんだか伯爵様が大きな溜息をついてたけど。

 まぁ、それでようやく解放されて、この客間に案内されたってわけだ。

 去り際に、伯爵様がブツブツと「これは王に伝えねば……」とかなんとか言っていたけど、その辺のことは丸っとお任せだね。

 伯爵様、よろしくお願いいたします~。

 リヴァイアサンが解体できたならば、その素材やら肉(については少々になるかも)やら王様用とともに伯爵様にも献上させていただきたいと思ってますので。

 ま、とりあえず、疲れたし寝よ寝よ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 王都の冒険者ギルド―――。

 ギルドマスターにこの国の冒険者ギルドのお偉いさん方5人と引き合わされた。

 みなさん、俺のことを値踏みするように見ていらっしゃるよ……。

 そんなすこぶる居心地の悪い中でも、うちの従魔ズはどこ吹く風だ。

 フェルとゴン爺はいつも通りというか、相も変わらずふてぶてしい態度で寝そべっている。

 ドラちゃんとスイは我関せずでフェルに寄っかかって寝ているし。

 みんないい気なもんだよ。

 あ~、やっぱり王都なんて来るんじゃなかったなぁ……。

 遠い目をしてそう考える俺。

 というかさ、これ、年嵩のお偉いさん方にジロジロ見られて針の筵って感じだぞ。

 これなら伯爵様のところの方がまだマシかも。

 そう思いながら、俺は今朝のことを思い出していた。

 伯爵様のところは、朝飯をご馳走になってお暇した。

 まぁ、実際ご馳走になったのは俺だけなんだけども。

 フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは当然朝からガッツリ肉なので、作り置きのキャベツ抜きのカツサンドを俺が用意した。

 朝食のテーブルに着いた伯爵様は目の下に濃いクマを作っていた。

 それとは対照的に、オリアーヌ奥様とセレステお嬢様は朝からウッキウキのハイテンションで、バスチアン坊ちゃんはニッコニコで元気いっぱい。

 奥様とお嬢様のハイテンションの原因は、お渡ししたオールインワンジェルクリームだった。

 奥様曰く「お肌にハリとツヤが出て、昨日とは別人のようですわ!」とのこと。

 お嬢様も「額にあった、あのにっくきニキビが一晩でなくなったのです!」と大喜び。

 朝飯の間中、お二人からあのクリームがどんなにすばらしいものかを懇切丁寧に力説されたよ。

 あとさ……。

 奥様から、大事なことだって「このクリームは王妃様にも?」って聞かれた。

 そう言えば献上品の中にはなかったなと、その旨を言ったら「それはいけませんわ!」とすぐに献上するように言われたよ。

 だけど、もう王宮はコリゴリだから、なんとか伯爵様の方からってお願いしたら、なんだかリヴァイアサンの件で登城しないといけないらしく、一緒に持っていってくれる事になった。

 ラッキー。

 てか、フェルとゴン爺は“リヴァイアサン”なんて、なんてこと言いやがったんだって思ったけど、こりゃ怪我の功名かもしれないね。

 奥様とお嬢様にアドバイスのお礼と伯爵様の手間賃代わりに、オールインワンジェルクリームを追加で献上したら、ものすんごい目力で「いつでも我が家を頼ってくださいましね」と言われてしまった。

 これには伯爵様も苦笑いしていたよ。

 そんな中、バスチアン坊ちゃんはフェルたちの食事風景を興味津々に見ていたんだけど、フェルたちが食っていたカツサンドがどうも気になってしょうがない様子。

 伯爵家の朝飯、悪くはないけど、白パンに野菜たっぷりの塩味スープにスクランブルエッグ(しかもどれも薄味)と男の子にとってはちょっと物足りない感じだったしね。

 そんなわけでバスチアン坊ちゃんにカツサンドをすすめたら、「美味しい!」ってパクパク食ってたよ。

 それを見て伯爵様や奥様、お嬢様も反応してさ。

 結局伯爵一家全員にカツサンドを出してやったよ。

 みなさん丈夫な胃をお持ちのようで喜んで食っていた。

 ついでにギルドマスターもね。

 そんな感じで和やか(?)な朝食を終えて、俺たちがお暇するときには伯爵一家でお見送りもしてくれたんだよ。

 その後、こうして王都の冒険者ギルドに直行してきたわけだけど……。

 ハァ~。

 黙って観察してないで、何とか言ってくれた方がまだいいんだけどな。

「ふむ。勇者召喚にて召喚された者だと聞いておったが、勇者というにはちと力が足りないのう」

「うむ。勇者と言うのにはのう。弱いわけではないが、お主くらいの強さの者はいないわけではないわな」

「それがどうしてフェンリルや古竜(エンシェントドラゴン)を従えることができたのか甚だ疑問じゃがのう」

「まぁ、そうだとしても実際に従魔としているからのう」

「うむ。それにほかの従魔のピクシードラゴンとスライムも強いらしいぞい」

 話し出したと思ったら、お偉いさん方、目の前に俺がいるのに言いたい放題だなぁ。

 まぁ、事実だから怒りはしないけど。

 ってか、俺が勇者召喚でこの世界に喚ばれたってことも把握済みかよ。

 冒険者ギルド、侮れないな。

 それからさ、そもそも俺、勇者じゃないし。

 巻き込まれだし。

 そんでもってフェルやゴン爺、ドラちゃんとスイもだけど、俺の従魔になった理由はズバリ“飯”だから。

 別に戦ってどうのこうのじゃないからね。

 美味いものが食いたいってだけでみんな従魔になっただけだから。

 こいつらみんなただの食いしん坊なだけですから!

 といろいろと言いたいところだけど、お偉いさん方の話に口を挟むとややこしくなりそうだから黙っている。

 早く終わらないかな。

 今晩の宿を見つけに行きたいんだけど。

『おい、話は終わったか?』

 なかなか本題に進まないことに業を煮やしたのかフェルが口を挟む。

「いや、これは失礼した。フェンリル様、私はこの王都の冒険者ギルドのギルドマスターをしておりますブラム・アールデルスといいますじゃ。お見知りおきを。して、こっちにおりますのは側近の……」

 シリルさんにレオカディオさん、ビビアナさんにノアさん。

 いずれもここ王都ギルドマスターのブラムさんに近い年齢のお爺ちゃんお婆ちゃんだ。

 役職は4人とも王都冒険者ギルドの副ギルドマスターということらしい。

 カレーリナのギルドマスター、ヴィレムさん曰く「この5人がこの国の冒険者ギルドの頂点だ」とのこと。

 なるほど。

 緊張するね。

「して、何か依頼があるとそこのヴィレムに聞いておるのですが……」

『うむ。それが我らの真の目的よ』

『うむうむ、その通り。ダンジョンでリヴァイアサンを獲ってのう。それを捌いてほしいのじゃ』

 ゴン爺は簡単に捌いて欲しいとか言ってるけど、あの巨体、本当に解体できるのかね。

「…………古竜様、儂の聞き間違いでなければ、リヴァイアサンと言いましたかのう?」

『そう言ったじゃろう。ダンジョンのドロップ品だったんじゃが、丸のままそのまま残ってのう。リヴァイアサンの肉は美味いんじゃが、主殿が肉にならないと料理できないと言うんでのう』

『うむ。だが、そこにいる奴のギルドでは解体できんと言われてな。王都でならできると言われてこうして来たのだ』

「フェル様、“できる”ではなく“できるかもしれない”と言ったのですぞ」

 汗をかきながらギルドマスターがフェルに突っ込んでいる。

 王都の冒険者ギルドのことなのに、勝手にできるとか断言したと思われるとまずいのかな。

『そんなことはいい。で、できるのか?』

「ちょちょっ、フェル、落ち着いて」

 も~、威圧してんじゃん。

 それじゃできないとは言わせないって感じじゃないか。

「ま、まだ、できるともできないとも……。現物を見てみない限りはなんとも」

 王都冒険者ギルドのギルドマスター、ブラムさんが顔を引き攣らせながらそう言った。

『よし、それならば見てみるといい』

 そう言って俺に出せと促してくるフェル。

 だけどさぁ……。

「ここで出せるわけないだろ」

 頭だけでも天井につっかえるわ。

『そうじゃぞ、フェル。あの巨体なのじゃぞ』

『む、そうだった。おい、広い場所はないのか?』

「それでは倉庫へ移動しましょうかのう」

 そう話が進み、お偉いさん方と俺たち一行は、王都冒険者ギルドの倉庫へと向かったのだった。






次回はいよいよリヴァイアサンの解体!

になればいいな……。

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― 新着の感想 ―
ヘタレ具合が神がかってきたな もうムコーダさん要らないで話進んでんじゃないか 客観的に見てコミュ障状態だそ? それはそうと、ギルマスたちは鑑定持ちっぽい発言だけど、加護やスキルは見えないのかね?
おいおいそんな失礼な値踏みするとリヴァイアサン出したり引っ込めたりしてギルド陥落しちゃうぞw まぁ真面目な話どう考えても不自然だからなぁ ステータスだけ見れてスキル見えないから幻術か魅了か警戒してる…
I just love the hilarious number of situations Mukohda finds himself in since coming to the capital.…
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