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第四百七十九話 いざ、ルバノフ神聖王国へ

記念すべき500話目です。

読者の皆様これからも「とんでもスキルで異世界放浪メシ」をよろしくお願いいたします!

 夕食後、各々飲み物を飲みながらくつろぐ中、俺は話を切り出した。

「みんな、今日の件なんだけどさぁ」

『今日のって、あのろくでもない連中のことか?』

 サイダーを飲んでいたドラちゃんが、ルバノフ教の奴らをろくでもない連中だと切って捨てる。

 ま、事実ろくでもない連中なんだけどさ。

「ああ、実はな…………」

 俺は、フェルとゴン爺とドラちゃんとスイに、デミウルゴス様からのお告げの話をした。

 あの時は、この神様なんてこと言ってるんだろうって、いくらなんでも無茶ぶりでしょって思ってたんだけどねぇ。

 今となっては、デミウルゴス様はこうなることを知っていたんじゃないのって思ってしまう。

 みんなに一通り話をし終えると……。

『フハハハハハハ、実に面白そうな話ではないか』

『グワッハハハハハ、しかも神のお墨付きとはの~う』

 フェルもゴン爺も笑ってるけど、牙が丸見えで怖いから。

 それに目が爛々としてるし。

 あかん、既にヤル気モードだ……。

『フハハ、あの阿呆どもをボッコボコにできるのか。めちゃくちゃ楽しそうじゃねぇか』

『わーい! スイが大っ嫌いな人たちやっつけられる~』

 ドラちゃんもスイもめっちゃヤル気満々。

『この際だ、国ごと潰してくれようか?』

『そうじゃのう。彼奴らは我らを獣と呼んでおったからのう。獣らしく暴れまくってやるのも面白いかもしれんな』

『お、それ面白そうじゃん。俺の使える限りの魔法を披露してやろうじゃねぇか』

『ビュッビュッていっぱいできるのー? ヤッター!』

 ちょっ、何で国を潰す話になってるの?

 君たちがそういうこと言うと、シャレにならないからっ。

 ルバノフ神聖王国は気に入らないけど、亡国にまでするつもりはないからねぇぇぇっ。

「ちょっと! 国を潰すまではやらなくていいからね!」

 不穏すぎる話の内容に、慌てて止めに入る俺。

『何故だ?』

 不満そうにそう言うフェルに同意するように、ゴン爺もドラちゃんもスイも不満気だ。

「何故って、デミウルゴス様だってちょろっと行ってとっちめてきてって言ってただけだし、滅ぼせなんて言ってなかった。だいたい教会の奴らが気に入らないんであって、一般市民にまで被害が及ぶようなことはしたくないよ」

『フン、甘いな』

『大甘じゃのう~。だが、主殿らしいと言えばらしいがのう』

 うう、そうかもしれないけどさぁ、やっぱり一般市民を巻き込むようなことはしたくないよ。

『で、甘ちゃんなお前の考えではどうしたいっていうんだ?』

『え~、ビュッビュッてできないのー?』

 甘ちゃんで悪かったね、ドラちゃん。

 そしてスイ、え~じゃないのよ、え~じゃ。

 そんなに好戦的にならないの。

「考えっていうかな……」

 俺は思っていたことをみんなに話して聞かせた。

 諸悪の根源はルバノフ教なわけだ。

 そのルバノフ教の元締めと言ったら、そのトップである教皇だろう。

 だから、その教皇がいるルバノフ教本山の教会をぶっ潰すのがいいんじゃないかなと。

 だけどさ、それだけではちょっと弱い。

 そもそもがルバノフ教なんていう訳の分からない宗教が台頭しているのがおかしいんだ。

 それじゃあどうすればいいのかって言ったら、一番は信者を作らないことだよな。

 そう考えて、それにはやっぱりあのお方にお願いするのがいいんじゃないかと行き着いた。

 エセ神には本物の神様を。

 ルバノフ教本山の教会がガタガタになったところで、あの方のお声掛けがあったら、そりゃあもう効果抜群だろう。

 俺の考えを伝えると、フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイも渋々ながらも受け入れてくれた。

 それこそ一国を完膚なきまでに潰して力を見せつけたら、どう考えたって今みたいな平穏な暮らしは無理そうだからさ。

 腫れ物に触るというか、恐怖の目で見られるようになったら、とてもじゃないがいたたまれないよ。

 ま、そんなわけで方向性が決まったんだけど……。

『よし、行くぞ』

『うむ。すぐ行こう』

『よっしゃ、その教会を粉々にぶっ潰してやろうぜ!』

『スイもぶっつぶすー!』

 ヤル気満々のみんなは、すぐにルバノフ神聖王国へ行こうとせっついてくる。

「いやいやいや、すぐって、無理無理。旅の準備があるからね。今回は特に魔道コンロが壊れちゃって使い物にならないから、飯はここで十分作っていかないと」

 国をまたいでの長旅になるんだから、それなりの準備をしていかないとダメだろ。

 それじゃなくても、食いしん坊なお前らは飯のこととなると人一倍うるさいんだからさ。

『主殿、儂ならば1日もあれば着けるぞ。まぁ、元の大きさで飛んだ場合ではあるがのう』

 ゴン爺がそんなことを言うけど……。

「それはマズいだろう。この前も冒険者ギルドから注意受けたんだし」

 あのときだってギルドマスターから長い説教くらったんだぞ。

『なら元の大きさは無理かのう。だが、元の大きさとはいかずとも、そうだな半分の大きさで行っても2日あればなんとかいけるぞ』

「そうなると途中の飯、作っていかないとダメだろ。だから、すぐには無理」

 そう言うと、フェルが不満そうに『フン』と鼻を鳴らした。

『なら、いつなら大丈夫なのだ?』

「そうだな、5日くらい余裕があると……」

『5日だと?! 長い! 明日1日あれば十分だろう。明後日には出発だ、いいな』

「ちょちょちょっ、勝手に決めるなよフェル~」

『フン、勝手かどうか皆に聞いてみれば分かる。お主らはどうだ?』

 フェルがゴン爺、ドラちゃん、スイに聞いた。

『儂はいいぞ』

『俺も異議なし』

『スイもいいよー』

 みんなからの同意を得て、どうだと言わんばかりの顔をしたフェルが『だそうだぞ』と言ってくる。

 ぐぬぬぬぬ。

「分かったよ、分かりました。明日1日で準備しますー。でも、魔道コンロがないんだから、野宿してるときにあれが食いたいこれが食いたいってことは言うなよな」

 苦し紛れにそう言ってやると、フェルが『ふむ、あの道具がないとそんなに美味い飯を食うのに支障をきたすのか』などとつぶやいている。

『おい、あの道具はこの街では……』

「あれほど大きくて高性能なのはないってさ。ロンカイネンっていう街にはあるらしいけど……」

『なればそのロンカイネンという街に行けばいいだけではないのか? なんなら、儂がいくらでも連れて行ってやるぞ』

 ゴン爺はそう言うけど……。

「いや、それがそのロンカイネンって街はクワイン共和国と小国群との国境にあって治安が悪いらしいんだ」

『少々治安が悪かろうが、お主には我らがついているのだからどうということはないだろう』

「まぁ、そう言われるとそうなんだけどさぁ」

『まったくお前いつになってもヘタレだなぁ』

 ドラちゃんひどい。

『あるじのことはスイが守るから大丈夫!』

 フンスと両腕のように2本の触手を上げるスイ。

『よし、決まりだな。そのルバノフ教とかいう教会を潰したら、ロンカイネンという街に向かうぞ。出先で美味い飯にありつけないのは一大事だからな』

『うむ、確かに。美味い飯が食えぬのは一大事じゃ』

『うんうん、俺らにとっちゃ美味い飯ってのは大事だよな』

『美味しいご飯は大切だよ~』

 さすが食いしん坊カルテット。

 美味い飯のためならどこまでもってか。

「はいはい、分かりました。ロンカイネンの街にも行くよ」

『ククククク、小国群との国境か。ちょうどいい』

 フェ、フェルさんや、なんなのその黒い笑い。

 何か悪巧みしてそうで不安になるんだけども……。

「ちょっと、何がちょうどいいの?」

『さぁな』

 さぁなって、何企んでるのフェル~。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 みんなとも話がまとまり、翌日は旅に出る準備に専念した。

 せっせと旅の間の飯を作ったり、奴隷(従業員)のみんなに、また旅に出る旨を話して、その間に必要になりそうなものを渡したり。

 奴隷(従業員)のみんなは、俺たちがまた出かけるって言っても慣れたもんだったけどね。

 みんなを買い取ってから、そんなに経ってるわけじゃないのに、俺たちけっこう家空けてるからなぁ。

 ま、みんなに任せていれば家も安泰でしょう。

 それから、冒険者ギルドにも行って、旅に出る旨伝えたよ。

 ゴン爺に乗って行くから、申請しておかないと大変なことになるからね。

 それでも、さすがに「ルバノフ教本山の教会をぶっ潰しに行きます」と馬鹿正直には言えないので、目的地については「ロンカイネン他ちょこちょこ……」と言葉を濁しながら伝えてある。

 嘘は言ってないぞ。

 ちゃんと“ロンカイネン()”って言ってあるし。

 あとは、夜に、次回にはちょっと早めだけどお願いも兼ねてデミウルゴス様へお供えをした。

 当然というか、いつもと同じく日本酒メイン。

 今回は品評会で金賞をとったことがある日本酒を集めたセットに、梅酒を2本。

 そして、豪華缶つまセットだ。

 それを献上させていただいて、俺の考えを話したら……。

 それだったらとデミウルゴス様もノリノリでOKしてくださった。

 多分これで、ルバノフ教も虫の息になるだろう。

 かわいそうなのは本気で信じていた信者さんだけど、そこはねぇ。

 それでも信じるっていうなら逆にあっぱれだし、そこまで信心深い人をどうこうするつもりもないしね。

 あとは、成り行きかなぁ。

 俺たちの旅なんて、いつもそんなもんだしね。

 まぁ、そんなこんなで急いで旅の準備を終えて、いよいよ……。

「それじゃ、行くか」

『うむ』

『ムハハ、楽しみじゃ』

『だなぁ』

『ぶっつぶすー!』

 ハァ、なんでみんな楽しそうなのさ。

 まるでピクニックに行くみたいに楽しそうなカルテットにため息を吐いたあと、見送りに来た奴隷(従業員)に……。

「それじゃあ後は頼んだよ」

 そう言い残して、俺たち一行はルバノフ神聖王国へ向けて旅立ったのだった。






冒頭でよろしくお願いいたしますと言っていてなんなのですが……。

キリがいいので来週はお休みさせていただきます。

12月30日から通常通り毎週月曜更新。

閑話を挟んで、ルバノフ神聖王国&ロンカイネン編へ突入です。

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ルバノフ総本山が「従魔達の憂さ晴らし」と言う名の神罰を食らった後に、 創造神デミウルゴスの像が空中に映し出されて「お前らは邪教」認定したのを聖都の住民が目撃したら、その他のルバノフ教を信仰する国も「次…
[一言] せめて3日準備期間あげてよ〜 魔導コンロなく、作り置きで対応しないといけない。 食いしん坊カルテットのために大量に用意しとかないと! 足りなかったら困るのはフェル達だよ! 留守中のこともちゃ…
なんで即実行の段取り悪いの国から総スカンさせる為にも潰すぐらいギルドにも言っておけばいいじゃん その上で他から少し待てになったらみんなに相談だろ
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