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第四百六十六話 変異種

今日は短めです。

「ただいま~」

 カレーリナの街の郊外に降り立った俺たちは、そのまま街へと入り我が家へと帰ってきた。

 声をかけると、門番をしていた双子が「やっぱ無事だったじゃん」とボヤいている。

「あ~、無断外泊してごめんなぁ。なんか狩りの行先が思ったより遠かった」

「俺ら元冒険者組はムコーダさんのことだから大丈夫だって分かってたけど、トニとアルバンたちが心配してたぜ」

「そうそう。フェル様とゴン爺様連れてどうにかなるほうがおかしいって何度も言ったんだけどな」

 フェンリルと古竜(エンシェントドラゴン)の二大巨頭がいてどうにかなったら、確かにそっちの方がおかしいかもな、ハハハ。

 それよりも、トニとアルバンたちには悪いことしたな。

 あんなとこ行こうなんて言い出したフェルとゴン爺が悪いんだ。

『おい、何を睨んでいる』

『主殿に睨まれるようなことしたかのう』

 ハァ……。

 ま、いいや。

 さっさと行って、トニとアルバンたちを安心させてやろう。

「ただいま」

 庭の手入れをしていたトニとアルバンたち男性陣に声をかける。

「ムコーダさん!」

 俺に近い位置で木の手入れをしていたアルバンが振り返って驚いている。

「アルバン、畑はいいのか?」

「朝のうちに終わっているので大丈夫です。それより、ご無事で何よりです」

 アルバンと話している間に他の男性陣も集まってくる。

「ハハ、みんなごめんな、無断外泊して。フェルやゴン爺が狩りに行きたいって言った先が思ったよりも遠くてさ」

 みんな俺たちというより、俺が無事に帰ってきたことにホッとしたようだった。

 うちのみんなには無駄に心配かけちゃったな。

 やっぱり声かけて出るべきだったよなぁ。

 悪いことをした。

 母屋で仕事をしていた女性陣も心配して待ってくれていたようで、俺の顔を見て一様にホッとした顔をしていた。

 ロッテちゃんには「ムコーダのお兄ちゃんどこにいってたの?! 黙って出て行ったらダメなんだからね!」とお叱りを受けたよ。

 大人たちが俺が帰ってこないのを心配しているのを見て、ロッテちゃんなりに心細かったのかなと推測。

 返す返すも、あんなところに行こうと言い出したフェルとゴン爺が悪いんだ。

 ったく。

 ゴン爺のそれほど遠くないは、人間にとっちゃとてつもなく遠い場所だってのがよ~く分かったよ。

 次からは気を付けないとな。

 そんなこんなでみんなを安心させた後は、フェルたちとの約束のひき肉料理尽くしに取り掛かった。

 何となく乗せられた感はあるし、事の発端はフェルとゴン爺があんな所に行こうって言い出したからではあるけど、約束は約束だからな。

 ベヒモスに食われてしまった肉団子やあの時作ろうと思っていた肉団子スープに、スイのリクエストのチーズINハンバーグ、それからミートローフにメンチカツにスコッチエッグ等思いつく限りのひき肉料理を作ってやったよ。

 それを出したら、みんな目の色を変えてガツガツ食ってたけどね。

 食事中のフェルとゴン爺との会話で『そう言えばあそこの湖の魚を食いそびれたな』『そう言えばそうじゃな』『まぁ、そのうちまた魚を食いに行こう』『それはいいのう』などと話していたが、そっと目を逸らして俺は聞かなかったことにしたよ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 翌朝、朝食後のコーヒーを楽しんでいると、フェルが『今日の夕飯はから揚げにしてくれ』と言う。

 よく聞いてみると、狩りであそこにしかいないロックバードとコカトリスを獲ってきたらしく、その肉でから揚げを作ってくれということのようだ。

 そう言えばあのベヒモス騒ぎで、マジックバッグをフェルから受け取ったのは何となく覚えてるけど、みんながどんな獲物を狩ってきたのか聞かなかったし確認もしてなかったな。

 ということで、今更ながら庭でみんなの狩りの成果を確認することとなった。

 そうしたら出てくるわ出てくるわ……。

「よくもこんなに獲ってきたな」

『我らにかかれば造作もないわ』

『というか、その魔法袋も限られているからのう。これでも控えめじゃぞ』

 これで控えめって、君らの控えめの基準がおかしいからなっ。

 フェルたちの狩りにはいつもマジックバッグ(特大)を持たせてるってのに。

「なぁ、しかも全部なんか今まで見てきたやつと微妙に違うのは気のせいか? このコカトリスもいつものより大きい気がするし、このロックバードも全体的に羽の色が濃い気がするし……」

 ほかにも大量に入っていたオークもなんか全部肌の色が赤っぽい気がするし、何でこんなの入れてきたのかわかんないけど異様にデカくて青緑色っぽいゴブリンまでいる。

『すべてあそこにしかいない変異種だからのう』

 …………は?

 今ゴン爺さらっと言ったけど、は?

「変異種?!」

『そうじゃ。あの特殊な環境が生んだのじゃろうな』

「そ、そりゃあ特殊な立地ではあるけどさ……」

『あるじ~、見て見てー! この大きいのスイがやっつけたんだよー!』

 そう言って赤茶けた肌のトロールの上でポンポン飛び跳ねるスイ。

 うん、見たことあるトロールより明らかにデカいね。

『こっちのデカいクモは俺が魔法で一発よ』

 ドラちゃんは、なんだか異様にデカいクモの上でホバリングしながらそんなことを言っている。

 何このデカいクモ。

 鑑定してみると、“クイーンネフィラスパイダー(変異種)”と出てきた。

 しかも、説明書きには“ウラノスの地にしか生息しない変異種”とか出てきたんだけど。

「なぁ、あの狩りした場所ってウラノスっていうのか?」

『何と呼ばれてるかなぞ知らん』

 フェルは知らなかったみたいだけど、ゴン爺は知っていたよう。

『確かあそこは人間の間では“天空の森”とか“ウラノス”とか呼ばれていたはずじゃな』

 やっぱりそうなんだ。

 他のもチラッと鑑定してみたら、みんな説明書きに“ウラノスの地にしか生息しない変異種”って出てくるんだよね、ハハハ。(乾いた笑い)

 頭が二つあるブラックアナコンダとか、迷彩柄みたいな緑色の巨大なトラとか、他にもいろいろといるけどお手上げだよ。

「……もう、そっくりそのまま冒険者ギルドに丸投げでいいかぁ」

 そんな投げやりな気持ちをポロッと口に出すと、意外にもフェルが賛成した。

『それでいいだろう。とにかくだ、食えるものについては早く肉にしてもらうのだぞ』

 やっぱりそれが一番なんだね~。

 ハァ、ま、いいけど。

「それじゃあ冒険者ギルドに行ってくるか」

 フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイの狩りの成果をアイテムボックスにしまうと、一緒に行くというみんなを連れて冒険者ギルドへと向かうのだった。






とあることがあってモチベーションが下がり気味です。

なんとかキリのいいところまで書き上げたので、今日はここまでとさせていただきました。

来週はもうちょっとがんばりたいと思います。

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― 新着の感想 ―
んー、ロックバードにも子供がいたら? 前回の話があると、とかそう言うのが気になってくるよな。 従魔が無差別に狩りすぎてるから、モヤモヤするんかね 繁殖期は狩らないとか 魔獣は野生でも自然に湧くから、と…
毎回思うけどムコーダ連れてく必要ある?従魔だけで勝手に行けばいいのでは?
どう考えても怒られる伏線
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